旧朝香宮邸の素晴らしいアール・デコ建築だけでも見応えのある目黒・白金台の東京都庭園美術館で現在開催されている二つの展覧会を紹介します。
まずは、庭園美術館及び新館で開催されている展覧会の紹介からです。
この展覧会は、1910-30年代の建築や室内装飾、ファッション、インテリア、グラフィックなど、異なるジャンルのデザインを横断的に考察するもので、タイトルは「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」です。
交歓するモダン
この展覧会は、これまでに豊田市美術館、島根県立石見美術館を巡回し、今回の会場である東京都庭園美術館が最後の巡回先となります。
1910年から1030年代までの機能主義に基づく「モダニズム」と大衆消費社会による儚き「モダニティ」などこの時代に生まれた西欧を中心とする世界各地のさまざまなモダンを考察する展覧会です。
このさまざまなモダンは、西欧諸国だけにとどまらず我が国日本にも多大な影響を与え、世界中を横断的に広がっていたと言うこともわかる内容になっています。
この時代の「モダン」を表現したデザインやアートの数々を、アールデコ全盛期のフランスで過ごした朝香宮ご夫妻が建てた同時代の空間で鑑賞できるのは、庭園美術館ならではです。
見逃すわけにはいきませんね。
どんなデザイン?
ジャンルで言うと椅子などの家具、照明、食器などインテリアデザイン、プロダクトデザインの数々が勢揃いしています。
また新館では、マルセル・ブロイヤーのアームチェアやル・コルビジェ、シャルロット・ペリアン、ピエール・ジャンヌレなどの名作家具の展示もあります。
そして、ファッションやテキスタイルデザイン、ポスターや本、雑誌などのグラフィックデザインなどデザイン全般に渡っています。
テキスタイルは、日本とも縁が深い上野リチことフェリーチェ・リックス=ウエノのデザインの原画がウィーン工房の女性作家の作品として展示されていました。
また、アートで印象に残っているのは、ソニア・ドローネです。
作品サイズで言うと決して大きい作品ではないですがやっぱり目を惹くものがあります。
写真撮影禁止
残念ながら今回の展覧会は新館も含めて撮影禁止でした。
また、大食堂のカーテンも閉まっていて開放的な大食堂の様子を見ることはできませんが、前回の展覧会「旅と想像/創造 いつかあなたの旅になる」のように暗室にしているわけではないので、大食堂の空間は堪能することができます。
▲1階の大客室とその先の大食堂のカーテンが閉まっているのがわかります。
▲冬の庭園美術館も悪くないです。
前期と後期で展示替え
この展覧会は、一部作品が前期と後期で入れ替えが行われます。
また、本の展示については開いているページが変わるものもあります。
例えば、ポール・ポワレの作品集や日本のモダニズム建築運動を主導したインターナショナル建築会の機関誌「インターナショナル建築」も見られるページが前期と後期で変わる予定です。
どうしても全部見たい人は2回訪問するのが間違いなさそうです。
前期会期:2022年12月17日ー2023年1月22日
後期会期:2023年1月24日ー3月5日
▲2022年の12月展覧会始まってすぐに訪問したのでまだ紅葉が見られました。
Cafe TEIEN
新館に併設されている庭園美術館のミュージアムカフェ Cafe TEIENでは、展覧会の特別メニューの提供があります。
これも庭園美術館の楽しみの一つです。
今回は、ピエール・シャローのランプNunをイメージしたケーキです。
なかなかのお値段ですが、ここのケーキは本当に美味しいので間違いないと思います。
▼ミュージアムカフェ特集
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基本情報
2022年12月17日(土)–2023年3月5日(日) 10:00-18:00 月休、1/9開館、1/10休 観覧料:一般1400円、大学生1120円、中高生・65歳以上700円 東京都庭園美術館 港区白金台5丁目21−9 MAP アクセス:JR山手線目黒駅東口、東急目黒線目黒駅正面口徒歩7分 都営三田線・東京メトロ南北線白金台駅1番出口徒歩6分 |
▼アンリラパンによるアール・デコ建築
▼運が良ければ出会える庭園美術館の素敵なシーン
▼庭園美術館の茶室