世界的有名建築家の安藤忠雄の建築がずらりと立ち並ぶ場所が都内にあるのをご存知ですか?
その名も安藤忠雄ストリート!調布市の京王線仙川駅から徒歩2分ほどの場所から始まる安藤忠雄建築だらけのストリートです。
記憶をたどり遡ってみると安藤忠雄ストリートを再訪するのはなんと10年ぶりでした。
あまりにも久しぶりすぎて前回の記憶は薄れというかほぼないので、気持ちは初訪問でした。
PR安藤忠雄ストリート
仙川の駅から2分ほど歩いたところから始まる安藤忠雄設計の劇場や商業施設など6棟の建築群で形成された道です。
安藤忠雄ストリートの計画は京王線仙川駅の南側に広がる423m、約1万6000㎡の細長い土地を南北に都道が貫くことになったことから始まったプロジェクトです。
土地の所有者が安藤忠雄好きだったことから、熱心にラブコールを送り、この細長い土地の開発を安藤忠雄建築研究所引き受けることが決まったのは1995年。今から約30年前のことです。
その後、2004年に「シティハウス仙川」、美術館の「東京アートミュージアム(TAM)」、共同住宅、店舗などが入る「仙川アベニュー・アネックスⅡ」が竣工しました。
続いて2007年には、店舗などのテナントが入る「仙川デルタ・スタジオ」と「調布市せんがわ劇場/調布市仙川ふれあいの家/調布市立仙川保育園」、そして2012年には安藤ストリート最後の建築「シティハウス仙川ステーションコート」が竣工して安藤忠雄ストリートが完成したのです。
東京アートミュージアム(TAM)
最初に紹介するのは、唯一私のような一般人でも入館料さえ払えば中に入って展覧会鑑賞と共に建築内部まで見学できる東京アートミュージアムです。
美術館なので、年間6回ほどの展覧会を開催しています。
美術館の位置は駅を背中に向けて安藤忠雄ストリートの右側にあり、右側の安藤建築の中で一番駅から遠い場所(奥)にあります。
▲もちろんコンクリート打ち放しの安藤忠雄らしい建築です。
安藤忠雄ストリート自体が非常に細長いのですが、この美術館の建築も非常に細長い形をしています。
21_21desgin sightや直島の地中美術館、京都にあるアサヒビール大崎山山荘美術館のように安藤忠雄が設計したの美術館の多くは展示室の大部分が地下に埋まっていることが多いのですが、東京アートミュージアムの展示室は地下ではありませんでした。
▲内部の展示室も当然ながらとっても細長い空間で3層のスキップフロアになっています。
展示室の奥は三層吹き抜けの大空間になっているのでかなり大型の作品の展示が可能です。
美術展だけでなくコンサートなどを開催することもあるそうなので、この大空間の下が舞台になるのでしょうね。
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▲奥の吹き抜け空間から入り口側を見た様子です。右壁面に天井までの大きな明かり取りのスリットが入っているので自然光がふんだんに入ってきます。
アートにとってUVは大敵ですが、スリットの正面は階段空間になっているので直接作品にUVが当たる心配はなさそうです。
ちょっと幅狭めのコンパクトな階段を登ると2階です。
▲2階の展示室には横スリットが入っていて、通りの様子を見ることができます。
訪問した時は街路樹の新緑がとても美しい色彩を見せていました。
▲2階から3階方面を見るとこんな感じです。細長い空間であることがよくわかります。
美術館というには少々規模が小さめですが、ギャラリー空間としては、十分な広さがあります。
全体に長方形の空間なので四角い作品だったらキャンバスでも写真でもなんでもすごいフィットしそうです。
▲安藤忠雄のソフィスケートされた階段を見下ろすの図。今回は展覧会というより空間だけを見に行ったと行っても過言ではないくらいです。
安藤忠雄設計の美術館の規模としては、清春芸術村の光の美術館が一番近いスケールかもしれません。
ただ、先に挙げた21_21、地中美術館、アサヒビール大崎山山荘美術館、清春芸術村の光の美術館などが全てそうであるように、安藤忠雄の代名詞とも言える無機質なコンクリートの建築は、有機的な自然に囲まれているとその良さが際立つのではないでしょうか。
仙川の場合は普通の東京郊外の街中で、コンクリート打ち放しがあっても特に目立つことはなく、むしろ冷たい印象を与えてしまうかもしれません。
基本情報
東京アートミュージアム
入場料 :一般 500円、大高生 400円、小中学生 300円 調布市仙川町1丁目25−1 MAP |
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仙川アベニュー・アネックスⅡ
安藤忠雄ストリートで駅から最も遠くにあり、ポツンと離れている建築です。
駅を背にして左側、東京アートミュージアムの反対側になります。
ここは安藤忠雄ストリートの中で最も小規模な建築です。1階が路面店で上階は住宅です。
緩やかなカーブを描く屋根のデザインが特徴です。
東京アートミュージアムと向かい合わせに建っている二つの仙川アベニュー北プラザと仙川アベニュー南パティオは、安藤忠雄建築ではなく丹下健三・都市・建築設計研究所出身の中地正隆の設計で安藤忠雄ストリートの建築群よりも先の1988年に竣工しています。
調布市せんがわ劇場/調布市仙川ふれあいの家/調布市立仙川保育園
安藤忠雄ストリートの中で最も大規模な建築です。
この建築も例に漏れずとても細長いです。
10年前にここにライブを見にきたのですが、その時に初めて仙川にこのような安藤忠雄ストリートがあることを知るきっかけになった場所です。
▲コンクリートではなくガラスのファサード
シティハウス仙川
せんがわ劇場と向かい合って建っているのがシティハウス仙川です。1階のみ商業であとは全て住宅です。
▲この住宅は言われなければ安藤忠雄建築というのはわからないかもしれません。
▲ぱっと見安藤忠雄らしさがあまり感じられない建築ですが、側面に回ったら確かに安藤忠雄でした。
配管がきっちり2本並んでいますし、スリットも2本です。縦長の窓も2個並び。ここを見てやっぱり安藤建築なんだわぁと実感しました。
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仙川デルタ・スタジオ
デルタというくらいですから、三角形のように尖った形状が印象的な建築です。
しかし俯瞰で見ると三角形ではなくかなり鋭角な角を持つ四角形でした。
▲ここは全てテナントが入ったテナントビルです。
シティハウス仙川ステーションコート
一番駅よりにある住宅です。安藤忠雄ストリートの中で一番高層でもあります。
▲駅よりに一部テナントが入っていましたが、基本的には集合住宅です。
▲歩道と建築の間にこのようなスペースがありました。特に通路として作られているわけではなそうです。
10年ぶりに訪れた仙川の安藤忠雄ストリート、駅からすごく近いけれど、駅前の喧騒が嘘のような静かでした。それがいいことなのかそうでないのかわかりませんが、細長すぎる土地の形ゆえに、立ちはだかる壁が続く道になってしまっているのがちょっと残念でした。
安藤忠雄建築って無機質な美しさが魅力なので、無機質なものの集まっている都会の街中よりも有機的なものの集合体である自然の中にある方が似合うのかもしれませんね。
基本情報
仙川安藤忠雄ストリート
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