村野藤吾が設計した品川駅のほど近くにある旧新高輪プリンスホテルことグランドプリンスホテル新高輪に初めて宿泊してきました。村野藤吾設計の3つのプリンスホテル、グランドプリンスホテル新高輪、ザ・プリンス箱根芦ノ湖、ザ・プリンス京都宝ヶ池は全て訪問はしていますが、ホテル建築はやっぱり宿泊しないとその醍醐味は味わえません。
ということで今回はザプリンス箱根・芦ノ湖に続いてグランドプリンスホテル新高輪に宿泊です。
都内在住のためなかなか都内のホテルに泊まる機会がありませんが、いつか宿泊してみたいと思っていたホテルだったので感慨もひとしおです。
PR新高輪プリンスホテル(現在のグランドプリンスホテル新高輪)
グランドプリンスホテル新高輪は新高輪プリンスホテルとして1982年4月に開業しました。1010室(当時)全ての客室にバルコニーがついた客室棟と、5000名収容できる日本最大級の大宴会場「飛天の間」を備えた宴会場棟は村野藤吾の設計によるものです。
私がいつでも訪問することができるグランドプリンスホテル新高輪に泊まりたかったので、村野藤吾設計のホテルだからという理由もあるのですが、それでもあえて宿泊したかったのは、宿泊棟のバルコニーに身を置いて見たかったからです。
今回、「トキメク、ミナトク。お得に宿泊キャンペーン」という全国旅行支援の少し前にひっそりと行われていた港区の旅行支援キャンペーンを使って破格の金額で泊まることができました。
Go toとか旅行支援は、このような機会を与えてくれるので、本当にありがたいです。
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ロビーの小山敬三作品
ホテルの顔とも言えるロビー空間には小山敬三画伯の巨大な作品「紅浅間」が飾られています。
この作品はコミッションワークで、竣工時から設置されています。小山敬三と村野藤吾といえば、1975年に開館した長野県の小諸市立小山敬三美術館の設計は村野藤吾によるもの。
その個人美術館は、小山敬三自身が私財を投じて建設されたものです。
有機的でなんとも村野藤吾らしいフォルムをしたこの美術館へは、これまでに何度か訪問しているのですが、まだ記事にしたことがないのでおいおい書いていきたいと思います。
さて、なんで新高輪で浅間山?と思いますが、小山敬三と言えば「浅間山」を描いた作品が一番有名ですから、浅間山の作品があれば、「ああこれはかの有名な小山敬三画伯の作品ですね。」となる方も竣工当時は少なからずいらしたはずです。
ホテルの内装はだいぶ変わっているそうですが、ロビー空間のこの作品は、今でも変わらずに訪問者を出迎えてくれます。
客室へ
すいているだろうと10月末の日曜15時過ぎにチェックインしたのですが、まさかの大混雑で、チェックインするのに30分以上もかかってしまいました。
よくみてみると、チェックイン待ちの人々は、自分も含めて大荷物を持っている人がほとんどおらず、どうやらみなさん都民のようです。旅行支援おそるべし、みんな都民はこのホテルに泊まってみたかったんですね。そんなこんなでようやく憧れの客室へ
その前に客室へ向かうエレベーターの扉にはマド貝です。これは村野藤吾最晩年の設計京都のザ・プリンス京都宝ヶ池と同じですね。▲
この貝は、ホテルの飛天の間や日生劇場などにも使われていますが、アコヤ貝と言われていることが多く村野藤吾自身もそう言っていたようですが、実際はマド貝のようです。アコヤ貝が調達できなかったのか、マド貝の方が適しているからなのか、真相は謎のようです。
エレベーター内部の天井にもびっしりです。隙間なく貼られたマド貝が美しいですね。エレベーターの内部からすでに非日常が始まります。
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バルコニー
ここです!ここに立って見たかったんです!
丸美帯びたバルコニーを包む、このレースのような繊細なアイアンワーク。間近に見れる日が来るとは感慨ひとしお。
とにかく、何をとってしてもまずバルコニーへ。
しかし、高層階指定で予約したのですが7階でした。一応7階以上が高層階ということなので、間違ってはいないんですが。ちょっとがっかり。
そして、もう少し品川駅側の部屋だったら東京タワーがバルコニーから見えたんですが、残念ながらこの部屋からは先端がちょっぴり見えるだけ。これもがっかり。でも、でも、1人2000円の宿泊ですから、文句は言えません。東京タワーはいつでも見られるので問題ありません。
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定点観測
さて、せっかくの宿泊ですから、憧れのバルコニーの定点観測です。
チェックイン後の夕方16時頃の様子です。▲レースのようなバルコニーの連なり越しにみる夕焼けがとても綺麗でした。
夜になりました。なんとレース状のバルコニーの模様から光が漏れて美しいこと!▲
これは宿泊しないと見られない光景です。
そして、朝焼けです。夕焼けとの違いは空が白っぽいこと。これまた美しい▲東京の朝も捨てたものではないですね。
さ、そろそろチェックアウトの時間です。すっかり青空になりました。▲
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メインバーあさま
ホテルの内装はどこも竣工時から時間が経っているため、改修工事が入っているのですが、竣工時の姿をとどめている場所がいくつかあります。
そのうちの一つがメインバー「あさま」です。店名の由来は入り口横にある小山敬三画伯の巨大な絵画「紅浅間」です。
内装だけでなく、家具も当時のままのように見えました。とにかくかっこいい。大人のための空間です。▲
痺れるなぁ。私はお酒が呑めないので見学だけでしたが、呑める人は是非大人の時間を過ごしてみてほしい。
気をつけなければいけないのは、メインバーあさまは、当面の間、日・月が定休日です。
どこもかしこもかっこいいのですが、特徴的なのは照明です。
村野藤吾設計の八ヶ岳美術館のドレープ天井を彷彿とさせるエレガントなデザインです。いいなぁ。これはうっとりです。▲
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日本庭園
せっかく早起きしたので、日本庭園を散歩しました。チェックインに行列できるくらい宿泊者がいるはずですが、朝の庭園には人影もなく静かでとても癒されました。
思った以上に日本庭園は広いのでホテル内で十分な散歩を楽しむことができます。
清掃担当スタッフの方がせっせと掃除をされていました。
また、村野藤吾設計の茶室惠庵があるのですが、このような感じで残念ながら近づくことはできませんでした。▲
他に観音堂や鐘楼、鯉のいる池などもあって、見応え、散歩がい十分。とてもホテル内の庭園とは思えません。
貴賓館も忘れてはいけません。宮家竹田宮の邸宅として、1911年 に竣工しました。
設計は片山東熊、木子幸三郎、渡辺譲です。片山東熊は、迎賓館赤坂離宮の設計でも知られています。
迎賓館赤坂離宮の改修工事を担当したのは村野藤吾で、ここでも村野藤吾と片山東熊との時空を超えたコラボレーションが見られます。
今回は、港区民割というマイナーなキャンペーンで破格の値段で宿泊することができたので、飛天の間の見学は叶いませんでしたがとてもよい時間を過ごすことができました。。
いつかコロナウィルスがおさまり、飛天の間での開催される絢爛豪華なパーティーにいけるといいなぁ。
村野藤吾の3つのプリンスホテルのうち、宿泊していないのははザ・プリンス京都宝ヶ池だけになりました。ここも宿泊していつかコンプリートしたいと思います。
基本情報
グランドプリンスホテル新高輪(旧新高輪プリンスホテル)
東京都港区高輪3丁目13−1 MAP アクセス:新幹線・JR線・京急線 品川駅(高輪口)徒歩約5分 都営地下鉄浅草線 高輪台駅徒歩約3分 品川駅からプリンスホテル高輪エリアを循環する無料シャトルバスあり |