東京で見るべき建築の中でエリアを絞り、青山・表参道で見るべき建築の特集第三弾は、「70・80・90年代を代表する青山の名建築」です。
70年代の建築として、みゆき通りが建築ミュージアムのようになったきっかけを作ったのは山下和正のフロムファーストビルの登場によるところは大きいでしょう。
青山・表参道80年代建築の代表は安藤忠雄建築、90年代の代表としてアルド・ロッシとリカルド・ボフィル、2人の外国人建築家の建築を紹介します。
それでは青山・表参道界隈の昭和から平成を代表する名建築の数々をレポートします。
PRFrom 1st
設計 山下和正 竣工 1975年
表参道駅のA5出口からみゆき通りを徒歩5分ほど、正面には青南小学校、お隣には安藤忠雄建築が建つ好立地に1975年に竣工した、住居、商業、オフィスが入る複合施設です。
竣工時は、こんな辺鄙な場所に誰も来ないと言われたそうですが、それから50年弱。
フロムファーストビルの登場を機に青山の街は世界有数の建築ミュージアムのような場所へと大変貌を遂げました。
今や辺鄙どころか、ど真ん中です。
山下和正は、京都にある有名建築、建物のファサードが顔になってる「顔の家」や数寄屋橋交差点にあるとんがり屋根の「数寄屋橋交番」、森ビル所有で現代美術のギャラリーが多数入る六本木のピラミデなどを手がけた建築家です。
1976年にフロムファーストビルで日本建築学会賞を受賞しています。
レンガ風の暗赤褐色の炻器質タイルで覆われた外観。
ハイサイドライトやバルコニーによるランダムな凹凸が建築に表情を与えています。▲
中央プラザと名付けられた建物中央の大吹き抜け空間。▲
この場所に求められたのは生活、仕事、ショッピングが渾然一体となった、”小さな都市”を作ることでした。
スキップフロアや渡り廊下などが複雑に入り組んだ回廊で構成された小さな都市空間▲
複雑で自由な回遊性のある一筋縄では行かない内部空間▲
ファッションビルの先駆けとなったフロムファーストビルの魅力は、コンセプト通り”小さな都市”のようです。複雑に入り組んだ小道を歩くとちょっとした散歩のようです。
フロムファーストビルが、現在の建築ミュージアムのような名建築が立ち並ぶみゆき通りの起爆剤となったのは間違いありません。
青山・表参道の建築を語る上で絶対に外せない建築です。
六本木の山下和正建築の記事▼
基本情報
From 1st
港区南青山5丁目3−10 MAP |
PR
東京ユニオンチャーチ
設計 西松建設 竣工1980年
表参道でひときわ異彩を放つ教会建築、東京ユニオンチャーチ。
長い首をもつ麒麟のような、馬のような、動物を思わせる流線型のフォルムが目をひきます。
十字架の下の長い窓は礼拝堂内部から見るとは三浦啓子デザインの美しいステンドグラスが施され、太陽光を浴びて燦然と輝いています。▲
礼拝堂は床から最上部まで高さ約20mもあります。原宿側から見ると銅板葺きの曲面屋根がよく見えます。
麒麟や馬の首のように見えた部分は礼拝堂です。荘厳な空間が広がります。▲
お隣の青木淳設計のルイヴィトン表参道から見ると銅葺き屋根の様子がよくわかります。
最後に、この教会の設計者ですが、エドワード鈴木であると書かれているものが多いのですが、設計に関わっていたのかが正直わかりませんでした。
西松建設が設計・施工をしていることは教会の公式HPも書かれているので事実です。
このブログでは設計者を西松建設として表記しました。
基本情報
東京ユニオンチャーチ
渋谷区神宮前5丁目7−7 MAP |
PR
ラ・コレッツィオーネ/LA COLLEZIONE
設計 安藤忠雄 竣工 1989年CA
山下和正設計のフロムフォースとビルの隣に建つコンクリート打放しの安藤建築です。
地上4階、地下3階の建築。
みゆき通りに面する部分は小ぶりで閉鎖的なビルに見えます。
内部は階段や通路が入り組んでおり、まるで迷路のようです。
1回行っただけではその全貌を把握できません。
中央には地下からの大吹き抜け空間があり、光の差し方が尋常じゃない美しさを見せます。▲
これぞまさに安藤建築!
大階段を降りるとコンクリート打放しの大吹き抜け空間に。
直方体と円形の組み合わせの絶妙さと光の美しさが際立つ建築です。
基本情報
ラ・コレッツィオーネ/LA COLLEZIONE
港区南青山6丁目1−3 MAP |
ジャスマック青山/JASMAC AOYAMA
設計アルド・ロッシ 竣工 1991年
JASMAC AOYAMA(旧アンビエンテ・インターナショナル)は、1999年に交通事故により不慮の死を遂げたイタリア人建築家のアルド・ロッシが晩年に手がけた建築です。
入り口のAは多分施主だったアンビエンテ・インターナショナルのAでしょう。
青山の住宅街に突如現れるファンタジーです。
アルド・ロッシの日本初の建築は福岡のホテル・イル・パラッツォです。
内装に倉俣史朗が加わっておりデザイナーズホテルの先駆けでした。
ジャスマック青山は、ホテル・イル・パラッツオの2年後に竣工しました。
建物の側面は黄色に窓枠が赤。格子の連続模様のような窓のデザインはアルド・ロッシらしい。▲
現在は、貸しスペースとして場所を借りることが可能です。
この内部の写真は展示会で訪問した際に撮った写真です。▲通常は中に入れません。
外観は青、黄、赤という信号のようなカラーリングですが、内部はなんとピンクです。
地下には螺旋階段で降ります。▲地下にはさらに広い空間が広がっていました。地下もピンクです。
階段周りの床も凝っているけれど、天井周りもすごいです。▲ 日本とは思えません。
さすがバブル建築という装飾の大渋滞が見られます。
このような装飾やカラーリングはなかなか日本人建築家ではできない(やらない)ので貴重な建築です。
基本情報
ジャスマック青山/JASMAC AOYAMA
港区南青山4丁目11−1 MAP |
PR
浅葉克己デザイン室
設計アルド・ロッシ 竣工1991年
ジャスマック青山と同時期に、そしてめちゃくちゃ近所にあるのがグラフィックデザイナー浅葉克己の事務所です。
こちらは真っ赤な色は使われていません。▲
そのせいか落ち着いて見えます。
周りと比べると十分派手なのですが。
アルド・ロッシにオフィスの設計を依頼するってすごい!浅葉克己だからできたのか、バブル期ならではなのか、その両方が成せる技でしょう。
竣工して30年以上経っていますが、今でも大切に使われているのがわかります。
基本情報
浅葉克己デザイン室
港区南青山3丁目9−2 MAP |
PR
青山パラシオタワー
設計リカルド・ボフィル 竣工1999年
2022年1月にコロナウィルスにより82歳で亡くなったスペイン人建築家の手がけた建築です。
リカルド・ボフィルは、日本でユナイテッド・アローズ原宿本店や資生堂銀座ビルも手がけています。
資生堂はボフィルらしいカラーリングの建築ですが、青山パラシオタワー(明治安田生命パラシオ)は銀座に比べると硬派な感じです。
「パラシオ」とはスペイン語の「宮殿」という意味なので、その堂々たる佇まいは宮殿を思わせるものがあります。▲
窓枠にも宮殿らしい意匠が施されています。
照明が点灯すると宮殿感が増します。
1・2階にGUCCIが入っており、華やかな印象のビルです。
日本とは思えない光景が広がっています。▲
大型のビルなので多くのオフィスが入り、東京メトロの表参道駅と直結なのでたくさんの人が行き交っています。
基本情報
青山パラシオタワー
港区北青山3丁目6−7 MAP |
PR
ユナイテッド・アローズ原宿本店
設計リカルド・ボフィル 竣工1992年
リカルド・ボフィルが日本で初めて手がけたのはここユナイテッドアローズ原宿本店です。
この建築だけは表参道というより原宿駅の方が近いです。
ガラスのファサードとギリシャ風の柱の組み合わせが斬新▲
伝統と革新を表現したこの建築は竣工当時とっても新鮮でした。
中央のパサージュはUA Barのテラス席になっています。▲
基本情報
ユナイテッド・アローズ原宿本店
渋谷区神宮前3丁目28−1 2F 3F MAP |
青山・表参道の名建築の一つ槇文彦設計のスパイラル▼
東京都内建築巡り<表参道1>▼
東京都内建築巡り<表参道2>▼
東京都内建築巡り<表参道4>▼
東京都内建築巡り<表参道5>▼
PR