広尾には聖心女子大学や日赤医療センター、有栖川宮記念公園など敷地が広く緑の多い施設が多くあります。
商店街は昔ながらの下町情緒を色濃く残しつつも、麻布十番同様大使館が多いため外国人の住人も多く、ナショナル麻布スーパーマーケットなど、インターナショナルなお店が多いのも特徴です。
そんな広尾周辺には実は巨匠と呼ばれる建築家の設計した建築が多くあります。地元住民がお届けするどこにも載ってない広尾の建築についてまとめてみました。
聖心女子大学は、旧久邇宮邸の正門をそのまま利用しています。校内にはお屋敷もそのまま保存されています。▼
PR広尾という街
外苑西通りを挟んで、渋谷側が渋谷区広尾、麻布十番側が港区南麻布です。
広尾駅周辺は外苑西通りが渋谷区と港区の区の境界線となっています。ですから、広尾駅を利用する地元住民も渋谷区民と港区民が混ざっているのです。当たり前。
そんな、広尾周辺には、実は巨匠の建築が結構あるのです。安藤忠雄、竹山実、丹下健三、槇文彦、隈研吾、青木淳の手がけた建築を紹介します。最後にチェコ共和国大使館と山種美術館も紹介しています。
主に渋谷区広尾エリアを中心にまとめてみました。
春は桜並木が美しい日赤医療センター。ちなみに設計は久米設計です。▼
安藤忠雄
広尾21世紀キリスト教会
安藤忠雄設計 2014年竣工
東京都渋谷区広尾5丁目9−7 MAP
広尾にも実は安藤忠雄建築があるんです。しかも、安藤忠雄の教会が!
住宅街の中にいきなり建っています。この建物真上から見ると礼拝堂の部分が三角形なんです。真上からは見ることできませんけれど。▼
コンクリート打放しと華奢な十字架が安藤建築らしい。▼
教会の内部の様子です。めちゃくちゃ細ーい十字架が宙に浮いているデザイン。背後からは自然光が入るデザインです。
この光が入るスリットはちょうど三角形の頂点の部分に当たります。▼
外壁に見えていた三角形の窓です。内装は木で外観の見た目と違って温かみのある雰囲気です。▼
三角形の建物なので、窓も三角形ですが、内部に飾られていたレリーフも三角形です。▼
以前は、内部の見学も自由にできましたが、予約制に変わり、コロナ禍の現在は見学中止です。
写真は5年前の2017年、自由に見学できた頃に撮影したものです。
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竹山実
広尾プラザ
竹山実 デザイン監修 1993年竣工
東京都渋谷区広尾5丁目6−6 MAP
SHIBUYA109や晴海客船ターミナルなど数々の建築を手がけた竹山実がデザイン監修をしたのが広尾駅にある商業とオフィスが入った複合施設広尾プラザです。広尾に来たことのある方なら目にしていないわけはありません。広尾プラザは広尾駅のランドマークです。
残念ながら2020年に竹山実は亡くなりましたが、手がけた建築は健在です。しかし、代表作の一つである晴海客船ターミナルは2022年2月に閉業し、解体が決まっています。
天現寺側からの見え方は割と普通のオフィスビルです。▼
竹山実らしいのは、メインエントランスの吹き抜け空間でしょうか。この先には、広尾のメインのスーパーの一つ、明治屋が入っていますので、人通りは多いです。▼
テック広尾
竹山実 設計 1992年竣工
東京都渋谷区広尾1丁目10−5 MAP
明治通りり沿いにある細長いオフィスビルです。円筒形が二つと半円形がくっついたようなファサードです。味気ないオフィスビルやマンションが立ち並ぶ明治通り沿いで一際目立っています。▼
エントランスからの見上げ。小規模なオフィスビルですが、竹山実らしい意匠が施されています。▼
近いのでいつでも写真を撮れると思っていたら改修工事をするようで、足場が組まれ始めていて、慌てて撮影しました。しばらくは工事中かも。
工事が終わり、足場が撤去されました。▲メンテナンスが終わり蘇りました。
目玉焼きみたいでかわいい▲
足場かと見紛うようなファサードの意匠と解散室の窓の呼応が面白いですね。
まだ暗くはないけれど照明がついた夕暮れ時の様子が美しい
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丹下健三
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
丹下健三 設計 2000年竣工
東京都渋谷区恵比寿1丁目28−1 MAP
あいおいニッセイ同和損害保険盛岡ビルの方が有名ですが、盛岡竣工の翌年に竣工しています。同時期の同クライアントのオフィスなので、規模は違いますがよく似ています。
渋谷川に面して建つオフィスビルです。▼
槇文彦
三菱UFJ銀行広尾支店
槇文彦 設計 1981年竣工
東京都港区南麻布4丁目1−1 MAP
三菱銀行広尾支店時代に設計された駅前の建築で、広尾プラザと向かい合っています。
外壁にシルバーのタイルを使った理由を本人が
幾何学的なかたちを出していくときに、このタイルは甘くならない。円の一部によって構成されているが、エッジからの反射が、円弧を非常にシャープに出してくれる。
と語っています。▼
そして、三菱UFJ銀行の背後に立つ広尾タワーズも槇文彦設計の住宅です。
広尾ホームズ・広尾タワーズ
槇文彦 設計 広尾ホームズ1972年、広尾タワーズ1973年竣工
東京都港区南麻布4丁目1−12 MAP
外苑西通りに並行に建っている背の高い方が広尾タワーズで高級賃貸マンションです。背の低い方が広尾ホームズで高級分譲マンションです。二つの高層マンションが90度ずれた角度で寄り添います。
無駄のないシンプルですっきりとした外観は飽きのこないデザインなので、50年建った今でも色褪せません。
槇文彦が手がけた低層のヒルサイドテラスと対照的な高層の住宅ですが、外構や平置きの駐車場など、敷地に対してかなりゆとりの設計です。時代ですね。
かつては芸能人などが多く住む憧れの高級マンションでした。今でも外国人の居住者の多いマンションです。
日本ユダヤ教団
槇文彦 設計 2009年竣工
東京都渋谷区広尾3丁目8−8 MAP
日本のユダヤ教のコミュニティセンターで、シナゴーグだけでなく集会や日曜学校などユダヤ教に関する複合施設です。外壁はスギ板本実型枠コンクリート打ち放しと六芒星をモチーフにしたタイル貼りからなります。
日赤医療センターへ続く坂道の途中にあります。この建物の前を頻繁に通りますが、人の出入りを見たことがありません。時間帯のタイミングが悪いのかな。▼
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青木淳
GO- SEES HIROO
青木淳 設計 2008年竣工
東京都渋谷区東4丁目12−5 MAP
駒沢通りを超えているので、住所は広尾ではないのですが、かなり広尾に近いので広尾特集に入れちゃいます。
貸し写真スタジオです。外装は溶融亜鉛メッキリン酸処理した鋼板なので、黒くて重厚な箱が置いてあるようなデザインです。
IFパーキングの天井照明は蛍光灯が梁に沿って設置されていてとても特徴的です。▼
隈研吾 THE SCAPE
2005年竣工
渋谷区東4丁目4−6 MAP
隈研吾設計の高級レジデンスです。当初は総戸数12戸でしたが、2015年3月に室内改装を行い、竣工時の半分のわずか6戸へ変更され、全戸100㎡を超えの超高級レジデンスに再生しました。
1階は駐車場とエントランスロビーです。▲
常陸宮邸と向かい合う立地のため、邸内の豊かな緑のリフレクションが美しい。
伊東豊雄 HILLPEAK TOKIWAMATSU
2023年竣工予定
渋谷区東4丁目4 MAP
2023年7月現在、ほぼほぼ完成した8フロアに8世帯という超高級マンションです。
各フロアにプラベートバルコニーがあるため、このような段違いの建築になっています。
▲下からだと見えませんが、最上階はマンションの屋上に一軒家が建っているようなデザインです。
▲近所なので完成したら再訪して記事を更新したいと思います。
建築計画のお知らせ看板に表記している住所でGoogleマップに入れても辿り着けません。
このブログのマップは正しい位置情報を入れています。
チェコ共和国大使館・チェコセンター東京
イジー・ロウダ、イヴァン・スカーラ、クヴィーズ、コトルボヴァー 設計
レーモンド設計事務所 設計協力 1977年竣工
東京都渋谷区広尾2丁目16−14 MAP
日赤通りに面して建つチェコ共和国大使館は、チェコの文化交流を目的としたチェコセンター東京を併設しています。
建物背面はレーモンド事務所を感じる意匠です。▼
大使館とチェコセンターはそれぞれ入り口が向かいあっています。ドアハンドルはチェコのCをデザインしたもの。▼
大使館には入れませんが、チェコセンターは展覧会を開催しているので、その鑑賞に度々訪れています。
内装にもレーモンドを感じるデザインがちらほらと▼
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山種美術館
日本設計 設計 2009年竣工
東京都渋谷区広尾3丁目12−36 MAP
巨匠の設計ではなく、組織系設計事務所による設計の日本画専門の美術館ですが、2階から上はオフィスビルで、美術館は1階と地下です。
ファサードはオフィス然としていない優美なデザインです。▼
1階にはミュージアムカフェがあります。▼
Chelsea Garden
MTA/高橋真建築設計事務所 設計 2001年竣工
竣工時はモノトーンでしたが、改修の際に少し意匠が変わったようで、ルーバーに色が付いています。植栽も竣工時よりもモダンになりました。
コンクリートの横縞に対してルーバーの縦縞がアクセントになっている集合住宅です。
住んでいるのは、海外の方が多いテラスハウスです。
ネオ製薬工業本社
プランテック 設計 1991年竣工
東京都渋谷区広尾3丁目1−3 MAP
静かな住宅街で一際目立つ建物です。円形のガラス張りの部分は螺旋階段で、中に真っ赤な手すりが付いています。
築30年以上経過していますが、丁寧にメンテナンスをしているようで、とても綺麗です。
コンクリートのアーチの奥は駐車場でありピロティです。▼
アパートメント I
乾久美子建築設計事務所 設計、アール・エイジ プロデュース、2007年竣工
渋谷区広尾3丁目
ガラスの箱のような集合住宅ですが、竣工時と違い、下部の階のガラスは全て覆われていて中が見えないようになっていました。4階はガラスのままで中が見えていますが、かなり雑多な感じです。
デザインと機能のせめぎ合いでデザインの敗北を否めない感じです。
借りる人の要望で改修されている可能性もありますが、竣工時のままなら、3階は窓際の左側がトイレ、右側がお風呂です。
アパートメントですが、現在1階2階はオフィスとして使用されているのかもしれません。
おまけ
誰が設計したのかわからないけれど、前を通るたびに気になる住宅。建物も窓も丸い。▼
まだまだ、広尾には隠れた名建築があります。
都内建築巡り<広尾その2港区南麻布編>に続きます。南麻布にも安藤忠雄や黒川紀章など大御所たちの建築が建ち並びます。
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