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東京都内建築巡り<西麻布その1> 安藤忠雄から梵寿綱まで 近隣住民目線のディープな西麻布建築情報


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西麻布と言っても、バス停なら存在しますが、同名の地下鉄の駅があるわけでもなく、周囲の六本木駅、広尾駅、乃木坂駅、表参道駅、これらどの駅からもまぁまぁ距離があるため、遠方からふらっと訪れるような場所ではありません。

なんとなく西麻布を歩いているのは近隣住民くらいでしょう。それが西麻布の難点であり、同時に魅力でもあります。

六本木ヒルズのような大型の商業施設は西麻布には全くないので、一般の人の訪問者は少なめです。ですから、隠れ家的な店が多く、芸能人や著名人が足繁く通う飲食店やバーなどが軒を連ねています。

某歌舞伎役者の乱闘事件や遥か昔にお笑いコンビが歌った「雨の西麻布」など、夜のイメージの色濃い街ですが、ここでは長らくこのエリアで過ごしてきた筆者が昼間の西麻布の、どこにも載ってないディープな建築の数々を紹介します。

西麻布は六本木通りと外苑西通りが交差する西麻布の交差点を中心に西麻布1丁目から4丁目まで4つに分かれています。

夜の街のイメージですが、実は西麻布には建築設計事務所がたくさんあります。街を歩いていると建築家やデザイナーの方とすれ違うこともしばしばです。

それでは、スタートは全くディープではなく、誰もが知る西麻布の建築から。

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ナイジェル・コーツ The WallとArt Silo

設計:ナイジェル・コーツ 竣工:The Wall1990年、Art Silo1993年

西麻布の交差点から広尾方面に1分ほどの場所にあるThe Wall/ザウォールとArt Silo/アートサイロは西麻布を代表するバブル建築です。

私はもう見慣れすぎて、完全に麻痺状態のため、最早なんとも思わなくなりましたが、凝りに凝った異様な建物です。この建物並んで建っていますが、完全に二つの建築です。

イギリス人デザイナーのナイジェル・コーツが設計した建築です。ナイジェル・コーツの仕事はインテリアやプロダクトデザインが多く、こんなに大掛かりな建築はここ以外に数件しかないと思います。

バブルの頃、海外の若手デザイナーに建築を依頼するというのがままあり、フィリップ・スタルクのアサヒビールスーパードライホールフラムドールユーネックスナニナニ、ナイジェル・コーツのこの建築はそのバブル建築の代表格です。

現に、とあるプロダクションを通じてナイジェル・コーツが作品集を出すにあたり、私が撮影したThe WallとArt Siloの写真データを使わせてほしいと連絡がきたくらいです。

おそらくナイジェル・コーツ自身もコロナ禍もあって、長らくこの建築の実物は見ていないんでしょう。

細かい装飾の詳細等々は関連サイトの歩いて知った麻布ガイド西麻布 イギリスの建築家ナイジェル・コーツのThe WallとArt Silo>の記事を参照ください。

屋上にパラボラアンテナがある塔型の建物がArt Silo、右の四角い建物がThe Wallです。

夜のThe wall とArt Silo▼

安藤忠雄 西麻布KHKビル

設計:安藤忠雄 竣工:1986年

東京都港区西麻布3丁目17−25 MAP

西麻布の交差点からすぐ、ナイジェルコーツのThe WAllの対面に建つ、安藤忠雄80年代の建築です。

え?これ安藤建築だったの?という方もいらっしゃるでしょう。よーく見てください。コンクリート打ち放しですよ。

以前はTKビルという名称でしたが、いつの間にかKHKビルに名前が変わっていました。おそらくビルオーナーが変わったのだと思われます。

レストランやバーなど西麻布らしいテナントが入る商業ビルです。割とテナントの入れ替わりが激しい印象です。

ファサードからは想像できない空間がビル裏に広がっています。この風景は安藤忠雄らしいですね。▼

見上げると空が広がる。この感じも安藤忠雄ではないですか。▼

以前は澱んでいた小さな水盤。表からは全く見えないけれど、ちゃんと水も光もあるんです!▼

しかし、ある日、安藤忠雄らしい水盤が玉砂利で埋められていました。写真下▼

思えば、この水盤を埋める工事が入った頃にオーナーが変わったのかもしれません。

つい最近、様子を見に行ったらまたまた工事をしていました。

2023年になってとうとう水盤だった場所が全くなくなり、パラソルが設置されていました。

新しくバーが出来たようで、バーのテラス席に使われているみたいです。

壁には絵が描かれています。これまでずっと「裏」空間だった場所ですが、店舗の一部として使われているようです。

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高塚ビル

設計:ユミラ建築設計室 竣工:1993年

西麻布交差点とナイジェルコーツのThe wallの間にあるテントビルです。これもバブルの時期に竣工したビルですが、当初は1階まで上層階と同様のタイルで統一感があるビルでしたが、鰻のいちのやが入って、いきなり和風のファサードと共存することになりました。それからは、遠目で見るとチグハグな印象のビルになってしまいました。

ユミラ建築設計室の弓良氏は、フランスのジョルジュ・キャンディリスの事務所や坂倉建築研究所を経て独立した建築家です。

当初の外観のよさは失われてしまいましたが、いちのやの鰻は美味しいから仕方ないかなぁ

富士フイルムデザインセンター CLAYスタジオ

設計:長岡勉/コクヨオフィスシステム 竣工:2010年

東京都港区西麻布2丁目24−2 MAP

2010年、このビルをリノベーションしてコクヨのファニチャーデザイン室「KREI OPEN SOURCE STUDIO」が入ったのですが、2017年から富士フィルムデザインセンターCLAYスタジオに変わりました。

このCLAYスタジオの名前は前身のコクヨのKREIを由来とします。▼

梵寿綱 エスペランザビル

設計:梵寿綱 竣工:1977年

東京都港区西麻布2丁目17−14 MAP

我らが西麻布にも日本のガウディ梵寿綱(ぼん・じゅこう)建築があるんです!梵寿綱建築の中では初期の物件にして、かなりマイナーなのではないでしょうか。
このブログでも「都内建築巡り<早稲田 2> 日本のガウディ梵寿綱設計 ドラード和世陀」で紹介しましたが、ツッコミどころが満載の建築です。

まずは、ファサード正面を。駐車してるのがロールス・ロイスと真っ黄色の911というのも西麻布ぽいですね。

他の梵寿綱建築と比較するとぱっと見はかなりおとなしい方ではないでしょうか。▼

いやいや、ステンドグラスと彫刻とレリーフ祭り。やっぱり普通じゃないですよね。▼

ビルの入り口にはライオンが。銀座三越に比べると小さめ。▼

そここにいる小鳥ちゃんたちと木の葉。▼

軒下のコーナーから、何やら豹のようなネコ科の動物が穴の中からこちらを見ているのがわかるでしょうか。▼

え?人?

上部に顔、その下に手が、そして軒下から飛び出る足。この人体ビルの両サイドにいます。▼

▲2024年ファサードが塗り替えられて再生していました!

70年代から一貫してこの路線なのは尊敬に値します。今後も静かに生温かい目で見守り続けたいと思います。

早稲田にある梵寿綱建築はこちらから▼

梵寿綱建築一覧

新美容出版本社ビル

設計:清水建設 竣工:2002年

東京都港区西麻布1丁目11−12 MAP

カーテンウォールのフロートガラスが涼しげな印象のフォサードです。

フロートガラスとビルとの中間領域の階段は気持ちよさそう。この階段は登ってみたいなと通りがかるたびに見上げてしまいます。▼

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西麻布ビルディング

リノベーション:元木大輔 完成:2018年 (建物の竣工は1987年)

東京都港区西麻布4丁目 

1987年に建てられ、フレンチレストランが入っていたビルを元木大輔がフルリノベーションしたもの。最上階はレストランのVIPルームをオーナーのプライベートラウンジにリノベーションしています。

内装は外からは全く見えないので、どんな感じなのか残念ながらわかりません。

階下は、1階がレンタルキッチン、2階がショールーム、3階がシェアオフィスでした。しかし、現在は人の出入りや気配を感じません。

もしかしたらもう売りに出ていたりするのかも?

フレンチレストラン然とした建物です。▼

西麻布ガーディアン

設計:ロイド計画一級建築士事務所 竣工:2004年

東京都港区西麻布4-10-3 MAP

目の覚めるようなイエローの外壁が印象的な建物です。実は奥に長いビルで、コの字型をしており中央がテラスです。海外のリゾートぽい造りの建築です。▼

駐日ウクライナ大使館

東京都港区西麻布3丁目5−31 MAP

西麻布にはたくさんの大使館がありますが、ウクライナ大使館は1994年に開設された比較的新しい大使館です。

また、大国の大使館に比べると小規模な大使館で、建物の設計者は不明ですが、おそらくこの建物ごと借りているのではないかと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。西麻布にはまだまだ様々な建築があります。

都内建築巡り<西麻布その2>へ続きます。

東京都内建築巡り<西麻布その2>近隣住民目線で見る安藤忠雄、永山祐子、鈴木了二など

東京都内建築巡り<西麻布その3>近隣住民目線で見るレーモンド建築から最新のリノベーション建築まで

西麻布 建築マップ


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