中国に伝わる無数の宝物を収蔵することで世界的に知られる北京や台湾の故宮博物院が、ついに香港にも開館しました。
香港のウエストカオルーン地区に2022年夏に香港の著名建築家ロッコ・イム(Rocco Yim)の設計で開館した香港故宮文化博物館へ行ってきました。
香港の目的だった美術館M+とはこじつけて言うと隣同士という立地です。
ただ、隣同士といっても並んで建っている訳ではなく、ウエストカオルーンの広大なアートパークの中にポツンポツンと贅沢に建っている建物としては隣ということです。
ですから距離的には、それなりに離れています。とは言っても徒歩でM+から5−6分ほど公園の中を歩くと到着できます。
その建築と内部空間、アクセスとチケットの購入方法についてレポートします。
PR香港故宮文化博物館を設計した建築家ロッコ・イム
香港故宮文化博物館を設計したのは、香港出身の建築家ロッコ・イム(Rocco Yim)です。日本ではあまり知られていませんが、香港では有名な建築家です。主に香港、中国でのプロジェクトを多くて手がけています。
香港故宮文化博物館以外にも雲南省博物館や広東省博物館など、ファサードのデザインが大胆で印象的な巨大ミュージアムを設計しています。
ロッコ・イムが手がけたプロジェクトはRocco Design Architects Associates LtdのHPで見ることができます。
PR香港故宮文化博物館のグランドフロア
さすが故宮文化博物館だけあって、M+よりも訪問者の数が段違いに多いです。
外国人というよりは、中国全土からやってきている中国人が多かったように思います。
グランドフロアにも展示室があるので、そもそも入館するのに並びました。
というのもあらかじめ購入しておいたオンラインチケットのQRコードのチェックをしてもらう為の列です。
ちなみにオンラインチケットは日時指定制で、1時間刻みの予約時間に間に合わなかったのですが、全然問題なく入ることができました。
グランドフロア奥の展示室と2階より上は全て有料エリアです。
無料で出入りできるのはグランドフロアの一部と地下だけです。
グランドフロアには、奥の展示室の前に大きなエントランスロビーとその横にミュージアムショップがあります。
PR香港故宮文化博物館の展示室
香港故宮文化博物館は、13,000平方メートルの敷地に建っています。館内は9つのギャラリーで構成されており、北京の紫禁城にある故宮博物館から貸し出された1,000点あまりの貴重な宝物を見ることができます。
要するにでかい!広い!多い!です。
真面目に見ていたら1日では見きれません。
(だからと言って不真面目に見たわけではありませんが)
故宮博物館という名称の博物館は台湾の台北市に「国立故宮博物院」、北京の紫禁城に「故宮博物院」とがあります。もともとは紫禁城で歴代の中国王朝が収集してきた文化財を展示したのが始まりで、国民党の蒋介石が敗走する際に厳選して持ち出した文化財を展示しているのが台湾の故宮博物院です。香港故宮文化博物館は北京に残された方の文化財を借り出して展示しているのですが、それでもこれだけの量と質です。貴重なお宝の数々については専門家の情報を参照してください。
このブログでは、巨大博物館のインテリアについてレポートします。
各展示室で内容やコーナーが変わる度に様々なパーテーションが設置されていました。
ちょっと面白かったのでいくつかご紹介。
▲赤い門のようなパーテーション。
▲何が書いているあるのか意味はわからないけれど漢字だらけのパーテション。
▲完全に仕切らずに所々開口部があって、その先がチラ見えする壁。
また、以前に水戸芸術館で見たピピロッティ・リストの映像作品の見せ方を彷彿とさせる、寝て映像を見る装置。
みんなここで一休みです。
PR香港故宮文化博物館の大階段
M+にもありましたが、故宮文化博物館にも大きな大きな階段空間がありました。
両脇は蹴上が低く普通に上り下りする階段になっていて、中央部は腰掛けられる階段状の椅子です。
香港宮殿博物館は「垂直の中心軸」をコンセプトしたデザインになっています。
このコンセプトは、紫禁城の中心軸からインスパイアされているそうです。
館内には異なる方向を向いた3つのアトリウムがあり、これらが各フロアを垂直に結んでいます。
来館者はこのアトリウムの空間デザインによって上階へ吸い込まれるように導かれ高揚感が高まります。
博物館の建築の特徴の一つは、ベージュゴールドの半透明な天井です。
この天井は、竹や紗のカーテンのような独自のマチエールで、まるでインスタレーション作品のようにも見えます。
実はこの天井、紫禁城の大宮殿の屋根にある釉薬のかかった瓦をモダンに解釈したものだそうです。
建物全体で、伝統的な要素と現代的なマテリアルによるデザインが融合し美しい空間を形成しています。
香港故宮文化博物館のビューイングデッキ
ビューイングデッキは2階と4階の2ヶ所にあります。
どちらもビクトリアハーバーを望む絶景が見られるビューイングデッキです。
▲11月とは思えない夏日で暑いくらいでしたが、とても気持ちの良い空間です。
M+にはルーフガーデンがありましたが、 故宮文化博物館にはガーデンはありません。
ですから、ビューイングデッキには必ず行ってみましょう。
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香港故宮文化博物館のミュージアムカフェ
故宮文化博物館には、有料エリアである4階に中華のコース料理が食べられるレストランがありました。
ランチコースで約7000円くらいだったので、美術館のレストランとしてはなかなか高額です。
▲館内の無料エリアにあるのはグランドフロアのミュージアムショップと隣接するレストランです。
▲メニューはこんな感じです。
138HKDから178HKDなので、日本円だと麺類1杯2,500円から3,200円くらいです。
▲また、外部から出入りする飲食店もあります。ちょうど正面入口の裏側に当たる場所です。
ここには中華やクレープなど3店舗が並んでいます。
▲クレープやサンドイッチなどが食べられるレストランに入ってみました。
▲アボカドの乗ったカリフォルニアクレープです。
こちらもそこそこいいお値段だった記憶です。
ウエストカオルーンは埋立地を公園化し、そこに文化施設が点在しています。
飲食に関してはどこも新しいお店で料金高めです。
でも、博物館を見るには一日かかってしまうので、どこかでランチをしなければなりません。ここが悩ましいところですね。
香港故宮文化博物館へのアクセス
香港故宮文化博物館の場所は「西九文化区(West Kowloon Cultual District)」。その西九文化区の行き方が分かりづらいM+のさらに奥に位置しています。
ということは、M+への道順が判れば香港故宮文化博物館への行き方もも判るということです。
タクシーなどいろいろ行き方はありますが、多くの人は安くて速い地下鉄(MTR)を使うと思いますから、地下鉄からのアクセス方法です。
まず最寄り駅「九龍(Kowloon)駅」です。なお、MTRはSUICAみたいなOCTOPUS(オクトパス)という交通系ICカードを使うと便利です。(空港や各駅の服務中心(Customer Center)で購入できます)
そして九龍駅で降りたらまず1Fへ移動。香港は日本と違ってイギリス式の表記なので 1F というのは日本でいう2階にあたります。
ここは「Elements(エレメンツ)」というショッピングセンターになっているので、その「METAL(金)」エリアを目指します。
あちこちに写真のような案内板があるので、まずはそれを確認しながら西九文化区への連絡ブリッジがあるのは「METAL(金)」エリアを目指します。
▲METALエリアの端に行くとルイ・ヴィトンがあるのでその脇のエスカレーターで2Fへ上がります。
▲さらに進むとエスカレーターがあるのでその脇を右に入ります。右は西九文化区方面、左はSky100展望台という動線分けをしているようです。
▲エスカレーター脇の「西九文化区」への案内板です。
ただこの案内板は常時「西九文化区」が表示されているわけでなく、いろいろな案内がループして回っています。なので、エスカレーターの奥にあるブルガリ(BVLGARI)を目印にするのが良いと思います。
▲そのまま道なりに進んでいくと、このような連絡ブリッジがあります。これを渡れば西九文化区です。
実は西九文化区はまだまだ開発工事の真っ最中で、建物の建設工事や道路工事が進んでいます。いずれは香港故宮文化博物館やM+などへのアクセスも分かりやすく便利になると思いますが、今のところはこのようにちょっと分かりづらいルートでアクセスしなければなりません。
▲連絡ブリッジを下りると香港故宮文化博物館はこの先という案内板があります。ここまでくればもう大丈夫です。
▲オークション会社のPHILLIPSのビルに突き当たるのでそこを左へ曲がります。
▲するとM+の巨大な建物が見えてきます。
M+は素通りしてその先の芸術公園の中を抜ければ香港故宮文化博物館です。
▲振り返るとM+のシンボリックな建物。そして公園の中には案内板が整備されているので迷うことはありません。
もっとも案内板がなくても巨大な香港故宮文化博物館の建物がすぐそこに見えていますから。
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香港故宮文化博物館の開館日と開館時間
香港故宮文化博物館の開館日と開館時間にはちょっと注意が必要です。
休館日は火曜日。
M+は月曜日が休館日ですから併せて見学する場合は月曜と火曜を避ける必要があります。
開館時間は10時から18時まで。ただし金曜と土曜それと祝日だけは20時まで開館しています。22時ではなく20時という点に注意してください。もちろん祝日は日本と違って香港の祝日ですが、香港の祝日は毎年変わりますから事前に確認しておいてください。
なお最終入場は閉館時間の30分前です。
チケットとその購入方法
最後に香港故宮文化博物館のチケットとその購入方法を紹介します。
チケットの種類
チケットは常設展だけのチケットがHKD 60、企画展は展覧会によって異なるようです。
学生、7〜11歳の子ども、60歳以上のシニア、障がい者と付き添い1名は半額になります。なお、6歳以下の子どもは無料です。
当日券はチケットカウンターで購入できますが、M+と違って香港故宮文化博物館は中国本土からの観光客が多く平日でも混雑しています。前もってチケットエージェンシー(Webサイト)からオンラインで購入しておくのが良いと思います。それにほんの気持ち程度ですがオンラインの方が安く購入できます。
それとオンラインだとM+とのセット券でさらに安く購入することもできます。
チケットエージェンシー
主なチケットエージェンシーを紹介します。どれも香港故宮文化博物館の公認エージェンシーです。
日本円で決済できるとか、購入ページが日本語対応しているとか、当日分を購入できるかなど細かい違いがあるので使いやすいサイトを使ってください。
また日本円での入場料は記事執筆時のものです。為替レートの変動により変わる場合があります。
trip.com
言語 : 英語 (日本語ページからは購入不可)
常設展入場料 : 1,112円
故宮博物館セット券 : 3,336円
当日購入 : 不可 (翌日以降のチケットを販売)
チケットタイプ : バウチャー (チケットカウンターで入場券と引き換え)
会員登録 : 必要
cityline
言語 : 英語
常設展入場料 : HKD 60
M+ セット券 : HKD 171
当日購入 : 可
チケットタイプ : QR入場券
会員登録 : 必要
備考 : JCBカード利用不可
klook
言語 : 日本語
常設展入場料 : 1,113円
故宮博物館セット券 : 取り扱いなし
当日購入 : 可
チケットタイプ : QR入場券
会員登録 : 必要
kkday
言語 : 日本語
常設展入場料 : 1,112円
故宮博物館セット券 : 取り扱いなし
当日購入 : 不可
チケットタイプ : QR入場券
会員登録 : 必要
備考 : PayPay残高支払い対応
今日明日で時間が作れたのでM+へ行きたい! というときにはcitylineかklookで。
訪問日が決まっているならklook(クルック)かkkdayの日本語ページで購入するのが安心だと思います。
ちなみに私たちは前日にklookでチケットを購入しました。QRコードはスマホに届くのでそのまま入り口でスキャンしてもらって入場できます。
中国が誇る故宮博物館のほんの触りしかないはずなのに、それでもその歴史と豪華さに圧倒される博物館です。たっぷり時間を取って楽しんできてください。
ここで紹介したエージェンシーはどれも購入の際に会員登録が必要になります。どれもきちんとした企業なので電話番号、メールアドレスを入力しても特に問題ないと思います。
香港の美術館M+について
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基本情報
香港故宮文化博物館 (Hong Kong Palace Museum)
開館時間:10:00 – 18:00(金土祝 –22:00) 休館日:火曜休館 チケット料金:一般 HKD 60、学生・7〜11歳・60歳以上は HKD 30 住所:West Kowloon Cultural District, 8 Museum Drive, Kowloon, Hong Kong MAP |