双子のアーティスト髙田安規子・政子姉妹の作品がとても好きなのですが、展覧会がない時は2人の作品は見られないと思っていたらそれは間違いです。実は、髙田姉妹の作品が常時いつでも見られる美術館があるのです。
それはこのブログでも以前紹介した東京都現代美術館と今回取り上げる横須賀美術館の二つの美術館です。
横須賀美術館に行ったら私のルーティン!知らないと見過ごしてしまう髙田姉妹の横須賀美術館の作品とその場所を紹介します。
見逃していたとしたらそれはあまりにももったいない!
PR修復
「修復」と題された作品は2005年から制作を始めたシリーズです。
実際に欠損した様々な場所を同じマテリアルを使って修復するのですが、その修復のスケールがちょっと違う。
気づかないと見過ごしてしまうような場所にひっそりと存在する作品。
どこにあるのか探していて見つけた時は声が出るくらい嬉しくなってしまう作品。
そして、作品の存在を知らない人が素通りしているのを見た時、ちょっと悦に入ってしまう、そんな作品シリーズです。
二つの作品
では、早速横須賀美術館にある2つの作品「修復」を見ていきましょう。
▲欠損した部分に全く同じコンクリート素材で修復が施されています。
ちゃんと目地もあります。そして1枚のコンクリート板のサイズの縦横の比率も正確に縮小されています。
▲こちらも同様に縮小されたマテリアルで修復されています。
皆が素通りする中で、この可愛い作品に気づくとたまらなく嬉しい。
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センス・オブ・スケール展
この二つの作品「修復」が設置されたのは、2019年に横須賀美術館で開催された「縮小/拡大する美術ーセンス・オブ・スケール展」の時です。
ですから、既に設置されてから今年2023年で4年目を迎えます。
この展覧会は、髙田姉妹の他に岩崎 貴宏、国友 一貫斎、鈴木 康広、高橋 勝美、田中 達也、 中谷 宇吉郎、野村 仁、平町 公、ロバート・フック、松江 泰治といったアーティストが参加するグループ展でした。
展覧会タイトルにあるように拡大・縮小する現代美術作品を集めた画期的な展覧会でした。
現在も常設されている「修復」だけではなく、どれもこれも感嘆の声が止まらなくなるような髙田姉妹の作品が出品されていたのです。
もう1回観たい!と思わせるとても印象に残る展覧会でした。
スケールの変容
そもそも髙田安規子・政子姉妹が、モノのスケールを変容させる一連の作品の制作を始めたのは、日本の美術大卒業後に留学したイギリス・ロンドンにいた頃に遡ります。
日本よりはるかに多国籍な人種の人々、価値観の幅も広いロンドン滞在中に、姉妹は日本にいた頃には、当然と考えていたあらゆる基準に疑問を抱きました。
人間は自己の身体をひとつの基準として、ものの大きさを認識していますが、揺るぎないはずである基準があやふやになる時、なにを拠り所とするのでしょうか。
またそもそも基準とはなんなのでしょうか。これらを問うようにスケールの変容をテーマにした作品制作をスタートしました。
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2つの「修復」の場所
自分で作品を探したい!という方はここから先は読まないでください。
まず、かなり人通りの多い場所でありながら、たいていの人は気付かないで通り過ぎている「修復(通路)」から。
▲横須賀美術館にいったことがある人ならこの写真でだいたいどのあたりかわかると思います。
海を眺めながら食事やカフェタイムが過ごせるミュージアムカフェであり、美術館併設のレストラン「横須賀アクアマーレ」の前の通路です。
▲そして、もう1つの作品「修復(中庭)」は、レストランの後方で、私が訪問したときは普通の人が入れないようになっている中庭を美術館内の窓ガラス越しに見るというものでした。写真だとかなりわかりにくいですが、肉眼だとちゃんと見えます。
多分、今も窓ガラス越しの鑑賞になっていると思います。
東京都現代美術館と違って横須賀美術館はキャプションがありません。ちょっと探すのに時間がかかるかもしれませんが、それがまた楽しいんですね。
東京都現代美術館には4つの「修復」があります。
横須賀の2つ、現代美術館の4つ計6つの修復を鑑賞して髙田安規子・政子作品「修復」シリーズをコンプリートしてみませんか!
▼東京都現代美術館の「修復」について
海に面した素晴らしい立地にある横須賀美術館は、建築家山本理顕設計の建築も見応えある美術館です。
テラス席で海を眺めながらアクアマーレでランチをするのが私のルーティンです。もちろん髙田安規子・政子作品のチェックは怠りません。
髙田安規子・政子の「修復」は入場料を払わなくても鑑賞可能です。レストランも同様に入館料なしでレストランだけの利用が可能です。
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基本情報
横須賀美術館
10:00~18:00 月休 神奈川県横須賀市鴨居4丁目1 MAP |
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