日本全国にはコレクションが充実している美術館、庭園が美しい美術館、広い美術館、小さい美術館など様々な美術館がありますが、建築が美しい美術館、中でも螺旋階段がとてつもなく美しい美術館を特集します。
かなりポイントを絞った特集ですが、美術館巡りが趣味な方々にとってはそうそう!とか私も!と共感していただけるのではないでしょうか。
京都、兵庫、東京、群馬など全国にある螺旋階段が震えるほど美しい美術館特集です。
螺旋階段が美しい美術館は当然ながら建築も美しく、有名建築家が手がけた美術館でもあります。
青木淳、安藤忠雄、柳澤孝彦、磯崎新など集めてみたら建築家の巨匠達ばかりでした。
PR京セラ美術館
設計:青木淳+西澤徹夫
帝冠様式を代表する建築である京都市美術館本館の創建は1933年で、現存する日本の公立美術館の中でもっとも古い建築です。
公立の美術館の開館としては、東京都美術館に次ぐ2番目に古い美術館です。
本館の設計は、前田健二郎の設計コンペ当選案をもとに京都市土木局営繕課が設計したものです。その最も古い美術館建築を生かして大規模改修工事を行い京都市京セラ美術館としてリニューアルオープンしたのが2020年です。
この大規模改修の設計を担当したのが、現館長の青木淳と西澤徹夫です。
ですから、この美術館は、1933年の設計と2020年の設計の時空を超えたコラボ建築であり、新旧の素晴らしい空間を一度に体感することができる他に類を見ない美術館建築です。
螺旋階段があるのは、地下のエントランスから1階へ上がった場所にある中央ホールです。
2階から撮影するとこの中央ホールの広さがよくわかります。地下からのストレートな直階段と美しい曲線を描く螺旋階段が並んでいます。
この並びなんて美しいんでしょう。美を求めて人が集う美術館という場所にふさわしい階段のハーモニーです。
▲美術館の螺旋階段と言えばここを想起する人は多いでしょう。そのくらい鮮烈な印象を与える存在感です。
この広い広い中央ホールの主役はなんといってもこの螺旋階段なんです。巻貝のような自然界にある美しい曲線を建築で表現するとこんなにも優美なものができるのですね。それでいて、機能も兼ね備えているんですから!
写真でも見えますが実は、支柱2本で支えられています。
どうにか1本にしたかった所でしょうが、構造上さすがに1本というわけにはいかなかったのでしょうね。
▲上からも下からも、どこから見ても美しい階段です。
この階段のためだけに京セラ美術館へ赴いても損はしません。そのくらい美しさの際立つ螺旋階段です。
また、京セラ美術館には他にもたくさんの階段があります。2020年に竣工したので、当然ユニバーサルデザインになっていますが、様々な場所に昔の、また新しい階段が設えてあります。
建築的にも見応えたっぷりの美術館です。
基本情報
京都市京セラ美術館
コレクション展チケット料金 企画展により入館料は異なる 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124 MAP アクセス:地下鉄東西線「東山駅」より徒歩約8分、京阪「三条駅」・地下鉄東西線「三条京阪駅」より徒歩約16分 |
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兵庫県立美術館
設計:安藤忠雄
言わずもがなの安藤忠雄建築の美術館です。県立美術館なので、とても規模の大きい美術館です。
また、2019年には館内に安藤忠雄の仕事が鑑賞できるANDO galleryが開設されました。建築ファン、安藤忠雄ファン必見の美術館です。
▲美術館の中央に位置する巨大な螺旋階段は屋外にあり、下から螺旋階段を見上げると大空が広がっているというダイナミックかつロマンティックな空間です。
通常の螺旋階段は上階へ上昇するような形ですが、ここの螺旋階段は地下へと掘り下げたかのような形をしています。
厳密にいうとここを螺旋階段と言っていいのか微妙なのですが、螺旋状なので、二重螺旋階段の特別バージョンということにしましょう。
▲コンクリート打ち放しの美しい二重螺旋階段です。
▲中央は吹き抜けています。この真下からの眺めが最高です。
階段とスロープの二重になっています。
空間に自立しているわけではなく地中に掘り下げているので、階段は周囲の壁によって支えられています。だからこそ実現したダイナミックな階段です。
また、兵庫県立美術館には螺旋階段以外にも美しい階段がたくさんあります。
見どころ満載の安藤忠雄建築です。
安藤忠雄建築についての記事▼
基本情報
兵庫県立美術館
コレクション展チケット料金 入館料は企画展により異なる 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目1−1MAP アクセス:JR:神戸線灘駅南口から南へ徒歩約10分、阪神電車:岩屋駅(兵庫県立美術館前)から南へ徒歩約8分、阪急電車:神戸線王子公園駅西口から南西へ徒歩約20分 |
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東京都現代美術館
設計:柳澤孝彦
京セラ美術館や兵庫県美は私にとっては遠方なので、何度もリピートできていませんが、東京都現代美術館は近所ではありませんが、開館した1995年から現在まで20年以上通うお馴染みの美術館の一つです。
設計は東京オペラシティビルなどを手がけた故柳澤孝彦(TAK建築・都市計画研究所)です。
▲2019年に改修を経てリニューアルオープンしました。
その際に建築家の長坂常とデザイナーの色部義昭による新しい什器やサインが導入されました。
▲東京都現代美術館に螺旋階段なんてあったっけ?と思う方も中にはいらっしゃるでしょう。実は、わざわざ赴かないと気づかない場所にあります。
螺旋階段があるのは屋外で、ミュージアムショップの後方にある中庭です。
東京都現代美術館は、大規模な美術館ですから、京セラ美術館や兵庫県美同様にこの螺旋階段以外にも美しい階段があります。
訪問の際はいろいろチェックしてみましょう。
東京都現代美術館と柳澤孝彦の記事▼
基本情報
東京都現代美術館
コレクション展チケット料金:一般500円 / 大学生・専門学校生 400円 / 高校生・65歳以上 250円 / 中学生以下無料 企画展は展覧会により異なる 江東区三好4丁目1−1 MAP アクセス:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2番出口徒歩9分 都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3番出口徒歩13分 東京メトロ東西線木場駅3番出口より徒歩15分、または都営バスで東京都現代美術館前下車 都営地下鉄新宿線菊川駅A4番出口より徒歩15分、または都営バスで東京都現代美術館前下車 |
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群馬県立近代美術館
設計:磯崎新
螺旋階段特集のトリを飾るのは、2022年に亡くなられた磯崎新設計の群馬県立近代美術館です。
磯崎新の美術館というと水戸芸や原美術館ARCが思い浮かびますが、実は磯崎新が初めて手がけた美術館はここ群馬県立近代美術館なのです。
1974年に竣工した公立美術館で、先に逝去した磯崎新の妻で彫刻家の宮脇愛子の作品が設置されている水盤が美しい美術館です。
▲1.2メートルを基準とした立方体フレームの集合体で構成されているというコンセプトのもと、外壁のアルミパネルやガラス面グリッドの一辺は120センチメートル、エントランスホールの壁面、床面の大理石パネルは一辺60センチメートル、床のタイルは一辺15センチメートルの正方形に統一されています。
▲螺旋階段があるのは、半屋外の水盤に突き出たピロティです。
▲残念ながら立ち入り禁止になっていたために上り下りはしていません。けれど惚れ惚れする美しさを放つ螺旋階段です。
県立近代美術館なので、規模が大きく内部もコンセプトを生かしたシャープな空間が広がっています。
ピロティの螺旋階段以外にも美しい階段の集合体のような美術館建築です。
基本情報
群馬県立近代美術館
コレクション展チケット料金一般:300円 大高生:150円 企画展は展覧会により異なる アクセス:JR高崎駅東口より、市内循環バスぐるりん「群馬の森線」9系統(約38分)、10系統(約26分)、または「岩鼻線」15系統(約25分)で、いずれも「群馬の森」下車 |
螺旋階段が美しい美術館をまとめてみました。
記事をまとめていてわかったことは、当然と言えば当然なのですが、美しい螺旋階段のある美術館は、建築そのものが美しいということを改めて認識しました。
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菊池寛実記念 智美術館の階段も素敵です!
情報ありがとうございます!
久しぶりに再訪したいと思います。