東雲キャナルコートCODANは、都市再生機構(UR)が江東区東雲に2005年に整備した戸数約2,000戸の賃貸住宅です。
いわゆるURの”団地”なのですが、”世界一美しい団地図鑑”という大胆な本の表紙を飾っています。
というのも、6つの住居棟を設計する6組の建築家とランドスケープデザイナー、照明デザイナー、サインデザイナーが連携して全体のデザイン調整を行うことで今までにない新しいまちづくりを実践した都市型集合住宅だからです。
6組の建築家には、山本理顕、隈研吾、伊東豊雄など世界的建築家が参加しており、ランドスケープデザインは長野県立美術館・長野市立城山公園噴水広場などを担当したオンサイト計画設計事務所、サインデザインは2021年の東京五輪TOKYO2020のピクトグラムを担当したグラフィックデザイナーの廣村正彰、照明デザインには2000年の九州・沖縄サミット首里城照明などを担当した近田玲子という錚々たるクリエイターの面々が集結して建設されました。
というわけでこのブログでは、6街区から成るキャナルコートの中で、隈研吾、伊東豊雄、山本理顕の設計した3つの街区の住居棟を中心に、東雲キャナルコートCODANが最も美しい姿を見せる夜の様子を紹介したいと思います。
スポンサーリンク隈研吾
隈研吾が手掛けたのは1街区から6街区まであるエリアの3街区です。
隈研吾はもう説明不要の日本で一番有名な建築家です。
ここを訪ねて最初に目にしたのがここ隈研吾設計の3街区だったんですが、未来的で映画の世界のようでした。
ですから、私にとって東雲キャナルコート CODANのファーストインプレッションはクールな未来感です。
▲3街区は、片廊下型の住棟を向かい合わせて配置されています。
▲共用廊下は、すっきりとしたシンプルなデザイン
2棟の間はコミュニケーション・アトリウムと名付けられた 吹き抜け空間の中をブリッジが行き交っています。
住棟間が心地いい距離を保つ共同住宅空間です。
▲クールな未来的デザインの住居ですが、あたたみを感じる色のモザイクパターンで彩られたがコモンヴォイドと呼ばれる空間もあります。
▲夜の訪問のせいもあり、すでに20年近く経っているとは思えないくらい綺麗でした。
▼このブログで取り上げた隈研吾が手がけた建築一覧
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伊東豊雄
東雲キャナルコートCODANの建築的見どころは、何といっても伊東豊雄設計の2街区でしょう。
伊東豊雄はプリツカー賞受賞の世界的に有名な建築家で、仙台メディアテークやこのブログでも取り上げたまつもと市民芸術館や、座・高円寺、埼玉県にあるヤオコー川越美術館や3つの伊東豊雄建築があるイイナパーク川口など見応えのある建築を数多く手掛けています。
▲斜めに並んだ2層吹き抜けのヴォイド空間(コモンヴォイド)が印象的なデザインです。
ヴォイド空間の壁面の色は塗り分けられ、夜間にはその空間が照明によって際立ちます。
2街区と1街区は2階にデッキが架けられており、1階と2階からの動線が確保されています。
山本理顕設計の1街区からみた2街区の様子です。世界一美しい団地図鑑の表紙を飾ったのはまさにこの場所伊東豊雄設計の2街区です。
2街区の夜の風景の美しさはとても団地とは思えません。
▼世界一美しい団地図鑑の表紙を飾った東雲キャナルコートCODAN
2街区の夜の様子を見るためだけに東雲に行ったと言っても過言ではありません。
実際は、昨年仕事で東雲に行くことになったので、ずっとみてみたいと温めていたこの場所を初訪問したのですが、もっと早くみに来ればよかった!と思いました。
▼このブログで取り上げた伊東豊雄の建築一覧
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山本理顕
順番が逆になりましたが、1街区です。1街区は2街区と向かい合って建っており、デッキで繋がっています。
ここを設計した山本理顕は横須賀美術館や、最近だと自身が学長をしていたこともある名古屋造形大学の校舎など、手掛ける建築はいつも話題になります。
▲1街区のコモンヴォイドの壁面はストライプに塗り分けられています。ダニエル・ビュランの作品のようですね。
▲カラーのストライプはエントランス空間にも
▲1街区のバルコニーは2街区と違ってプライベート空間ではなく共用空間のようです。
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山設計(山田正司)
正面に見えるのが2街区から見た4街区です。
4街区は、高層で密度の高い空間の中でも、中低層集合住宅に見られるコミュニティや景観のスケールを採り入れることができるように、 居住者の共有スペースに重点を置いて設計されています。
▲デッキの間の中央の大通りは、東雲キャナルコートCODAN全体をS字型に横断するS字アベニューです。
5街区 は東京建物株式会社による賃貸住宅事業で基本設計はADH/WORKSTATION設計です。
6街区はヒルサイドテラスアネックスなどを手がけた元倉眞琴のスタジオ建築計画と山本圭介、堀啓二による山本・堀アーキテクツの共同設計です。
ここのどの街区にも共通するコモンヴォイドなどの共有スペースが、そこから派生すると考えられていたコミュニティの発展にどのくらい効果的だったのかは、住んでみないとわかりませんが、竣工して20年近く経つのですでに結果は出ているのでしょう。
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数々の賞を受賞
6組の建築家をはじめ、ランドスケープデザイン、サインデザイン、照明デザインにも力を入れてつくり上げた一つの街なので、これまでの団地のイメージを覆す整理された美しい集合住宅でした。
ですから、これまでに、2004年照明普及賞・優秀施設賞、2005年度グッドデザイン金賞、2006年第47回BCS賞(建築業協会賞)、2013年都市住宅学会賞・業績賞を受賞しています。
私は仕事帰りに立ち寄ったので狙ったところもありつつ夜になってしまいました。昼間も再訪してからブログを書こうかと思っていましたが、時間がかなり経過してしまったので、夜の様子だけでアップしました。
今後昼間の訪問をすることがあれば追記していきたいと思います。
基本情報
東雲キャナルコートCODAN
江東区東雲1丁目9−19 MAP アクセス:りんかい線東雲駅徒歩14分、東京メトロ辰巳駅徒歩11分 |