埼玉建築巡りその3は、中村拓志設計の狭山市の狭山湖畔霊園の2つの建築、エマニュエル・ムホーによる巣鴨信用金庫中青木支店、隈研吾設計の巨大な岩そのものの角川武蔵野ミュージアムの3カ所を巡りました。
「埼玉建築巡りその1 イイナパーク川口の三つの伊東豊雄建築をめぐる」
「埼玉建築巡りその2 伊東豊雄設計 まるで呼吸しているような空間 ヤオコー川越美術館・三栖右嗣記念館」
その1、その2、その3の建築巡りは全て1日でまわりました。
車であれば1日で全部巡ることが可能な建築巡りです。
公共交通機関を利用してめぐる場合は、1日だとちょっと難しいかもしれません。
角川武蔵野ミュージアムの本棚劇場▲
Advertisement狭山湖畔霊園
設計:中村拓志+NAP建築設計事務所
尾崎豊やいわさきちひろが眠る狭山湖畔霊園には、中村拓志が設計した二つの施設があります。
一つは霊園の入り口にある管理休憩棟で竣工は2013年、もう一つは霊園の中ほどの高台に建つ狭山の森礼拝堂で2014年に竣工しました。
狭山の森礼拝堂(納骨堂)
礼拝堂は、アルミ鋳物が覆う合掌型屋根と大ガラスが特徴的な建物です。
霊園に到着したら突然豪雨になって写真撮影もままならなくなってしまいました。
せっかく遠くまで行ったのに残念。
屋根は、川口市の鋳物職人たちと共同で開発した大きさ180×200mm厚さ4mmの手曲げしたアルミの鋳物でできています。
ただ、竣工して8年経過していますので所々に赤錆が目立ってきていました。▲
外観も個性的ですが、内観も同様です。
斬新な合掌形式は、2本の柱を互いに立て掛け合う扠首/さす構造になっています。▲
周辺の緑が柱の合間から垣間見えて、荘厳な雰囲気でした。
Advertisement管理休憩棟
礼拝堂より先にできた管理休憩棟です。
窓の高さに水盤があり、晴天の時は太陽光が水盤に反射して、天井に美しい水紋が現れるそうですが、見ての通りの土砂降りでしたので、全くそのような現象は見られませんでした。▲
周辺の森と山々のランドスケープの美しさを損なわないように低い平屋の建物です。▲
公式HPにも出ていますが、現在コロナウィルス感染防止の為、狭山の森礼拝堂も管理休憩棟も建築の見学は中止しているため中に入ることはできません。
どちらも外観からのみの見学になります。
特に管理休憩棟には入口に大きく「建築見学はお断り」の張り紙がありました。土砂降りだったので、ちょっと雨宿りしたかったけど残念ながら中には入らずに帰ってきました。
コロナが収まったら晴天の日にリベンジしたいです。
基本情報
狭山湖畔霊園
9:00-17:00 水休 埼玉県所沢市上山口2050 MAP アクセス:西武狭山線または西武山口線(レオライナー)西武球場前駅徒歩約10分 |
巣鴨信用金庫 中青木支店
設計:エマニュエル・ムホー 竣工:2014年
エマニュエル・ムホーによる巣鴨信用金庫は2010年の常盤台支店から始まり、2011年の志村支店、2012年江古田支店、そして2014年のここ中青木支店の合計4店舗あります。
どの店舗もエマニュエル・ムホーらしいカラーグラデーションがポイントの建築です。
あいにくの雨模様の訪問でしたが、こんな風にリフレクションが美しいのも雨ならではです。▲
ファサードのCUBEは4種類の奥行と24色に色分けされています。見る位置によってファサードの表情が変化するように配置されています。▲
12個のCUBEには小さな空中庭園が設置されていて、24色のカラーと植栽の緑とが楽しげなファサードです。
エマニュエル・ムホーのカラーグラデーションのインスタレーション作品は何度も見ているけれど、建築を見るのはこれが初めてでした。
最近だとユニクロ銀座の「人人・色色 | hitobito iroiro」が記憶に新しいところです。
エマニュエル・ムホーのインスタレーションはこちら▼
もう少し都内の馴染みのある場所だったら他の支店もまわってみたいんだけどなぁ。
基本情報
巣鴨信用金庫 中青木支店 8:55-15:00 土日祝休 埼玉県川口市上青木1丁目1−1 MAP
アクセス:JR西川口駅東口より鳩ヶ谷公団住宅行バス青木中央通り下車徒歩1分
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角川武蔵野ミュージアム
設計:隈研吾 竣工:2020年
角川書店が所沢に持っていた物流倉庫が老朽化し、建て直す必要があったため近くで土地を探していたところ、所沢市浄化センター跡地で再開発が検討されていました。
角川書店は、その充分な広さの土地に、物流倉庫だけでなく、印刷工場、オフィスを集約した施設をつくる計画をたて2014年に土地を買収しました。
所沢市はせっかく角川のような会社が参入するならば、文化発信的な施設にしてほしいと意向を示し、共同プロジェクトである「COOL JAPAN FOREST構想」を打ち立てます。
約40000平方メートルの敷地に「ところざわサクラタウン」として、町づくりを推進する文化総合施設を創ることになり完成したのがところざわサクラタウンです。
角川武蔵野ミュージアムは、このような経緯で計画された、KADOKAWAと角川文化振興財団が所有・運営する複合施設ところざわサクラタウンにある図書館、美術館、博物館が融合した文化複合施設です。
編集工学者松岡正剛が館長を務め、博物学者荒俣宏、建築家隈研吾、芸術学美術教育の神野真吾が監修しています。
外観
完成、開館した時から話題の場所でしたから、行く前から散々写真や映像を見ていたので、そんなにびっくりしないかなと思いましたが、本物はすごかった。
大階段を登ると見えてきました。▲
本当に隕石のような石の塊。巨大な岩そのものです。▲
この塊は、50×70センチ、厚さ7~8センチほどの花崗岩の石板で覆われています。
石は、中国山東省の山水岩(ブラックファンタジー)で、マグマが固まったと言われる頑丈な岩です。それを切り出し、フラットな石の表面をさらに石工の手で一つ一つ斫って割肌仕上げの加工をして、マチエールを出しています。
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エントランス
中に入ると床は白いけれどあとは真っ黒な大空間。
壁面右上に展示されているのは、大岩オスカールの作品です。▲奈良美智の立体もありました。
Rock Museum shop▲ ロックって言うから音楽関係の店かと思ったら、この建築を岩=Rockと言うことなんですね。【KADOKAWA公式】人気作品の映像商品取り扱い多数
こちらは角カフェ▲
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本棚劇場
テレビなどでも見かけるのがここ本棚劇場です。NHK紅白歌合戦でYOASOBIが歌唱したことでも話題になりました。最近では、ポリス×戦士ラブパトリーナの映画のロケ地にもなったようです。
本棚の本は自由に手に取って読むことができます。▲
本はジャンルごとにカテゴリー分けされています。▲
これが本棚劇場の1番の見せ場です。▲高さ8mの互い違いに並んだ本棚に、約3万冊の本が並び、その光景は圧巻です。
この吹き抜け空間では20分ごとに4分間のプロジェクションマッピングが上映されます。
天井の木の造作が隈研吾ぽいですね。
ここは本棚劇場を上から見下ろせるスポットです。▲
これだけ本があったら一日中いたって時間が足りません。
また、角川武蔵野ミュージアム館内では、展示会・展覧会がいくつも同時に開催されています。
屋外にはチームラボの作品もあります。
見るものによって入場料が異なりますので、事前に鑑賞するものを決めておきましょう。
本棚劇場に入るのも有料です。
無料で利用できるのは角カフェやミュージアムショップなどエントランスのエリアだけです。
Advertisement基本情報
角川武蔵野ミュージアム
日〜木10:00~18:00 金土10:00~21:00 毎月第1・第3・第5火曜日(祝日の場合開館・翌日休) チケットは企画展などにより異なる 当日券よりオンラインの事前予約の方が料金はお得 所沢市東所沢和田3丁目31−3 ところざわサクラタウン MAP アクセス:JR武蔵野線東所沢駅から徒歩約10分 関越自動車道「所沢」ICから約8分 有料駐車場有 |
続いて「埼玉建築巡りその1 イイナパーク川口の三つの伊東豊雄建築をめぐる」
「埼玉建築巡りその2 伊東豊雄設計 まるで呼吸しているような空間 ヤオコー川越美術館・三栖右嗣記念館」も参照ください。
埼玉県には他にメタボリズム建築の中銀カプセルタワービルで有名な黒川紀章設計による埼玉県立近代美術館があります。▼
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