明治通りの渋谷と恵比寿のちょうど中間くらいを都営バス渋谷車庫の方面に少し入ったマンションの1階にあるnidi galleryで開催中の木村亜津個展「Being there / 佇まう」を観に行ってきました。
佇まう
展覧会前から楽しみにしていたので、初日に早速行ってきました。ギャラリーのホワイトキューブに展開される世界は、植物を使った作品とインスタレーションです。
もうこれはつべこべ言わずに本物を観るのが一番なのですが、一応つべこべ書きます。
ギャラリー内は壁面展示されている作品、床置きされている作品、天井から吊るされている作品など大小様々な作品14点で構成されています。
どの作品も軽やかで儚げで脆いながらも存在感のある佇まいを見せています。▼
揺蕩う作品
中でも目を惹いたのは天井から吊るされた球体の立体作品2点です。ゆるりゆるりと絶妙な速度でくるくると回転しながら揺蕩っているのです。その揺らめきのような作為的でない独特の回転のリズムが、まるで作品に命が宿っているように見えてしばらく凝視してしまいました。
モーターか何かで回転させてるのかなと思って吊り元を確認したものの、普通のフックです。え!?なんで?と思ったらたまたま天井の空調の風がいい感じで当たって回転しながら揺蕩っていたのです。▼
訪問した会期初日は急に暑さがぶり返した日で、久しぶりに空調をつけたら図らずもくるくる回転してしまったそうです。この時点ではまだアーティスト本人も空調をつけた会場に来ていないので、回転してる様子を観てないんだとか。
回転する作品のタイトルはなんと!「うわの空で」と「漂う」。まさにうわの空で漂っているかのような状況になっているんです。偶然も味方につけるアーティスト木村亜津氏すごい!
壁面作品
これはもう小宇宙です。日常的に美術作品をたくさん鑑賞しているけれど、最終的に自然の造形美にはかなわないなぁと感じることが多々あります。
だったらそれをより美しく自然ではあり得ない規則に則って見せちゃえばいいじゃない。と思ったのかどうか定かではありませんが、自然がつくり出す造形美に人間による作為が加わって、全く新しい世界が誕生しています。展示されている平面作品には特に自然と人工の対比を感じました。
「003」は松の部分を再構成した作品です。▼
この作品「古くからのもの」はホソノゲムギです。まるで広大な宇宙か、はたまた微小な細胞か、大きいとか小さいとかスケール感を超越しています。▼
儚げだけれど強さを感じる「夢から醒める」はオニドコロを使っています。▼
インスタレーション
中央に床置きされているインスタレーションは、一瞬毛皮を纏った野獣のようにも見える動きのある作品です。動きのある骨格を成しているのは乾燥したサボテンや流木?のようです。▼
小品
ギャラリーのコーナーにキッチリとおさまっているのは、蓮をモルタルで固定して穴の部分にアクリルが流し込まれている作品です。これは一体全体、自然物なのか人工物なのか?どちらでもあり、どちらでもない作品です。▼
リーフレット
とっても素敵なリーフレットをギャラリーで頂きました。こんなに凝ったデザインでなんと無料配布です。部屋に飾りたくなる美しい写真。
本当は作品そのものを購入してコレクションしたいところですが、残念ながら無理なので、このリーフレットをシワにならないように持ち帰りました。▼
家から渋谷まで歩く道すがらにあるギャラリーです。自分にとってなんの変哲もない日常的な場所にこんなワンダフルワールドが展開されているなんて!
展覧会期
木村亜津展「being there」
2021年9月10日(金)– 9月23日(木) 12:00 – 19:00 水休