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あのフィリップ・スタルクデザイン 旧ユーネックスナニナニ(現ツツイ白金台ビル)


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白金台プラチナ通り沿いに建つ緑色の流線的なビル、旧名称ユーネックスナニナニ/Unhex Nani Naniはあのフィリップ・スタルクデザインの建築です。

フィリップ・スタルク

 

スタルク

フィリップ・スタルクはフランスパリ生まれのデザイナーです。日本ではあの浅草の黄金に輝く俗称ウ○コビルことアサヒビール本社に隣接するスーパードライホールのデザインを担当したことで有名です。都民ならスタルクを知らなくてもあの黄金のうんこビルを知らない人はいないでしょう。

金の炎の乗ったスーパードライホールについてはこちら▼

浅草の金の炎 フィリップ・スタルクが設計したアサヒビールのスーパードライホール・フラムドールでランチ!

スタルクは、建築家というよりはデザイナーで、インテリアデザイン、プロダクトデザイン、インダストリアルデザインなどなど枠にとらわれない幅広い活動をしていることはご存知の通りです。

スタルクデザインで一番身近なものといえば1990年発売のALESSIのレモンスクイザーでしょうか。みたことありますよね。脚の長ーいシャープなデザインが美しい、飾っておきたいレモンスクイザーです。

突然の引退宣言

2008年にはデザインに嫌気がさしたと突然2年以内の引退宣言をしたりして世間を驚かせました。スタルクの引退宣言は以下です。

「私がデザインしたもの全ては不必要だった」
「デザインとは、忌むべき表現形式だ」
「今後デザイナーはいなくなるだろう」

この時、スタルクに何があったんでしょうね。その後の心境の変化は知る由もありませんが、奇人変人(いい意味で)のスタルクですから、結局引退はせずしれっとデザイナーを続けています。

ナニナニ/NANI NANI

では、本題のナニナニ/NANI NANIです。2003年パリのポンピドーセンターで大々的なスタルク回顧展が開催されました。その時、ラッキーな事にたまたま仕事でパリ出張があり、空き時間を無理やり作って観に行って来ました。そこでTASCHENの当時のスタルクのレゾネ的な本を購入して遠路遥々持ち帰ってきました。その表紙が上の写真です。▲

そこで巻頭を飾るのはやっぱりアサヒビールスーパードライホールです。そして、その後に続くのがナニナニです。ナニナニの着ぐるみを来たスタルクの写真もありますね。▼

フィリップ・スタルクデザイン 旧ユーネックスナニナニ(現ツツイ白金台ビル)

ユーネックスナニナニ/Unhex Nani Naniの竣工は1989年、アサヒビールスーパードライホール竣工と同時期だったため、世間の注目は当然大規模でキャッチーな黄金に輝く方に行ったわけです。

ですから、ちょっと日陰の存在ではあったものの、プラチナ通りにその姿を表したときは、勿論なんだこれ?と話題になりました。▼

フィリップ・スタルクデザイン 旧ユーネックスナニナニ(現ツツイ白金台ビル)

 

ナニナニは当初、緑の怪獣と言われたりもしました。それはオフィスビルとは思えないその流線的な形状と色によるところが大きいでしょう。

総面積約1,360㎡の緑青仕上を施した銅板の板厚は1.5mm。この流線的な形状を再現するため一枚一枚最適な加工方法を検討し製作されたのです。(日本の技術!)特に曲線がきつく難易度の高い上部先端部分は、一度工場で原寸大の型に合わせて仮組みをして検証がなされてから施行されました。▼

フィリップ・スタルクデザイン 旧ユーネックスナニナニ(現ツツイ白金台ビル)

銅の緑青仕上は、銅が時間の経過とともに自然に色が変わっていく経年変化の最終形を人工的に再現したものです。ですから時間が経っても劣化を感じないのですね。▼

フィリップ・スタルクデザイン 旧ユーネックスナニナニ(現ツツイ白金台ビル)

プラチナ通りの銀杏並木の木漏れ日が美しいファサード。現在1階には美容室、上階はオフィスで最上階の5階にはプラネタリウムbarが入っています。▼

フィリップ・スタルクデザイン 旧ユーネックスナニナニ(現ツツイ白金台ビル)

こちら白金台駅方面のファサードですが、スタルクはきっとこちら側のビルの顔より裏側がお気に入りなのではないかな▼

フィリップ・スタルクデザイン 旧ユーネックスナニナニ(現ツツイ白金台ビル)

 

旧ビル名ナニナニの名残があります。▼

フィリップ・スタルクデザイン 旧ユーネックスナニナニ(現ツツイ白金台ビル)

ビルのエントランスです。初めて入ってみました。階段の先に上階へのエレベーターがあります。柱に何かありますね。▼

フィリップ・スタルクデザイン 旧ユーネックスナニナニ(現ツツイ白金台ビル)

なんと!スタルクのポートレートが飾ってあります。これは竣工当時1990年頃のスタルクですね。スタルクの後ろにあるのはおそらくナニナニの模型です。本人の指示なのか、ビルオーナーの意向なのかわかりませんが、顔出し大好きなスタルクらしいですね。思わず声を出して笑ってしまいました。▼

フィリップ・スタルクデザイン 旧ユーネックスナニナニ(現ツツイ白金台ビル)

階段側から出入り口を見たところ。街路樹の木漏れ日がここでも美しい。ビル全体を見るならイチョウの葉が落ちた冬の方がいいけれど、夏のこの木漏れ日の美しさも格別です。▼

フィリップ・スタルクデザイン 旧ユーネックスナニナニ(現ツツイ白金台ビル)

外観とは違ってエントランス内部はモルタルの無機質な空間です。各階のオフィス内部は入ってるテナントさんによって全然違うんだと思います。勝手な想像ですが。▼

フィリップ・スタルクデザイン 旧ユーネックスナニナニ(現ツツイ白金台ビル)

 

スタルクはこの後、大阪にも緑色の不思議な建物をデザインするのですが、完全にバブルの勢いですね。バブル期に海外の著名デザイナーが手掛けたバブル遺産建築は、他にも西麻布のナイジェルコーツなどまだまだあるので少しづつアップしていきたいと思います。

白金台ではgallery shirokaneで彫刻家安田侃展「無何有」が開催中です。同じプラチナ通り沿いで焼肉屋さんを挟んだすぐ隣なので一緒に見学がオススメです。

アール・デコ満載の旧朝香宮邸の建築も見応えある東京都庭園美術館もすぐ近くです。

アクセス

旧ユーネックスナニナニ(現ツツイ白金台ビル)

港区白金台4丁目9−23  MAP

最寄駅東京メトロ白金台駅から徒歩4分

ナニナニから徒歩5分ほどで行ける東京都庭園美術館についてはこちらを▼

アール・デコ満載 アンリ・ラパン デザイン旧朝香宮邸 東京都庭園美術館

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