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バウハウスを源流に新時代の「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」展を東京都庭園美術館で


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白金台の「東京都庭園美術館」で「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」展が開催されています。

20世紀初頭にバウハウスが設立されそのモダンデザインの思想を世界中に与えてきたドイツは、戦後そのモダニズムを継承しながら新しい時代の表現を追求していたました。

本展では主に1950年代から60年代にかけての西ドイツのグラフィックデザインを幾何学的抽象、イラストレーション、写真、タイプグラフィという4つのカテゴリーに分け、その西ドイツのグラフィックデザインの魅力を再確認するものです。

会場となる庭園美術館(旧朝香宮邸)はその美しいアール・デコの美術館建築を筆頭に、広々とした庭園、日本庭園の美しい池に面した茶室、テラス席が気持ちいいミュージアムカフェCAFE TEIEN、杉本博司設計監修の新館などその魅力は枚挙にいとまがありません。とにかく何度訪れても毎回満足度の高い美術館です。

また、夜間開館やWelcome Youth 2025などが企画されているのでそれらについても紹介します。

東京都庭園美術館《戦後西ドイツのグラフィックデザイン》2025、写真:建築とアートを巡る

展覧会場の東京都庭園美術館

1933年、東京白金の御料地の一部に朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)が竣工しました。今から90年以上前のことです。

東京都庭園美術館, 2024、写真:建築とアートを巡る

▲邸宅の敷地は約一万坪で、芝生、日本庭園、盆栽・花卉園があっただけでなく鶴や孔雀などの動物たちが庭を闊歩していたそうです。

アールデコが全盛期を迎えていた時代に建設された貴重な建物で ”現存する世界一美しいアールデコ建築” とも称され、建物自体が芸術品とも言えます。

東京都庭園美術館, 2025、写真:建築とアートを巡る

▲邸宅の内部装飾はフランスの装飾芸術家アンリ・ラパンにより制作されました。さらにアンリ・ラパンは朝香宮邸の主要な居室の室内設計も手掛けています。

なお本展では館内も展示作品も一部を除き写真撮影が禁止されています。建築ではなく、あくまで西ドイツのグラフィックデザインのための展覧会です。

建築が主目的の方は6月7日(土)から始まる「建物公開2025」を目指しましょう。

本館の見どころ

「戦後西ドイツのグラフィックデザイン」展はいつものように本館と新館を使って展示が行われています。

これまで庭園美術館を訪問した方はご存知でしょうが、庭園美術館は館内も写真撮影禁止です(「建物公開」の際だけは特別に撮影が許可されます。

ただし本展では本館の2室と新館が写真撮影可能になっています。

本展は、デュッセルドルフ在住のグラフィックデザイナーであるイェンス・ミュラー氏とカタリーナ・ズセック氏によって収集された「A5コレクション デュッセルドルフ」が所有する戦後西ドイツのグラフィックデザイン資料の中からポスターを中心に、冊子や雑誌など多彩な作品が展示されています。

写真撮影禁止な大広間では今でも斬新に感じるデザインのルフトハンザ航空のポスターなどが展示されていて、いきなりおぉ〜っとなります。

展示風景、東京都庭園美術館《戦後西ドイツのグラフィックデザイン》2025、写真:建築とアートを巡る

▲いつもは小客室にも作品が展示されますが本展では大広間の次は大客室という順路になっています。

その代わり、大客室内と展示作品は写真撮影可能です。

展示風景、東京都庭園美術館《戦後西ドイツのグラフィックデザイン》2025、写真:建築とアートを巡る

▲大客室のテーマは「1972年 ミュンヘン・オリンピック」。

痛ましい事件もありましたが、戦後西ドイツにとっての一大イベントとなるオリンピックなのでポスターにも力が入っていますし、その後世界の標準ともなるモダンなピクトグラムもこの時にデザインされたものです。

展示風景、東京都庭園美術館《戦後西ドイツのグラフィックデザイン》2025、写真:建築とアートを巡る

▲本館で写真撮影ができるもう1室は大食堂。

ドイツ北部キールで毎年6月に開催される世界最大規模のセーリング・フェスティバル「キールウィーク」のポスター。

他にもパンフレットなどが展示されています。

写真で紹介することはできませんが、本館の他の展示室ではドイツの古都カッセルで開催される現代美術の展覧会「ドクメンタ(documenta)」のポスター、ジャズフェスティバルのポスターなど、まさに戦後西ドイツのグラフィックデザインを俯瞰できるような展示が行われています。


新館の見どころ

続いて新館の「ギャラリー1」。

こちらの展示室は全面的に写真撮影可能です(ただし映像作品の撮影は禁止)。

展示風景、東京都庭園美術館《戦後西ドイツのグラフィックデザイン》2025、写真:建築とアートを巡る

▲主に1960年代の映画のポスター、レコードジャケット、雑誌、各種フライヤーなど ”グラフィックデザイン” が使われる幅広い印刷物が展示されています。

展示風景、東京都庭園美術館《戦後西ドイツのグラフィックデザイン》2025、写真:建築とアートを巡る

▲映画のポスターです。右上はマルセル・カルネの「天井桟敷の人々」。ドイツ占領下のパリとニースで撮影された映画ですね。

右下は日本の巨匠、小津安二郎の「浮草」。

日本映画のドイツ版ポスターは黒澤明の「羅生門」、「七人の侍」、小林正樹の「切腹(ドイツ版タイトルは HARAKIRI)」など当時全盛期を迎えていた日本映画のポスターも多いです。

ゴダールもありますし、本国(日本やフランスやアメリカ)とは趣の異なるいかにもドイツなポスターになっていて興味深いです。

展示風景、東京都庭園美術館《戦後西ドイツのグラフィックデザイン》2025、写真:建築とアートを巡る

▲イベントのポスターですが左の2つは1960年代中頃、右はサマー・オブ・ラブの1967年。

さすがのドイツモダンデザインもあからさまにサイケデリックというのが時代を感じさせます。

世界に影響を与えたバウハウス以来のモダンなデザインが多いのですが、逆に世界的な潮流の影響を受けながら進歩していくのだなとよく分かる展示です

展示風景、東京都庭園美術館《戦後西ドイツのグラフィックデザイン》2025、写真:建築とアートを巡る

▲dtvという出版社の冊子。

羽ペンを持ったフクロウが可愛いです。

1,000点以上のポスターと10,000点を超える資料を誇る「A5コレクション デュッセルドルフ」から、本展のために約130点のポスターと数え切れないほどの資料が来日していますが、どれも日本初公開となるものだそうです。

自動車や電気製品などプロダクトから印刷物まで、なんとなくドイツのデザインは表現主義やバウハウスの国だけあってカッチリしているなあという印象はあると思いますが、こうしてまとめて俯瞰してみると世界のデザイン界の中でもある種独特の位置を占めているのだということがよく分かります。


ミュージアムショップ

庭園美術館のミュージアムショップは新館のロビーにあります

東京都庭園美術館, 2025、写真:建築とアートを巡る

▲トートバッグは「長距離走者の孤独」も「1967年3月までのdtv総覧」も2,600円(税込)。

どれも欲しくなるポストカードは1枚180円(税込)。好みのポストカードを探してみてください。

東京都庭園美術館, 2025、写真:建築とアートを巡る

▲展覧会図録は3,300円(税込)。

オンラインストアでも購入できますが送料がかかります。

Cafe TEIENの特別メニュー

ミュージアムショップの向かいは庭園美術館のミュージアムカフェ「Cafe TEIEN」。

いつも展覧会とコラボするメニューを提供していて、それを楽しみに庭園美術館を訪れる方も多いでしょう。

Cafe TEIEN、東京都庭園美術館, 2025、写真:建築とアートを巡る

▲《戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見》の企画展特別デザートは「ガトーオ フレーズ 〜ブルーマカロンとミルクジェラートを添えて」900円。

プラス500円でドリンクセットにできます。

Cafe TEIEN、東京都庭園美術館, 2025、写真:建築とアートを巡る

▲青と赤と黄色。

「バウハウスの三原色」をイメージしたケーキです。

全体に小ぶりですがスッキリした味わいのデザートです。

Cafe TEIEN、東京都庭園美術館, 2025、写真:建築とアートを巡る

▲Cafe TEIENのテラス席は12席。

これからの暖かい季節はこのテラス席はすごい人気になります。

なおCafe TEIENは以前とシステムが変わり、前オーダー制になりました。入店時に入口のレジカウンターでオーダーと決済を済ませてから入店します。

また滞在1時間の時間制限も設けられています。


写真撮影について

今回の展覧会は原則として写真撮影禁止です。動画の撮影、フラッシュ、三脚、自撮り棒、望遠レンズの使用も禁止です。

撮影可能なエリア、作品についてはその旨の掲示があります。私たちが訪問した時は大客室。大食堂、新館ギャラリー1のみ撮影可能でした。訪問時は美術館からの最新の指示に従いマナーを守って撮影しましょう

さらに東京都庭園美術館は本館内の写真撮影は禁止です。展示室内はもちろん2階ベランダなど作品が展示されていない場所も撮影禁止です。

東京都庭園美術館《戦後西ドイツのグラフィックデザイン》, 2025、写真:建築とアートを巡る

鑑賞時間と混雑状況

展示エリアは通常の展覧会に比べると少ない(使用していない展示室も多い)ですし、作品数もそれほど多くはありません。その代わり文字を読まないと分からない作品も多いですし、しかも不慣れなドイツ語。ビジュアルだけ鑑賞するなら1時間もかからないと思いますが、中身まで多少でも理解しようとすると1時間半以上かかると思います。

また、私たちが訪問したのは開幕後の早い時期の平日でしたが思っていた以上に混雑していました。特に午後になるとさらに鑑賞者が増えていた印象です。

グラフィックデザインということで一般の鑑賞者の他にプロのデザイン関係者も多いのではないでしょうか。本展のように美術館でグラフィックデザインがメインの展覧が開催される機会は少ないのですから。

展覧会は会期が進むにつれ来場者が増えるものですから、週末はもちろん会期後半は相当に混むこと覚悟しておいた方が良いと思います。

春の夜間開館

庭園美術館では不定期で夜間開館を実施していますが、「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」開催中で桜も同時に楽しめそうな日に夜間開館が実施されます。

開催日は2025年3月21日(金)、22日(土)、28日(金)、29日(土)。

この日は開館時間が20:00まで延長され、庭園の桜もライトアップされます。

Welcome Youth 2025

例年、都立の美術館・博物館など文化施設では18歳以下の方が気軽に芸術文化に親しめるイベントを実施していますが、今年も「Welcome Youth(ウェルカムユース) 2025」が開催されます。

18歳以下(2006年4月2日以降生まれ)の方は、休館日を除く2025年3月8日(土)〜4月6日(日)までの期間中「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」展と庭園に無料で入場することができます。

学校が始まる前の春休み期間中に庭園美術館と展覧会を楽しんではどうでしょうか。しかもちょうど桜が満開になる季節です。

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基本情報

戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見

会期:2025年3月8日(土) – 5月18日(日)

時間:10:00 – 18:00
3月下旬の金土は20時までの夜間開館あり

休館日:月曜日 (5月5日は開館し5月7日は休館))

観覧料:一般 1,400円、大学生(専修・各種専門学校含む)1,120円、中高生・65歳以上 700円
4月6日(日)まではWelcome Youth 2025として18歳以下は入場無料

東京都庭園美術館

住所:港区白金台5-21-9 MAP

アクセス:都営三田線・東京メトロ南北線「白金台駅」1番出口より徒歩6分、JR山手線「目黒駅」東口/東急目黒線「目黒駅」正面口より徒歩7分


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