井の頭線の東松原駅から徒歩20秒、アクセス至便なカフェ「はぐくむ湖畔」。
ここは、なんとあの建築界のノーベル賞ともいわれるプリツカー賞受賞建築家で、フランスの「ポンピドゥー・センター・メス」や「静岡県富士山世界遺産センター」、「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE(ショーナイホテルスイデンテラス)」などを手がけた日本が誇る世界的建築家、坂茂(ばん しげる)設計のカフェなんです。
PRカフェ空間
まずは、建築家坂茂が手がけたカフェ空間をご紹介。あ!これは坂茂!とみる人が見れば一眼でわかるデザインです。
元々は薬局だったという駅近ビルの1Fにあるはぐくむ湖畔は、無機質なモルタル空間の中に、紙管(しかん)でできた椅子、ハイスツール、カウンター(腰壁)、パーテーション、棚、と目に付くもの全てが紙管でできていると言っても過言ではない坂茂ならではのカフェ空間が広がります。
坂茂のオフィスも激近なので、インターンの方などがよく利用されるそうです。
椅子の座面は、紙管と紙管の間にファブリックが挟まっています。▲
天井や棚の上部にも椅子と同様のパステルカラーのファブリックが意匠としてあしらわれており、紙管特有のクラフト紙の色だけではなく、リズミカルでとっても明るい印象です。
つなげることができる三日月型のテーブル席が並ぶ入り口側。▲
入口は全面ガラスの開口で、気候の良い時期は写真のように開け放し、あっという間にテラス席に早変わりです。
とっても開放的で気持ちいい空間。この空間は話も弾むし、食も進みます。
奥にある厨房とその前はカウンター席。カウンター前のハイスツールももちろん紙管です。
足の部分はコンパネ製で、そのアーチのデザインが美しい。
坂茂ハイスツールの脚のアーチ越しに見る紙管の椅子▲
紙管でできた座面の隙間から漏れる光がまるで、紙のカテドラルのよう!
坂茂建築の中では、小規模な方だと思いますが、その世界観は十分に堪能できる空間です。
紙管のパーテーションは変幻自在。イベント時には色々活躍しそう。▲
PR
ランチ
カフェでは、こだわりの詰まった美味しくてヘルシーなランチをいただきました。
建築好きとしては、この空間に身を置くだけでも十分満足なのですが、そこに美味しいものがあったら、それ以上幸せなことはありません。
はぐくむ湖畔では、ヴィーガンメニューや都内で採れた新鮮野菜をふんだんに使った身体に優しい料理を提供しています。
そのコンセプトには、身体や地球環境に優しいこと、安心安全であることなどが挙げられます。
まさに坂茂の紙管建築の世界観と共鳴します。
ドリンクは、自家製ジンジャーエール(右)といよかんジュース(左)▲
いよかんジュースは瓶でカフェで購入も可能です。
ジンジャーエールは辛すぎない爽やかな飲み心地、いよかんジュースは美味しい上にビタミンが染み渡って体が喜ぶのがわかる!
ランチはヴィーガンプレート(上)と週替わりプレート(下)です。▲副菜と日替わりスープは共通。
この日の日替わりスープはジャガイモのビシソワーズでベースは豆乳です。これがごくごくいけちゃう美味しさ。
副菜のサラダは、はぐくむ湖畔のマネージャーさんの出身地小金井で採れた新鮮野菜、小皿に入ってるのははナスの揚げ浸し、その下はキャロットラペ、更に下がサラダカボチャ、そしてメインです。
週替わりプレートのメインはカジキマグロです。彩が綺麗なだけじゃなく、食感がバラエティに富んでいて飽きないし、栄養のバランスもバッチリ。
何より食の基本であるお米がとってもおいしかったので、食がすすむ、すすむ。
あっという間に食べ終えてしまいました。
ヴィーガンプレートのメインはカツです。▲「え?カツ?」って聞き直しちゃいました。
しかし!本当にカツだった。
完全にメンチカツでした。(念の為書いておくとヴィーガンメニューなので肉ではありません)
ソースをたっぷりかけていただきます。
PR
スイーツ
ランチもとってもおいしかったのですが、ここへきたらランチだけでなく、スイーツもはずせません。
甘いものは別腹ですから。
このアフォガード美味しい!!激しくおすすめ。▲
コーヒーが美味しいのか、自家製アイスクリームが美味しいのか、どっちなんだろうかと食べ進めてわかったのは、どっちも美味しいってこと。
そして、下に入っている玄米の食感もアクセントになっていていい感じ。
これはリピートしたい!
色彩からして抹茶に見えますが、違うんです。▲奇跡の植物と言われる「モリンガ」というめちゃくちゃ栄養価の高いスーパーフードが入ったシフォンケーキです。
モリンガって知らなかったのですが、沖縄県産のものだそうで、添えられているのは豆乳クリームです。
ふわふわのシフォンケーキはダイエット的にも罪悪感低めでどんどんいけちゃいます。
メニュー紹介
はぐくむ湖畔のランチのメニューです。
ヴィーガンの人も、ベジタリアンの人も、どちらでもない人もみんな美味しく食べられます。
テイクアウトも可能です。
木金土は、ディナーの営業もあるので日中の訪問が難しい方はディナーに行ってみてはいかがでしょう。(金曜のディナー営業はイベントのない日だけ)
PR
紙管と坂茂
そもそも、坂茂はなぜ建材に紙管を使うのでしょうか。
坂茂は、2022年4月に淡路島に開業したパソナグループ運営座禅リトリート&レストラン「禅坊 靖寧(ぜんぼうせいねい)」や、7月に2棟目がオープンした軽井沢の宿泊施設「SHISHI-IWA-HOUSE KARUIZAWA(ししいわハウス軽井沢)」などこれまでに宿泊施設やたくさんの住宅など様々な建築を手がけています。
しかし、その名を世界に知らしめたのは、国際コンペで勝利したポンピドゥ・センターメス(2010年竣工)やプリツカー賞受賞(2014年)だけではなく、緊急時用シェルター、仮設住宅の建築を手がけたことです。
それは地震や洪水で被災した人々や、暴力や虐殺を逃れてきた人々、すなわち弱者のための建築です。
そのために坂茂が多用しているのは、今や坂茂のアイコンとも言うべきマテリアル、さまざまな長さや厚さの再生紙の管「紙管」です。
紙管は、世界中のどこでも入手することが可能な素材です。
豊富に手に入るだけでなく、構造的にも耐久性があり、安価で、使用後はゴミになることもなく、シェルターや住宅、さらには教会の構造としても利用可能です。
実際に坂茂は、紙管で数々のシェルターや仮設住宅、行き場を失って絶望の淵にいる人々の祈りの場である教会などを手がけてきました。
これらの活動は、1995年に発足した坂自身が代表を務めるボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(Voluntary Architects’ Network: VAN)が行ってきました。
(VANは2013年にNPO法人として認証されています。)
これまでに2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2018年の北海道胆振東部地震、2020年の九州南部を中心とする集中豪雨といった自然災害発生時にも紙管を利用した「紙の間仕切りシステム」による支援を行なってきました。
現在は、ロシアのウクライナ侵攻により、難民として他国へと避難せざるをえない人々への支援を開始しています。
坂茂は、通常の建築の仕事と共に、90年代からこのような活動を続けてきました。
ですから坂茂にとって紙管は、単なるマテリアルではなく、困難な状況を救済するための全ての条件を満たした奇跡の素材なのです。
そして、坂茂は一介の「建築家」にはとどまらない多様な活動をしている類稀なる建築家なのです。
PR
はぐくむ湖畔とは
はぐくむ湖畔は、2020年10月にオープンした新しいカフェです。新しいのはお店だけではなく、その活動です。
通常のカフェ営業だけにとどまらず、ワークショップや、ヨガ、コーヒー、音楽などを通じてコミニケーションを図る、はぐくむアカデミーとたねラボというイベントを定期的に行なっています。
また、進行役として対話に精通したファシリテーターが同席し、参加者同士のコミニケーションを図りながら、楽しく美味しい食事をするデンマーク式のコミニティーディナー(事前予約制)など、実験的で新しいさまざまな活動を行なっています。
その理念はカフェのロゴマークにも反映されています。▲
運営会社の株式会社はぐくむが、2006年にこの地で発足したことと、坂茂の世界観に共感したことで、内装を依頼するに至ったそうです。
普通のカフェにとどまらないその活動領域の広さは、坂茂の建築家の枠には到底おさまりきらない活動と、どこか共鳴するものがあります。
このカフェは、建築好きだけでなく、ヴィーガンの方、健康志向の方、近所の方、井の頭線沿線の方などなどにおすすめのカフェです。
建築好きの方は、是非紙管の優れた耐久性、機能性を実際に感じてみてください。
坂茂が紙管を建築や救済のために多用する理由がきっとわかるはずです。
PR
基本情報
はぐくむ湖畔
ランチ・カフェ:11:30-18:00 水曜定休 モーニング:8:00〜10:00 木金日営業 ディナー:18:00〜22:00 木金土営業 詳細は公式Instagramをチェック 東京都世田谷区松原5丁目2−2 prendre YS 1F MAP アクセス:井の頭線東松原駅東口1より徒歩20秒 |
坂茂の記事はこちら▼
同じ世田谷区にある坂茂設計のレストラン
坂茂建築まとめ▼
広尾にある坂茂設計の集合住宅▼
建築家が手がけたカフェ特集
建築家が手がけた喫茶店▼
リノベーションカフェ▼
ヴィンテージ家具がすごいカフェ▼
東松原駅のレトロ喫茶
PR