京都は何度訪れても、訪れる度に行きたいところが増えていき、毎回まわりきれずに何かしら断念して帰路に着くのが定番です。
そんな行ってみたいところだらけな京都ですが、短時間で建築とアートをめぐることができるスポットのご紹介です。
時間はないけれど、京都の建築も美術館もギャラリーもいっぺんに効率よくまわりたいという時おすすめなのが岡崎エリアです。
平安神宮、岡崎公園、京都市動物園のある岡崎には国立、市立、私立の3つの美術館とオープンしたばかりの企業が運営するギャラリーがあります。
さらに1960年に開館した京都のモダニズム建築まであるのですから、行かないという選択肢はありません。そして、嬉しいことに紹介する全ての施設にカフェが併設されています。
それでは、美術館から順番にご紹介していきます。
京都市京セラ美術館館内の大階段
PR京都国立近代美術館
設計:槇文彦 竣工:1986年
京都国立近代美術館は、国立近代美術館の京都分館として、1963年に設立されました。現在の建物は、1986年に竣工した建築です。
美術館の壁面は、ポルトガル産の花崗岩のグリッドと、 対称性をもった正面のデザインが特徴の美術館です。
美術館内に常設展示されているリチャード・ロングの作品▲これを鑑賞するためだけにでも訪問するべきです。
館内のカーペットのデザインは東京青山にある、槇文彦が設計したスパイラルのものとそっくりです。
サークル状の作品と向かい合っているのは直線的な作品。こちらもリチャード・ロングの作品です▲
1階にはテラス席もあるミュージアムカフェcafé de 505 (カフェ・ド・ゴマルゴ)があり、カフェもリチャード・ロングの作品も入館料なしで利用(鑑賞)可能です。
基本情報
京都国立近代美術館
設計:槇文彦 竣工:1986年 定休日: 月曜日 コレクション・ギャラリー観覧料 一般430円 京都市左京区岡崎円勝寺町26−1 MAP |
京都市京セラ美術館
設計:青木淳+西澤徹夫
京都市京セラ美術館は、1933年に開館した京都市美術館を建築家の青木淳と西澤徹夫が改修設計を手がけ、2020年にリニューアル・オープンしました。
建築家の青木淳は設計者であり、現在、京セラ美術館の館長でもあります。
京都市は改修費用を捻出するため命名権を2019年度から50年間、50億円で京セラに売却しました。ですから、京都市京セラ美術館な訳です。
平安神宮の鳥居を真横に、帝冠様式の京都市美術館の外観はそのままの本館▲
地下1階部分に、京セラ美術館の新しいシンボルであるガラスのファサード「ガラス・リボン」が取り入れられており、目の前は大きく開かれた広場という構成です。
地下から入り、1階にのぼると吹き抜けの広々空間が広がります。▲
リニューアルオープンで新設された美しい螺旋階段はどこからみても美しい▲
新館の展示室へのアプローチ▲
京都市美術館のレガシーを引き継ぐ空間▲
新設された地下のガラスリボンのエリアにはミュージアムカフェENFUSE/エンフューズとミュージアムショップがあります。
ちなみにこの美術館には屋上もあって▲そこから庭園を眺めることができます。このブログ及びInstagramのアカウントの写真は京セラ美術館の屋上の写真です。
日本で現存する公立美術館のなかで、最も歴史ある建築の意匠を生かしつつ、更に市民へ開かれた美術館として生まれ変わりました。
まだ開館して2年ですが、すでに3回訪問しています。今後も京都訪問の度に訪れる場所になると思います。
基本情報
京都市京セラ美術館
設計:青木淳+西澤徹夫 2020年リニューアル 定休日: 月曜日 (祝日の場合開館、翌日休館) コレクションルーム観覧料 京都市内在住520円、市外在住730円 京都市左京区岡崎円勝寺町124 MAP |
細見美術館
設計:大江匡 開館:1998年
2020年に亡くなったプランテックの大江匡が43歳の時に手がけた私立美術館です。細見家三代が収集した日本美術のコレクションを展示・保管しています。
地下にはミュージアムカフェCAFE CUBEがあります。▲
外観から見る印象では小ぶりな美術館ですが、実はなかが広い!鉄筋コンクリート造、地上3階・地下2階。印象としては、地下の方がずっと大きく感じます。
すぐそばの京都市京セラ美術館が開館時に杉本博司展を開催しましたが、時期を同じくして細見美術館でも「飄々表具 -杉本博司の表具表現世界-」展を開催。その時の写真です。▲
基本情報
細見美術館
設計:大江匡 開館:1998年 定休日: 月曜日 入館料は展覧会によって異なる 京都市左京区岡崎最勝寺町6−3 MAP |
MtK Contemporary Art
デザイン監修:Sandwich
MtK Contemporary Artは2021年3月に京都に本社がある自動車ディーラーの株式会社マツシマホールディングスが開廊した現代美術のコマーシャルギャラリーです。
ギャラリーの建築は名和晃平主宰のSandwich/サンドウィッチがデザイン監修をしています。
暖簾が京都らしさを醸し出します。▲
建築のデザイン監修を担当したのが名和晃平のサンドウィッチだったこともあり、柿落としの展覧会は名和晃平と鬼頭健吾、大庭大介による3人展でした。▲
写真は2022年5月から6月に開催していた新⾥明⼠ 、多和⽥有希 、川端健太郎 による3人展「ゆだねながら語りあうこと/響き合う思考法」▲
アートディレクターは自身もアーティストである鬼頭健吾です。
ギャラリーは隣にカフェ「.S」(ドットエス)が併設されています。ここでは自動車ディーラーだけに車の試乗もできます。
基本情報
MtK Contemporary Art
デザイン監修:Sandwich 定休日: 月曜日、展示替期間 入場無料 京都市左京区岡崎南御所町20−1 MAP |
ロームシアター京都
設計;前川國男 竣工:1960年
前川國男設計の旧京都会館は、老朽化の工事費用捻出のため京セラ美術館同様に命名権(ネーミングライツ)を売却しました。
手を挙げたのが京都の電子部品メーカー・ロームです。契約期間50年、52億5,000万円で契約し、2016年文化施設「ロームシアター京都」として生まれ変わりました。
岡崎地域の周辺環境との調和を考慮し、水平線を強く意識した意匠で設計されており、日本建築学会賞受賞など、数々の賞を受賞しています。また、モダニズム建築の傑作として高い評価の建築です。
床の貼り分けは、建築の直線とは真逆の円形を描いていて、柔らかい印象を与えます。▲
シャープな印象の壁面のガラスのグリッドと素朴な床の円形の調和が素晴らしい▲
天井の格子状、床のヘリンボーン、どこをとってもいいですね。▲
2020年、ダムタイプの講演チケットの最前列を購入していたけれど、コロナによって中止になってしまいました。それ以来中に入るチャンスを失ったままです。いつか、ここで観られなかったダムタイプの公演を観たいものです。▲
ロームシアター京都内には京都岡崎蔦屋書店が入っており、その中には当然、スターバックスコーヒーもあります。
基本情報
ロームシアター京都
設計;前川國男 竣工:1960年 京都市左京区岡崎最勝寺町13 MAP |
ネーミングライツのロームシアター京都と京都市京セラ美術館は、50年後にどんな名称になるのか、またまた同じ企業が継続するのか否か、興味はあるものの、残念ながら知ることはないでしょう。
さて、岡崎での建築とアート巡り情報はいかがでしたでしょうか。全ての施設にカフェが併設されているので、どこで休憩するのか迷ってしまいますね。
3つの美術館で各々展覧会を鑑賞したら、半日ではすまないかもしれません。
周辺には岡崎公園、京都市動物園、平安神宮もありますので丸一日いても足りないくらいです。
京都旅の参考になったら嬉しいです.
京都 岡崎 建築マップ
PR