神楽坂にある赤城神社は、今や説明不要となった日本で一番有名な建築家隈研吾設計の神社です。
隈研吾設計によるモダンなデザインの神社で有名なだけでなく、とってもかわいいうさぎのおみくじやうさぎの御朱印帳、そして「ゲゲゲの鬼太郎」原作者の水木しげる氏が、赤城神社でアニメのヒット・安全祈願をしたことに由来する個性的な目玉おやじのお守りやちゃんちゃんこお守りなどなど神社好き、鬼太郎好きにも人気の高いパワースポットです。
そして、当然ながら神楽坂赤城神社では七五三や結婚式などのお祝い事も行っています。
さて、隈研吾設計の神社とはどんな神社なのでしょうか。
▲地下鉄神楽坂駅の出入口からも見える大きな鳥居
PR赤城神社
赤城神社は700年以上の歴史を持つ由緒ある神社です。
天和3年(1683年)には徳川幕府が牛込の総鎮守と崇め、赤城神社は「日枝神社」「神田明神」と共に『江戸の三社』と称されました。
赤城神社のご祭神は磐筒雄命(いわつつおのみこと)合殿神・赤城姫命(あかぎひめのみこと)です。
そして赤城姫命は“女性の願い事を叶える女神様”とも伝えられています。
主なご利益は、良縁成就、夫婦円満、安産、殖産興業、厄難消除、学業成就など。
▲社殿までは大きな階段がある。秋の赤城神社の様子
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神楽坂パークハウス
実は赤城神社の境内には三井不動産のパークコート神楽坂というマンションが建っているんです。
そして、このマンションあと58年後にはなくなる運命なんです。
▲桜が美しい春の赤城神社。桜の背面にあるのがパークコート神楽坂で1階には、社務所や宝物殿(ギャラリー)、地域貢献ルームそしてあかぎカフェが入っています。
▲夏の赤城神社の様子。マンションのファサードのルーバーのデザインとグレーの壁面タイルの縦ストライプのデザインが呼応してまとまりを見せています。
▲神社とマンションの関係はこんな感じです。完全に境内ですね。
58年後にこのマンションがなくなってしまうのは、赤城神社再生プロジェクトによって建設されたマンションだからです。
赤城神社再生プロジェクトについては後述します。
神殿
鳥居をくぐり、大階段の先に見えてくるのが拝殿とその奥に神殿です。
マンションが社殿の横にあってもあんまり違和感を感じないのはやはりマンションのアルミスクリーンによる落ち着いたデザインによるところが大きいのでしょう。
▲社殿の屋根は鋼板屋根で、2枚の板を互い違いに重ねて並べた大和葺きです。
▲丸いフォルムでかなりデフォルメされた狛犬が神殿の横で互いに向き合って鎮座しています。
このスフィンクスのような狛犬は「加賀白山犬」と言って江戸時代には主流だったようです。
この狛犬のミニチュアが社務所で販売されているので興味のある方は購入を。
▲白木の檜角材の角を正面にして並べた連子格子とガラスで構成された透明感のあるシンプルでスタイリッシュな拝殿は、週末ともなると参拝者が絶えません。
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境内社
階段を登ってすぐ左横、に螢雪天神があります。
蛍雪天神は、1945(昭和20)年の戦災により焼失したものを2005年横寺町に本社を置く旺文社が全国の受験生への合格祈願の守護神「螢雪天神」として赤城神社に復興しました。
そういえば旺文社は蛍雪時代という雑誌を発行していましたね。調べてみたら過去形ではなく今でも発行しているようです。
現在の蛍雪天神の社殿は赤城神社と同時に新しくなったものです。
▲階段を登らずに脇道を直進するとそのさきに八耳神社、出世稲荷神社、東照宮があります。
▲八耳神社、出世稲荷神社、東照宮の前には鳥居、春には桜が咲いてとてもきれいです。
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あかぎカフェ
マンションの1階部分にあるあかぎカフェは、週末ともなると大賑わいです。
▲隈研吾設計の社殿と参拝する人々を眺めながらゆっくりとした時間を過ごしました。
▲これはランチメニューのトマトクリーム煮込みハンバーグペンネ添えです。美味しかったです。
▲あかぎカフェのドリンクメニュー
▲あかぎカフェのランチメニュー。神楽坂ランチとしてはリーズナブルですね。
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赤城神社再生プロジェクトとは
実は、赤城神社では前述した赤城神社再生プロジェクトが進行中です。
そのプロジェクトというのは、赤城神社では1959年に建てた社殿が老朽化し、耐震性を備えた新しい社殿を建築する必要がありました。
しかしその頃、少子化により神社併設の幼稚園が閉園せざるを得ない状況にあったのです。さらに、奉納や寄付も減少するといった財政難に直面していました。
これらを一挙に解決するため、三井不動産レジデンシャルとともに、境内に定期借地権付き分譲マンションを建設するというのがこのプロジェクトの骨子です。
これはどういうことかというと土地を売却せず安定収入を得たい赤城神社の幼稚園跡地に、等価交換による70年の定期借地権を設定した分譲マンションを建設し、70年の契約終了後は土地の所有権を神社に戻し、「赤城の杜」として復活させるという壮大で長期的なプロジェクトです。
2010年に竣工したマンションは2080年に更地になり再び「赤城の杜」として復活します。ですから計画が完了するまであと58年というわけです。
その復活の様子を確認することができるプロジェクト関係者は少なそうですが、かくいう私も無理ですが、遠くない未来に約束された赤城の杜の復活は楽しみですね。
基本情報
赤城神社
新宿区赤城元町1−10 MAP アクセス: 地下鉄東京メトロ東西線神楽坂駅出口1 神楽坂口徒歩1分
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かつてこの境内には、新宿区保護樹木に指定された大木が数十本ありましたが、この再開発の為に全て伐採されてしまいました。出世稲荷の建つ場所には、日露戦争での地域の戦没者を慰霊する忠魂碑が立っていたのですが、それも引き倒されて、再開発中は、仮社殿が建っていました。同様に破壊された鳥居、石碑、石燈籠などの残骸が、無造作に積み上げられていた光景を思い出します。70年後に更地にして木を植えたとしても、赤城の杜の復活は、さらに数十年先。そんな約束を誰が信じるでしょうか?この再開発を皮切りに、牛込見附の堀端に、妖怪ヌリカベのような、高層ビルを建てて景観を破壊し、ついには、神宮外苑にまで手を伸ばし、先人から受け継いできた大量の樹木を伐採して高層建築を建てようとしている三井不動産には、景観保全や文化財の保護という意識が根本的に欠けているように思います。
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多くの人が知らない貴重な情報ありがとうございます。