香港を訪れるなら絶対ここに泊まりたい!とオープンした時から決めていたホテルがあります。それは、THE FLEMING(ザ・フレミング)です。
ザ・フレミング香港は、もともとは1970年代に建てられた建物を活用して2006年に開業したホテルを、オーナーのJohn Huiが2017年に改装し全く新しいデザインホテルとして再生しました。
ホテルの改装を手掛けたのは香港の他に、パリとストックホルムにオフィスを構えるデザイン事務所「ア・ワーク・オブ・サブスタンス(A Work of Substance)」。です。
とにかくどこを切りとっても完璧でスタイリッシュなホテルでした。
PR1960年代の香港
リノベーションでコンセプトとなったのは、1960年代の香港のイメージです。
特にデザインの要素としてふんだんに取り入れられているのは、香港が経済成長していた60年代にその発展において重要な役割だった「海事」すなわち船のイメージです。
特に、ビクトリアハーバーを今でも往復している香港のアイコンとも言えるスターフェリーから着想を得たデザインは、隅々まで行き届いています。
その徹底ぶりには、目を見張るものがありました。
デザインコンセプトがはっきりしており、それを実現するデザイン力とバジェットがあったのでしょう。
どこを見ても60年代の香港とスターフェリーの趣が感じられます。
レセプション
最初に出迎えてくれるレセプションカウンターです。決して広いスペースではありませんが、古き良き香港を感じる空間です。
▲サッシュの桟や、カウンター周りなど細かいところもきちんとコンセプトに沿ったデザインに溢れています。
▲カウンターバックも凝っています。
注目して欲しいのは、カウンターの背面の壁のルーバーがアールを描いて天井に緩やかに繋がるところです。
船ぽさが演出されています。
▲コンパクトですが、居心地のいいロビー空間。ソファーバックの窓からは階下のレストランを見ることができます。
横の窓からは香港らしいビルが立ち並ぶ風景が見えます。
ザ・フレミングの共用部
細部までこだわり抜いたホテル空間です。気を抜いた所は皆無と言っていいでしょう。それでも、妥協した所は絶対にあるんでしょうけれど。
▲ロビーは2階にあります。写真は2階へ向かうエレベータホールへの通路空間です。
左の壁の照明はフレミングの部屋や共用廊下でも見られるデザイン。
船ぽさ、スターフェリーが感じられるレトロな照明がこのホテル空間の大事なポイントです。
▲クラッシックなエレベーター。
▲エレベーターの扉が開いてびっくり!内部は真紅とゴールドの組み合わせです。
けれども華美になりすぎず、非日常の空間へ来たという高揚感を高めてくれます。
▲共用廊下には部屋のサインを兼ねた照明が客人を誘います。
腰壁のデザインと中央がカーペットで、両サイドを木で貼り分けした床も既存のビジネスホテルぽさを極力感じさせない工夫。
PR
ザ・フレミングの部屋
さぁ、部屋へ。
フレミングの部屋は、ざっくり言ってエキストララージ、ラージ、ミディアム、スモールの4種類になります。
泊まった部屋はスモールクィーンという大きいんだか小さいんだか一見よくわからない部屋です。
簡単にいうとスモールだけど、ベットのサイズはクィーンだよ。という部屋なので、部屋サイズ的にはスモール。
▲部屋には中央にドーンとクィーンのベットが鎮座します。
照明だけでなくスイッチもとても凝っていました。
▲デスクです。客船に乗っている気持ちにさせてくれるデザイン。
▲圧倒的にスタイリッシュだったのは水回りです。香港の薬局からインスパイアされたデザインだそうです。解釈と翻訳がうまい!
深いグリーンのタイルと真鍮の洗面やカラン。円形ミラーのサイドの照明、ストライプの磨りガラス。そのすりガラスと呼応するデザインのグラス。ちょっと置いてあったタオルがガビガビだったけれど許す!
もうパーフェクト!デザインの勝利です。
ザ・フレミングはドアノブにかけるDDカードもおしゃれなんです。
▲カードではなく、ドアに取り付けられた円形金物を内側から該当メッセージが外に出るように回すだけ。
おしゃれー!
スターフェリー
地下鉄でもビクトリアハーバーを行き来することは可能ですが、やっぱり香港に来たら一度は乗りたいスターフェリー。
▲このクラシカルなスターフェリーの船内をおしゃれに解釈したのが、ザ・フレミングです。
▲真鍮板のサインやゴミ箱の形状と胴回りの木の装飾など、デザインソースとなったであろう意匠がそここに見てとれます。
PR
1階のレストラン
ザ・フレミングの1階は、レストランOSTERIA MARZIAです。
▲屋外の照明も店内の照明もカッコ良すぎですね。
▲照明の釣りもとやレストランの店内の天井もアールを描いています。天井の高いところには巨大な球体の照明。要素を多いのに全部球体だから全然うるさく感じません。
椅子はジャンヌレなのか、ジャンヌレ風なのか?
ファサードから照明のスイッチに至るまで全てに抜かりないザ・フレミングに脱帽です。
ザ・フレミングのリノベーションを手がけたA Work of Substanceは、内装だけでなくブランディングやグラフィックデザイン、プロダクトデザイン、イラストレーションやアニメーションまで手がけてしまう万能なデザイン事務所です。日本でも手がけた仕事が見られる日が来るかもしれないですね。
香港で建築とアートを巡る他の記事▼
基本情報
THE FLEMING
41 Fleming Rd, Wan Chai, Hong Kong MAP |