80年代後半に登場し今や現代アートの文脈で語れるようになったサンフランシスコ出身のグラフィティアーティスト、バリー・マッギー(Barry McGee)。
バンクシーやカウズと並ぶほど評価の高いバリー・マッギーの描いた壁画が恵比寿駅近くに登場しました。
シブヤ・アロープロジェクト
渋谷区ではヴィム・ヴェンダース監督で役所広司主演の映画「Perfect Days」のヒットもあり世界中に知られるようになった、建築家やデザイナーの手で公共トイレのイメージを覆そうという「THE TOKYO TOILET」プロジェクトがありました。
今回バリー・マッギー起用されたのは「シブヤ・アロープロジェクト」。災害発生時に一時的に避難できる安全な場所として定められた「一時退避場所」の位置をお知らせするため、そして渋谷区の景観を豊かにするために、公共スペースにアートを制作するプロジェクトです。
世界を少しでも良い方向に向かわせるためにアートやクリエイティブのパワーをということです。
このプロジェクトは以前から開始されていて、例えば宮下公園の山手線高架橋の下にしりあがり寿の絵が描かれていたりします。
そして2024年からプロジェクトがリニューアルされ、その第一弾が恵比寿のバリー・マッギーです。
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バリー・マッギー(Twist)
日本でもたびたび展覧会が開かれたりして注目度の高いバリー・マッギーですが今回はストリートにグラフィティをパブリックアートとして描くという仕事ですからまさに本領発揮、ほぼ自由に描けたのではないでしょうか。
▲場所は恵比寿駅近くの山手線高架下の庚申道ガードという場所です。すぐ近くにはTHE TOKYO TOILETの田村菜穂のトイレもあります。
明治通り側(山手線の内側)からガードの壁面を見たところです。
▲これは山手線の外側の出口の部分。
横幅で16mあるそうです。高さも天井ギリギリまでの3.5m。
▲ほぼ全景。タイトルは《Untitled》
スマホのカメラでは広角にしても全部が収まらない巨大な壁画です。
▲一癖ありそうな様々な人物の顔と幾何学的な文様が描かれているのはまさにバリー・マッギー節。
恵比寿の駅からも近いですし、あのバリー・マッギーですし、名所になりそうです。
Amaze
バリー・マッギーのグラフィティはガード下の渋谷寄りの壁に描かれているのですが、恵比寿駅寄りの壁にもグラフィティが描かれています。
制作は「Amaze(アメイズ) 」。バリー・マッギーとTwist+Amazeというコンビ名で活動するジョシュ・ラズカノ(Josh Lazcano)です。
Twistはバリー・マッギーのタグ名、Amazeはジョッシュ・ラズカノのタグ名なんですね。
▲アラン・マッギーと合わせての作品なんだろうと思います。
名刺代わりにAMAZEと描かれたこちらも同様に横幅は16m。
▲ブラックとシルバーでペイントされた、いかにもアメリカのグラフィティという感じ。
▲3D効果も狙っているのか広尾側(山手線の内側)から見たほうがしっくり来ます。
▲高架橋の橋台にはバリー・マッギーのグラフィティ。
勢い余ってこっちにまで描いちゃったんでしょうか。
広尾側からガード下を歩くと、右にバリー、左にジョシュを見ながらガードをくぐり、抜けると左にさらにバリーという贅沢な高架橋です。
ストリートアートやグラフィティの世界にとどまらず現代アートとして評価されるアーティストの作品がパブリックに見られる貴重な場所。これから他のアーティストも参加しさらに増えていくその第一弾として、まずは恵比寿でバリー・マッギーとジョシュ・ラズカノを見ておきましょう。
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第二弾は森山大道
リニューアルされシブヤ・アロープロジェクトの、バリー・マッギーに続く第二弾は日本の写真家、森山大道です。
▲場所はファイヤー通りの渋谷年金事務所の壁面。
渋谷消防署側の壁面の空飛ぶクジラの写真が森山大道の作品《Untitled》です。
ロハンナ・ルカテッリ
リニューアルされる前のシブヤ・アロープロジェクトの作品は今も残され機能しています。
主に渋谷駅周辺にあるようですが、それは渋谷区在住の人だけでなく渋谷を訪れる人にも一時退避場所の位置を知らせるために人通りの多い場所に設置されているのです。
▲たぶん一番多くの人の目に触れているだろうと思われるのが渋谷駅と渋谷マークシティとの連絡通路の脚柱に描かれていた作品。
ブラジルの女性ビジュアルアーティストで壁画家の「ハンナ・ルカテッリ(Hanna Lucatelli)」の作品。シブヤ・アロープロジェクトでの最初の外国人アーティストです。
ただ残念なことい2024年3月で別のプロジェクトの別の作品と入れ替わっています。
他には宮下公園のところのガード下、神宮通公園のところのガード下などにも壁画があります。
バリー・マッギー/アメイズに続いてさらら作品が増えるでしょうから、シブヤ・アロープロジェクトだけにパブリックアート巡りができるようになりそうです。
2つのシブヤ・アロープロジェクト
シブヤ・アロープロジェクトは2023年以前と2024年以降とで別の会社が運営を行っています。
そのため公式サイトが2つ存在する形になっており、Googleなどで検索すると古い方の公式サイトが多く表示されるというちょっと困った状況になっています。
シブヤ・アロープロジェクトについてもっと知りたい場合は次のサイトをご覧ください。
基本情報
Barry McGee / Amaze
アクセス:恵比寿駅から徒歩3分 |