南青山の岡本太郎記念館で開催されている日本の偉大な芸術家、岡本太郎のモザイクタイル《ダンス》を中心に、踊りが現す生命力を描いた作品を公開する展覧会「タローのダンス」。
《ダンス》はもともと1960年代に高島屋大阪店の大食堂に飾られていた作品ですがいつの間にか死蔵されてしまい、それを復元し再び高島屋大阪店に展示したのが10年ほど前。それ以来高島屋のシンボルとして親しまれているのだそうです。
▲高島屋の作品とは微妙に絵柄が異なる「ダンス」。
このような民俗的な踊りに根源的な生命力を見出した岡本太郎はダンスを直接的に描くだけでなく、まるでダンスを踊っているかのような表現の作品も残しています。
《タローのダンス》展はそうした作品を集めて一望しようという展覧会です。
PRタローのダンス 第一展示室
大阪万博での「太陽の塔」、今は渋谷駅に展示されている「明日の神話」といった作品で知られる芸術家で、世界的にも多くのファンがいます。
あのレディ・ガガも来日した際にはここ岡本太郎記念館に足を運び、岡本太郎の作品集を購入しています▼
岡本藝術: 岡本太郎の仕事 1911~1996→ (小学館クリエイティブビジュアル)
▲《タローのダンス》展は岡本太郎記念館に2つある展示室で開催されています。
こちらは第一展示室の展示作品。
高島屋大阪店の「ダンス」と関連する作品が並んでいます。
▲これも「ダンス」。1962年の油彩作品です。
女性と楽しそうに踊る岡本太郎の写真が背景です。
タローのダンス 第二展示室
続いて第二展示室。
▲太陽の塔の原型や座ることを拒否する椅子が並ぶのは最近の第二展示室の定番構成。なお、この展示室の椅子に座るのはNGです。
ここに”踊り” を表現したかのような作品が展示されています。
▲今回登場したのが太郎人形。
絨毯作品の前に立っています。
▲太陽の塔と椅子と太郎人形が目立ってしまいますが油彩作品もいつもの生命力溢れる岡本太郎です。
PR岡本太郎記念館のサロン
《タローのダンス》展を観たら、館内のサロン、アトリエそれと庭の作品も忘れずに鑑賞しましょう。
いつも作品が入れ替わっているので見過ごすことはできないのです。
▲《タローのダンス》開催中のサロンの様子です。
展覧会ごと、季節ごとに微妙に入れ替わりや配置替えがあるので、いつも間違い探し状態です。
2024年前半は麻の涼し気なスーツ、水色のネクタイです。
▲これは2023年夏の岡本太郎人形。
グリーンの半袖ポロにスラックス、そしてパナマ帽。
▲これは2022年夏の岡本太郎人形。
この時はストライプ柄のシャツにスラックス、そして帽子でした。
▲2022年春の「赤と黒」展の時はキャメルカラーのスーツ。ノーネクタイのワイシャツ。
▲これは数年前の様子。
ダークスーツだけどネクタイは岡本太郎自身のデザイン。
▲これはさらに昔の様子です。
白のスーツにやはり自分でデザインしたネクタイ。なんか旧いフランス映画に出てくるギャングのボスみたいにも見えます
ちなみに、衣装替えの際に使う服は、岡本太郎が生前着ていたものを今も利用しているのだそうです。
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岡本太郎のアトリエ
ここ岡本太郎記念館は実際に岡本太郎が住居として使用していた建物なので、当然創作の現場であるアトリエもあり、今も当時のまま残され見学することができます。
▲2024年《タローのダンス》展の際のアトリエです。
イーゼルに置かれている作品はたぶん展覧会と連動していると思われます。
▲それ以外の作品も毎回微妙に異なっています。
▲例えばこれは2022年の「岡本太郎の1世紀」展開催中のアトリエの様子です。
作品の入れ替えや配置替えが行われているのが分かります。
▲これは少し前の「赤と黒」の頃のアトリエ。
サロンやアトリエの様子を確認するのも岡本太郎記念館を訪問する楽しみの一つです。
庭と太陽の塔
岡本太郎の作品は館内だけでなく、その緑が自然のままに生い茂る庭にも点在しています。
▲岡本太郎らしい不思議な造形の生き物などの彫刻作品が無造作に置かれています。
一つ一つの作品というより、この空間自体が岡本太郎ワールドとしての一つの作品のようです。
ちなみに庭は入館料を払ったお客さんだけが入れます。無料ではないので注意しましょう。
▲ベランダから庭を見下ろしている太陽の塔。これも見どころの一つですね。
写真撮影について
岡本太郎記念館での撮影は原則として撮影OKです。企画展によっては撮影NGな作品もあるので、念のため確認しながら鑑賞しましょう。
ただ、撮影は可能でも作品に手を触れることはNGです。この点は受付でも注意されるので気をつけましょう。たぶん撮影に夢中になって作品に触れてしまう人が多いのだと思います。
展示室には「座ることを拒否する椅子」が置かれていますが、それはもちろん座るのは禁止です。でも庭に置かれている椅子は座っても大丈夫ですから「座ることを拒否する椅子」の座り心地を試してみましょう。
鑑賞時間の目安
第一展示室が10分、第二展示室も約10分。作品を一つ一つ丁寧に観ていけば30分くらい必要です。
サロンとアトリエを見て、庭の作品群を見ても合わせて1時間弱くらいでしょうか。
ただ岡本太郎記念館が初訪問の方は、サロンに並ぶ作品の数々、アトリエの空間と作品たち、そして庭の作品群と見どころが多いので1時間くらいあっという間に過ぎてしまいます。初訪問の場合は最低でも1時間、できれば1時間半くらいを目処にすると良いでしょう。
また、この展覧会も岡本太郎記念館も予約不要です。それと館内は土足厳禁。用意されたスリッパに履き替えます。
ミュージアムショップとカフェ
館内1階のホールにミュージアムショップが併設されています。
岡本太郎の関連書籍、グッズなどが購入できます。
▲また「ア・ピース・オブ・ケイク」というパンケーキが美味しいミュージアムカフェも併設されていて、こちらは岡本太郎記念館の入場者でなくても利用が可能です。
近くのAPOCと同じパンケーキが食べられます。
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岡本太郎記念館の建築
岡本太郎記念館は岡本太郎の友人で、ル・コルビュジエの弟子でもある坂倉準三による設計です。
戦前ここは岡本家が渡仏するまで暮らしていた住居だったのですが、空襲で焼失していまい、戦後岡本太郎が再建しています。
全体としては、展示室やア・ピース・オブ・ケイクの入る旧館と、アトリアなどが入る展示棟が隣接して建っています。
▲岡本太郎の描いた顔とサインが壁面に見えるこの建物が「旧館」。岡本太郎の希望だという面白い屋根の形がこちら側からだと良く分かりますね。
この旧館の1階には「ア・ピース・オブ・ケイクス」や受付にホールなど。2階には第一、第二の2つの展示室があります。
その右に見えるのが「展示棟」。ここにサロンやアトリエが入っています。
▲今は2つの建物を無理やり繋げているので、旧館ホールから展示棟サロンへ通じる通路は開口部の寸法が異なり ”頭上注意” の貼り紙だらけ。
でも岡本太郎の作品の世界(旧館)と岡本太郎のリアルな世界(展示棟)を行き来する良いアクセントになっていると思います。
ちょっと待った! 帰る前に
「岡本太郎の1世紀」展を見て、サロンやアトリエを見学し、ミュージアムショップでお土産を買い、庭の作品たちも見て回り、最後にミュージアムカフェでひと息ついて。
さぁ帰ろうという前に、見ておくべき岡本太郎作品はまだありますよ。
岡本太郎記念館のブロック塀に沿って裏手の方に回り込んでみましょう。門扉に使われているのは岡本太郎のアイアンワークです。
ここまで見て初めて岡本太郎記念館コンプリートです。
▲また、ブロック塀の角のところに消えかかった「殺すな」の文字があります。
岡本太郎の有名なメッセージですが、ブロック塀に書かれていたのは実は岡本太郎のものではありません。2013年に「明日の神話事件」を受け、Chim↑Pomがここで展覧会を行った際のインスタレーションの名残です。10年以上経ってほとんど消えかかっているので、今のうちによく見て岡本太郎とChim↑Pomのメッセージを受け止めてみましょう。
岡本太郎記念館をまだ訪問したことが無い方も、この機会に岡本太郎の創作の裏舞台も垣間見える記念館を訪問してはどうでしょう。
岡本太郎の魅力溢れる作品、サロンにアトリエそして庭など映え写真のポイントだらけです!
基本情報
「タローのダンス」
10:00 – 18:00 一般650円、小学生300円 予約不要 岡本太郎記念館 港区南青山 6-1-9 MAP アクセス:地下鉄表参道駅より徒歩8分 |
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