「京都鉄道博物館」は以前の「梅小路蒸気機関車館」をパワーアップ、リニューアルして2016年に開館したまだまだ新しい博物館です。
最寄駅の嵯峨野線梅小路京都西駅からは徒歩2分とアクセスもよく、京都駅からも徒歩で20分と歩けない距離ではありません。また、その立地は梅小路公園に隣接しており、公園内には京都水族館もあるので一日中楽しめるスポットです。
鉄道好きや子どもが楽しいのはもちろんのこと、建築好きも唸るスポットがあるので、是非立ち寄ってみたい場所です。
沿革
開館したのが2016年なので歴史は浅いのですが、その前身である交通科学博物館と梅小路蒸気機関車館を含めるとその歴史は長く伝統ある施設です。
前身の交通科学博物館は、大阪で1962年に開館し、1964年に博物館の認定を受けています。その後、2014年京都鉄道博物館への改修・拡張に伴い閉館しました。
梅小路蒸気機関車館は、1876年に京都機関庫として仮開設したのが始まりです。その後1960年代に蒸気機関車が急速に姿を消していくことに対し、貴重な産業文化財として保存を目的とした日本初の施設として1972年に開設されました。
梅小路蒸気機関車館は大阪の交通科学博物館の後継施設として2016年にリニューアルオープンした京都鉄道博物館の附属施設となりました。
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扇形車庫
建築好きも唸ると言うのは、旧梅小路蒸気機関車館の場所である扇形車庫です。
その名の通り扇型をした20線の引き込み線を持つ蒸気機関車の車庫で、1914年(大正3年)に建設された現存する最古の鉄筋コンクリート造りの扇形車庫として国の重要文化財に指定されています。
設計は渡辺節、施工は大林組です。渡辺節は鉄道院(国交省やJRの前身で国家行政機関)に入ったばかりでここ梅小路機関車庫を担当、その後京都駅などを担当したのちに独立し、重要文化財の綿業会館などを設計しました。
このブログでも度々取り上げている村野藤吾は渡辺節建築事務所出身です。
村野藤吾についてはここをクリック!
扇形車庫の屋外には転車台(ターンテーブル)と放射状に伸びる引き込み線があります。▲
蒸気機関車は車庫から引き込み線で転車台まで移動し、蒸気機関車の向きを変え、本線へと移動する仕組みになっています。
扇形庫には蒸気機関車18形式20両が収容・展示され、なんとすごいことに現在も車両基地としての機能があり、営業線とも接続されています。▲
運が良ければ蒸気機関車を実際に修理・整備している様子を見学することができます。
上の写真の蒸気機関車はアメリカ製の7100型。20世紀初頭、アメリカの西部開拓が終わろうとする時代の製造なので西部劇に登場する蒸気機関車のイメージそのままですね。これは日本に輸入され、北海道で走っていた「義経号」を復元したものです。
SLスチーム号
ここでは、車庫にある蒸気機関車を見学するだけではなく、観光用の「SLスチーム号」が運行され実際に乗車することができます。鉄道ファンや子どもたちに大人気なのです。
コロナ禍の現在本数を減らして運行していますが、大人300円、子ども100円で乗車することができます。時刻表はこちらを参照ください。
ちびっ子たちには、手前のドクターイエロー滑り台が一番人気だったりします。
蒸気機関車に乗れるだけでなく、様々な部品の展示もあります。▲
長い歴史のある蒸気機関を構成する部品は鉄道好きだけでなくメカ好きたちの目を捉えて離しません。
近隣の幼稚園の遠足の場所でもあるようです。ちびっ子たち大興奮▲
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展示車両
扇形車庫ばかりではありません。ここは鉄道博物館ですから、様々な展示物で鉄道に触れることができます。
館内に入ったところが「プロムナード」。
▲C62型蒸気機関車や0型新幹線が展示されているように見えます。が、これは入口側のほんの一部分で、この後ろにさらに様々な車両が並んでいます。
▲展示車両の車内にも展示品が多数並んでいます。
観てもらいたいものが沢山あるのですね。
▲新幹線の運転席に座ることもできます!
▲プロムナードを抜け本館の1Fへ行くとさらにまた展示車両が並んでいます。
展示車両は小さな子どもから大きな子どもにまで大人気ですね。
また国鉄時代からの様々な制服、積み重ねてきた技術など貴重な資料も展示されています。
車両工場もあって、なんと真下から電車を見学することもできます。角度を変えてみると新鮮ですね。▲
ハンマー持ってコンコンと点検のマネごとだけでもしたくなってしまいます。
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人気の蒸気機関車
プロムナードに展示されている蒸気機関車、C62型を詳しく見てみましょう。
戦後間もない時期に製造された旅客用蒸気機関車で、特急「つばめ」などを牽引していました。最高速は129Km/h。狭軌の蒸気機関車としては世界最速です。
今は外から見るだけの運転室。
コンピュータ制御どころか電気仕掛けもない、まさに機械制御。
バルブの開閉作業などで出力を制御して運転するのですね。
太い鉄製のロッド(赤く塗られている)が動いて、この大きな車輪を回転させるのです。
写真では見切れてしまっていますが右端にロッドを動かすための、蒸気機関車で一番重要な部品であるシリンダーがあります。
▲これがシリンダー。
実際に目の当たりにすると、こんなに小さいのかと驚くかもしれません。
全長20m以上、重量50トンという蒸気機関車ですが、あの丸く大きく特徴的なボイラー、後ろに載せた石炭などは全てこの小さなシリンダーの中にピストンを動かすために存在しているのですね。
本館2階
施設本館1Fは展示車両や資料がいっぱいで、それを丁寧に見ていたらあっという間に1時間2時間です。
2Fはもう少しライトに、休憩したりしながら鉄道に関する知識を得られるコーナーになっています。
▲日本で最大級のHOゲージの鉄道ジオラマ。
JR西日本だけでなく、JR各社や関西地方の私鉄も配置されています。
▲山陽新幹線のCTC(列車集中制御装置)の表示板もあります。たぶん実際の運行とは連動していません。
映画やテレビでよく目にするこのCTCの現物を見るだけでも興奮ものです。
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屋上
鉄道をたっぷり堪能したら屋上も登ってみましょう。
五重塔と現役の鉄道をいっぺんに眺めることができます。
▲鉄道の歴史を堪能したら、ここでぼーっとするのもいいかも。
角度を変えると京都タワーが▲
京都駅が近いことがわかります。
ひっきりなしに東海道新幹線とJR京都線が通ります。
とにかく新幹線、京都線、山陰本線、嵯峨野線などいろいろ走っている電車が一望できます。
私たちのように鉄道ファンでもないような者でも、日本の技術史、社会史として楽しめますし、機械好き、動きモノ好きにとってはいくら時間があっても足りない場所。鉄道ファンにとっては聖地のような場所なのではないでしょうか。
さらに意外にも建築好きにも見逃せない京都鉄道博物館です。
基本情報
京都鉄道博物館
定休日: 水曜、年末年始 入館料チケット:一般1200円、大高1000円、中小500円、3歳以上の幼児200円 京都市下京区観喜寺町 MAP アクセス:嵯峨野線梅小路京都西駅徒歩約2分、京都駅徒歩約20分 京都市バス 205・208系統乗車約10分梅小路公園・JR梅小路京都西駅前下車徒歩約3分、86・88系統乗車約10分梅小路公園・京都鉄道博物館前下車徒歩すぐ |