2022年5月21日私が実際に訪れて鑑賞した展覧会の情報です。特におすすめはMA2 Galleryの髙田安規子・政子の双子の姉妹による不思議の国のアリスをテーマにした展覧会「Going down the rabbit hole」です。
また、東京都写真美術館の「アヴァンガルド勃興 近代日本の前衛写真」。
いつも面白い展示を展開しているNADiff a/p/a/r/tのナディフギャラリーや上階に入っているMEMの常設展、ビルのウィンドウの展示を鑑賞するCAGE GALLERYなどなど。1日で歩いて回れる恵比寿のアート巡りです。
髙田安規子・政子「Going down the rabbit hole」出品作品▼
PRMA2 Gallery
髙田安規子・政子「Going down the rabbit hole」 会期終了
2022年 5月21日(土) ‒ 6月25日(土)13:00〜18:00 日月火祝休(火曜はメール事前アポイント制)
渋谷区恵比寿3-3−8 MAP
MA2 galleryの4フロアに渡って展開されているインスタレーションです。個々の作品ではありますが、「不思議の国のアリス」をテーマにした一つの作品でもあります。
1階のスペースに入って思わず声が出てしまいました。ギャラリーの壁面に椅子がぐるりと並んでいます。それは、いわゆる”背の順”で。▼
一番小さい椅子は横にある凧糸の糸巻きよりも小さいです。▼
中央にはまるでエマニュエル夫人が座りそうな藤の椅子が。しかし、大人は座ることはできないサイズです。▼
最後の7脚くらいが大人が座れるサイズの椅子です。▼
2階にはアンティークの家具を組み合わせた不思議な世界が展開されています。
きのこやトランプはあるけれど、兎も猫もましてやアリスもその姿はありません。でもそこはかとなく感じるアリスの気配。
よく見ると鍵やチェス、ティーカップなど「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」に登場する重要なモチーフが各々複数あることがわかります。しかし、それらのスケールは小さいものから極小のものまで、大小まちまちです。まるで自分が大きくなったり小さくなったりしているみたいです。
もしかしたら、鑑賞者がアリス自身なのかも?!▼
1階の糸巻きの糸はどこへ繋がっているのでしょうか。
糸を辿って、穴へ落ちるのではなく階段を上ります。▼
3階の大小様々な鏡のインスタレーション。鏡の国への入り口でしょうか。▼
4階へ。いよいよ物語のクライマックスです。糸はどこへ繋がっていたのでしょうか。
これまでにお二人の作品は、小さなラダーが印象的だった横須賀美術館の「Sense of Scale」 や旧朝香宮邸の建築とピッタリはまっていた東京都庭園美術館の「装飾は流転する」、屋外まで作品が飛び出した東京都現代美術館「MOTコレクション ただいま / はじめまして」、表参道のギャラリーvoid+ の「Dissonance」などで観てきました。
どの展覧会もすごく良かったので今でも鮮明に覚えています。
また、どの展覧会でも「ひゃー!」と変な裏声が出てしまい、更にクスリとさせられてきました。
その作品は一貫しており、スケールを自在に操り、また日常的に見慣れたものを美しく変容させています。
東京都庭園美術館で観た吸盤の作品はその極致で、ため息が出るほど美しく、感動しつつも、つい笑ってしまいました。
いつも、我々が知らぬ間にがんじがらめになっている固定観念を、するりと解き放ってくれる二人の作品ですが、今回の展覧会では誰もが知る物語に、いつの間にかするりと入っていくような不思議な体験をすることができます。
今回の展覧会には出品されていませんが、これが東京都庭園美術館で見た「カットガラス」という作品。
実はこれ、吸盤ですよ!▼
お二人のこれまでの作品色々は公式HP髙田安規子・政子で参照できます。
この展覧会は強くお勧め。初めての方もそうでない方も、髙田姉妹の作品世界に魅了されること間違いないです。
PR不思議の国のアリスの世界は長年にわたり多くの人を惹きつけてきました。
19世紀のジョン・テニエルの挿絵から20世紀の金子國義の挿絵まで、そして翻訳も多く出ているのでこの機会に大人の読み物としてのアリスを楽しんではどうでしょう。
東京都写真美術館
2022.5.20(金)—8.21(日)10:00~18:00(木金〜20:00)月休
東京都目黒区三田1丁目13−3 恵比寿ガーデンプレイス内 MAP
1930年代、40年代のシュルレアリスムや抽象美術の影響を受けた全国各地のアマチュアグループを中心に勃興した潮流ですが、戦争の影響で収束に追い込まれたその活動に焦点を当てた展覧会です。
同時代の海外作家として最初に展示されているのはマン・レイです。▼
地域ごとに章立てになっています。大阪、名古屋、福岡と続きます。▼
写真撮影は東京都写真美術館の所蔵作品のみ可能です。キャプションに所蔵先が書かれていないものはOKですが、「〇〇蔵」と書かれている作品は撮影不可です。わかりにくい!動画はNGです。
PRNADiff a/p/a/r/t
恵比寿にあるNADiffの本店です。地下にはナディフギャラリーがあり、そのスペース以外の1階入り口横のウィンドーや店内でも随時展覧会を開催しています。
元西武百貨店でアールヴィヴァンやストアディズの運営、リブロポートの設立に携わった芦野公昭氏が立ち上げた会社ですが、芦野氏が2021年に亡くなり、現在はCCCの傘下の会社です。
上階には、複数のギャラリーが入っていて、今回は3階のMEMが展覧会を開催していましたので下記に掲載しています。
東京都渋谷区恵比寿1丁目18−4 MAP
NADiff gallery
高山夏希「空を泳ぐ鳥は火を灯す」 会期終了
複数の絵の具を注射器にいれ、混ざり合った色を粒状に絞りだし積層させ、さらに彫刻刀やカッターを用いて削り出す手法で描いた作品を制作するアーティストの個展です。
中央の作品がその注射器などで描かれた作品です。▼
陶芸やシルクスクリーンの作品も出品されています。▼
店内
工藤玲那「芽生える突起ニョッキ」会期終了
定期的に滞在制作を行っている信楽で、今年制作したばかりの作品を中心とした展示です。
2022.5/29までウィンドーギャラリーで開催中の光岡幸一展は下記記事を参照ください。
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MEM
「常設展」石原友明、大森克己、北野謙、アントワン・ダガタ、三島喜美代 会期終了
2022年5月12日(木)- 13:00–19:00 月火水
NADiff a/p/a/r/tの3階にあるギャラリーです。現在は取り扱い作家による常設展が開催中です。
アントワン・ダガタの作品▼
石原友明の作品▼
70年代の三島喜美代の作品です。もう新聞がモチーフとして登場しています▼
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CAGE gallery
東京都渋谷区恵比寿2丁目16−8 MAP
ビルの壁面にあるウィンドーギャラリーです。ですから、会期中は無休でいつでも鑑賞可能です。窓ガラスの映り込みが少なくなる夕方の方が見やすい場合が多いです。
外側からと内側から見た窓を描いた作品▼
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私がよく行く恵比寿のアートスポットをピックアップしてみました。
今回は特にMA2 Galleryの髙田安規子・政子の展覧会がおすすめです。見逃したらもったいない!