等々力にある個人美術館
隈研吾設計の個人美術館「村井正誠記念美術館」が等々力にあるのは知っていましたが、開館期間が限られていてなかなか訪れる機会がなかったのですが、ようやく行くことができました。
住宅街にある元作家のアトリエ
等々力の駅から歩いて5分ほどの閑静な住宅街にその美術館はあります。住宅街に一際目を引く赤茶に塗装された木のルーバーが目印です。アポイントは取ってありますが、インターホーンを押して訪問します。
水盤と愛車のクラウン
美術館の正面入り口からは村井画伯の愛車(と言っても本人は免許を持ってなかったので運転はしていないそうです。)が水盤の上にドーンと置いてあります。これは、隈さんがこの車をここに置きたいと言って、美術館設計中は倉庫に保管し、工事終了後に運んで設置したそうです。しかし、その保管と移設に車1台買うくらいのお金がかかってしまったそうです。
村井画伯の助手をされていた館長さん
インターホンを押すと上品なご婦人が出迎えてくれました。この方が館長さんです。以前はお手伝いのスタッフがいたこともあったそうですが、今は館長さんが1人で運営をされています。
村井画伯の助手をされていたそうで、先生へのリスペクトと愛に溢れた解説や裏話がとても丁寧ですっかり村井ファンになりました。
隈研吾設計
美術館を設計するにあたって他にも設計者の候補がいたそうですが、館長が隈さんに決定したそうです。お願いしたのは2000年ですから、先見の明があったのですね。隈さんに設計をお願いしたこともあり、この美術館には世界中から訪問客が来るそうです。
アトリエを囲った美術館
この美術館はもともと村井画伯のアトリエがあった場所です。美術館を作るにあたって、もともとあったアトリエを中央にそのまま残して、その周りを囲むように美術館があります。ですから、アトリエの当時の様子がわかりますし、その外壁や当時使用していたりんご箱などを重ねた手作りの棚などがそのまま残っています。
画伯のコレクション
美術館には画伯の作品は当然ながら、集めていた色々なものを見ることができます。カメラは写真を撮るというよりその形が好きで集めていたそうで、その一部という多くのカメラが飾られています。陶器の壺もたくさんありました。鳥の形の置物や、村井作品に出て来る人の形をデフォルメしたヘラのような形と共通するということで木ベラもたくさんありました。
また、ダリの彫刻やアルネ・ヤコブセンのセブンチェア、アルヴァ・アアルトのティートローリー900など名品もさりげなく置かれていたり、もう宝の山ですね。
とにかくいい時間が過ごせる
春と秋の日曜しか開館しておらず、往復葉書で事前予約をしないと入館できません。それだけハードルを上げれば、本当に来たい人だけにゆっくりしてもらえると館長はおしゃってました。まさにその通りで、館長の丁寧な解説を聞きながら心ゆくまで堪能することができました。今回はまだお庭の木々も冬仕様でしたので、早めの秋に再訪して庭の緑が溢れている様子を見てみたいと思っています。
水盤にはカエルが卵を産み、メダカもいるそうです。そしてそれらを狙って鳥たちもやって来る。全面ガラス張りの美術館の中で素敵な作品たちに囲まれて、美味しいお茶を飲みながらそんな話を聞く。本当の豊かさってこういうことではないでしょうか。入館料は800円ですがとても贅沢な時間を過ごしました。
村井正誠記念美術館
東京都世田谷区中町1-6-12
開館期間:春/3月〜5月 秋/9月〜11月 日曜日のみ
開館時間:11時〜13時、14時〜16時
往復葉書による事前予約制