上野公園内にある重要文化財の上野東照宮の一角に2020年春から公開されいている静謐な空間、その名も静心所は、建築家中村拓志&NAP建築設計事務所の設計によるものです。
金色に輝く煌びやかな上野東照宮とは正反対のソリッドで落ち着いた静心所と付帯施設である神符授与所を訪問してきました。
建築好きはもちろんですが、神社好きの方にもおすすめの場所です。
訪問は初夏だったので今は樹木の葉が落ち少し見え方が違うかもしれません。
PR上野東照宮内にある
お目当ての中村拓志&NAP建築設計事務所が設計を手がけた静心所と神符授与所は上野公園内にある重要文化財に指定されている上野東照宮内にあります。
上野東照宮は上野恩寵公園の中でも奥の方なので、上野駅からは歩いて10分ほどかかります。
▲200基あるという石灯籠の間を抜けて東照宮へ向かいます。実はこの灯籠も一つ一つ微妙に違う意匠なのでここから見所は始まっています。
なんと、名古屋の熱田神宮、京都の南禅寺とここ上野東照宮は日本三大石灯籠なんだそうです。
なるほど!だから有無を言わさぬ壮観な眺めなのですね。
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神符授与所
キンキラキンの東照宮の金色殿に突き当たったら、その左側に見えてくるのが神符授与所です。
片流れ屋根で拝殿形式の建築が神符授与所です。
黒い屋根の内側は東照宮の透塀のデザインを踏襲し、二重菱格子構造になっています。
金色殿の周囲を囲む塀なので見逃さないように。
▲内部では巫女さんが御朱印やお守りを授与するスペースになっていて、くり抜かれた窓から御神木がよく見えるようにレイアウトされています。
そして、ここまでは無料ですが、実は一番のお目当ての静心所へ行くには拝観料が必要なのです。
拝観料が必要
なんと、静心所だけを見学ということができず、上野東照宮とセットの料金になっています。
すなわち上野東照宮を見にきた人も静心所を通らなければ東照宮へは行けませんし、静心所だけ見にきた人も東照宮を通らないと出られません。
▲拝観料は大人500円です。
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静心所
拝観料を支払い中へ入ると、そこはとても静謐で荘厳な空気が流れる空間が広がっていました。
▲まさに静心所です。大きな楠と向かいあい、静な時間を過ごすためだけのスペースです。
▲神符授与所から上野東照宮まで御神木である楠を回遊するような動線になっています。
この御神木の楠は樹齢600年以上、幹の太さは8mに及びます。神社創建前からこの地に生きる上野公園の祖木です。
▲この台の上には靴を脱いで上がります。そして、御神木を前にすると拝まずにはいられない気持ちになります。
屋根の内部の木の美しいこと!
▲御神木の周りは伊勢五郎太石敷きになっており、この施設の中でも最も神聖な空間であることが強調されています。
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見どころは大イチョウ
静心所の壁面に長方形の窓が開けられているのがわかります。
▲建築見学に来た人は気になって必ずのぞく思うので見逃すことはないと思いますが、この窓の先にあるのは大銀杏の伐採跡です。
▲倒木の危険があったため、やむを得ず伐採されたのですが、実はその木は静心所の屋根として再生しています。
静心所の美しい屋根に使われている木材が、長らく社殿を守ってきた大いちょうなのです。
しかし、伐採された大銀杏の木は、腐朽によって大きい部材として利用できなかったので、最小断面60mm角で屋根を構成したのです。
また、カーブが美しい屋根のデザインも銀杏の葉が折り重なるような様子をイメージしてデザインされたものです。
さまざまな条件が重なりこの美しい屋根を持つ清らかな空間が生まれたのですね。
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上野東照宮
静心所で心身ともに清めたら、最後は重要文化財の上野東照宮の金色殿を見学して帰路につきましょう。
▲と言っても、内部は非公開のため外からその煌びやかな外観を眺めるだけです。
▲神符授与所の屋根のデザインに取り入れられた二重菱格子構造の透塀がこれです。
静心所の場所
境内の案内図がありましたので掲載しておきます。
▲訪問時は竣工したばかりだったので、この案内図には神符授与所も静心所も載っていません。
地図の金色殿の上にある大楠が静心所の御神木なのでおおよその位置は確認できると思います。
静心所は屋外なので、できれば季節の良い時期の訪問の方がいいかもしれません。
雨の日も浄化されていて見応えがあるかも。
上野東照宮の静心所と神符授与所は、上野の美術館と一緒に一度は訪問したい建築です。
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基本情報
上野東照宮
冬季(10月~2月) 9:30~16:00 拝観料:大人(中学生以上)¥500、小学生¥200 台東区上野公園9−88 MAP アクセス:JR 上野駅公園口徒歩 10 分、京成上野駅徒歩 12 分、東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅徒歩 10 分 |
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