2022年8月南青山に建築専門出版社の新建築社と恵比寿でアートブック書店POSTを運営するlimArt/リムアートによって建築とアートをまたぐ専門書店「新建築書店/POST Architecture Books」がオープンしました。
建築とアートと聞いたら、これは行かなくてはなりません。
新建築POSTは1階が書店で2階はイベントや展示会を開催するギャラリースペースです。今回ご紹介する2階の展示会は、昨年ですでに終了していますが、どんな展覧会だったのかその様子もレポートします。
新建築社
新建築社は、建築専門の出版社ですが、その歴史は古く大正まで遡ります。1925年(大正14年)に大阪で創業し、創業と同時に現在も発行されている雑誌「新建築」が創刊されました。
これまでに看板雑誌の新建築を筆頭にさまざまな建築関係の雑誌、書籍を発行しています。
そして、あと2年後には創業100年を迎える老舗出版社です。
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POST
一方POSTは、アートブック書店POSTが恵比寿にあります。
このアートブック書店POSTの前身は、2002年にスタートした古書&インテリアショップの「limArt」です。その後2011年にブックショップ「POST」がオープンします。
POSTの代表中島佑介氏がこのようなお店を始めたきっかけの一つに、学生時代ワタリウム階下のアートショップon sundaysでバイトしていたというからすごく納得しました。
現在中島佑介氏は、2015年からアートブックの大人気イベント「TOKYO ART BOOK FAIR」のディレクターに就任しています。
POSTの特徴は、定期的に扱っている本が全て入れ代わる新しいタイプの書店であることです。しかも扱う本は出版社という括りで特集し、普通の書店では見えにくい「出版社」の世界観を感じながら本を購入できるようになっているのです。
新建築POST
老舗の建築専門出版社と新しい試みをしているアートブック専門書店がタッグを組んだ新建築POSTが面白くならないわけがありません。
それでは店内の様子を見ていきましょう。
▲1階ブックショップフロアです。書籍が整然と並んでいます。写真で見えている棚は「人類学」と「アーカイブ」にカテゴライズされた書籍です。
新建築POSTの他書店と違うところは、建築家や作家ごとに並んでいるわけではなく、都市、空間、環境、構造、形状、モノグラフ、プロダクト、アーカイブなどなどここ独自のカテゴライズがされているところです。
▲「環境」に並べられた書籍。例えば、環境にはロニ・ホーンの作品集が並んでいました。
▲1階中央に上階への階段があります。2階ではイベントや企画展示を開催したりしています。
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乾久美子設計
そもそも竣工した2016年は2階3階はオフィス、1階はイベントスペースのある新建築社編集部のアネックス機能「新建築社青山ハウス」としてリノベーションされました。
竣工時の設計は建築家の乾久美子です。新建築POSTの什器のデザインも乾久美子が手がけているので、空間は全て乾久美子によるものです。
▲竣工時は奥のスペースにはデスクがあったようですが、現在はギャラリーになっています。
▲逆から見たところです。3階は関係者以外立ち入り禁止です。2階の奥ではレクチャーを開催したりしているようです。
企画展示
▲すでに2022年12月で終了していますが、訪問時には新建築社が発行しているa+u臨時増刊号の茶室33選との連動企画で「茶室33選 本に学ぶ茶室の世界」という興味深い展示が行われていました。
▲茶室33選には建築史家で茶室や数寄屋の研究をされている桐浴邦夫氏がゲストエディターとして参加しており、利休・遠州の古典名作から近代までの33の茶室がまとめられています。
そして、企画展示では桐浴氏が選んだ茶室に関する書籍30冊がコメント共に展示されていました。
また、展示台には茶室の模型が並び、茶室建築同様にこの展覧会も小さいながら内容の濃い展示でした。
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また2階のスペースでは、展示だけでなく建築家をゲストに、これまで手に取ってきた書籍について語ってもらう「建築家のライブラリー」というイベントを開催しており、2022年最後のゲストは西沢立衛でした。
今後も様々な建築とアートにまつわるイベントや展示が開催されるはずです。
建築とアートにまたがる書店、新建築POSTに今後も注目していきたいと思います。
基本情報
新建築POST (新建築書店 POST Architecture Books)
月〜木休、金土日のみ営業 11:00-19:00 港区南青山2丁目19−14 MAP アクセス:東京メトロ銀座線外苑前駅徒歩3分 |