最近の森山大道
最近、森山大道の活動がとても活発です。あっちこっちで常に展覧会を開催しているように感じますが、気のせいではないはずです。つい先日原宿のTOKYO CULTUART by BEAMSで「Orizuru」を観たばかりですが、今度はNADiff galeryでの個展です。昨日のブログで書いた「森万里子 古事記―はじまりのとき」展 が2階のスクールデレック芸術社会学研究所で開催中なので合わせて鑑賞をお勧めします。
展覧会として記憶に新しいところでは、2020年6月から開催していた東京都写真美術館での展覧会「森山大道の東京 ongoing」は、森山大道らしい東京の切り取り方が印象深い個展でした。▼
展覧会ではないのですが、KAMU kanazawaにRIP BARができたのもニュースでした。まだ行ってないのでこれはパンデミックが治ったら行ってみたいところの一つです。
更に東京ではすでに上映が開始されていますが、ドキュメンタリー映画「過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道」が全国順次公開予定です。それに合わせて3つの展覧会が開催されています。その一つがNADiff galleryの「Before 1968」です。この展覧会は『森山大道写真集成⑤ 1960-1982東京工芸大学 写大ギャラリー アーカイヴ』(月曜社)の刊行記念展です。東京工芸大学写大ギャラリーが所蔵する1960年から1982年に撮影された930点にも及ぶプリントが掲載された、森山大道の初期作品を辿る作品集で、東京工芸大学の写大ギャラリーでも森山大道 写真展「衝撃的、たわむれ」が5/31まで開催中です。
Before 1968
タイトルにある通り森山大道の1968年以前の仕事の展覧会です。1968年刊行のデビュー作となる『にっぽん劇場写真帖』誕生前の雑誌に掲載されたシリーズです。1960~80年代は『カメラ毎日』をはじめ『現代の眼』や『アサヒグラフ』といった雑誌の仕事が写真家の発表の場であり、森山大道の写真も雑誌文化の中で成熟していったのです。
展覧会では雑誌のアーカイヴもあわせて展示されています。展覧会は前期と後期に分かれています。前期は雑誌「現代の眼」と「カメラ毎日」から5つのシリーズ<通行人><無言劇><デコレイション><ヨコスカ><純喫茶>が展示されていました。
月刊誌「カメラ毎日」 1965 年8 月号(毎日新聞社) 〈ヨコスカ〉より▼
月刊誌「カメラ毎日」 1965 年10 月号(毎日新聞社) 〈純喫茶〉より▼
後期は5月27日(木)-6月13日(日)開催予定です。(当初の会期から変更されています)後期は「アサヒグラフ」と「カメラ毎日」からの出品です。
Before 1968 (後期)
5月27日(木)から始まったBefore 1968の後期の模様です。
「カメラ毎日」に掲載された「にっぽん劇場」。持ち込んだプリントが即掲載決定となったので、その場で「にっぽん劇場」というタイトルを決めたそうです。
「アサヒグラフ」に連載された寺山修司の連載小説「街に戦場あり」の撮影担当に指名されたのが森山大道です。当時のアサヒグラフや寺山修司が森山大道を知るきっかけになった雑誌「現代の眼」なども展示されています。
前期と後期は一部の資料類を除き、全ての写真が入れ替わっています。
これだけでなく、渋谷PARCO8階のほぼ日曜日でも「はじめての森山大道」という森山大道を知らない人向けの展覧会を開催しています。60年に及ぶ写真家としのキャリアをたどる森山大道の魅力をギュッと凝縮したベスト盤のような展覧会なのでしょう。