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「記憶:リメンブランス ―現代写真・映像の表現から」東京都写真美術館で篠山紀信等のグループ展


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東京都写真美術館でのグループ展「記憶:リメンブランス ―現代写真・映像の表現から」展を開催中です。

写真や映像は見えるもの、見えていないものを記録するメディアですが、それらは何かを ”記憶” しようという試みでもあります。様々なアーティストたちが記憶をどのようなアプローチで記録してきたのかを振り返る展覧会。

参加アーティストは篠山紀信、米田知子、グエン・チン・ティ(ベトナム)、小田原のどか、村山悟郎(+池上高志)、マルヤ・ビリラ(フィンランド)、Satoko Sai + Tomoko Kuraharaの7組8名。

写真というメディアを見つめ直すことにもなりそうで興味深い展覧会です。さて、肝心な展覧会の内容はどんなでしょうか。

恵比寿ガーデンプレイス 東京都写真美術館前
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記憶:リメンブランス

展示は参加アーティストの日本未公開作を含む70 余点を紹介しています。

それぞれのアーティストのアプローチへの違いとともに展示作品そのもの愉しめるものです。

篠山紀信

グラビア写真やヌード写真なども多く手掛けたので商業写真家としての知名度ばかり高い篠山紀信ですが、もちろん作家性の高い作品もまた多く残しています。

展覧会の最初はその篠山紀信。70年代の《誕生日》シリーズと《家》シリーズ。それと2011年の東日本大震災に取材した《ATOKATA》シリーズの作品が展示されています。

ただし篠山紀信のセクションは撮影禁止です。

写真作家、篠山紀信の正攻法の作品を楽しみましょう。

米田知子

シリアスでヘビーなテーマの作品が多いロンドンを拠点に活動する米田知子。

「記憶:リメンブランス」、米田知子《(サハリン島)北緯50度、旧国境》、東京都写真美術館、写真:建築とアートを巡る

▲《サハリン島》シリーズ、《Scene》シリーズ、《DMZ》シリーズの作品が展示されています。

この写真の作品は《(サハリン島)北緯50度、旧国境》。

一見大自然を捉えた写真のように見えて、その背景には戦争や国家というものがあるとう作品。

”旧国境” というのはここが日本とソ連の国境だったからです。

▲かつて満州という名の国家があった場所の写真。

写真で真ん中のは「プラットフォーム − 伊藤博文暗殺現場」という作品。

のどかで平和に見える土地にも戦争など血なまぐさい歴史の記憶が残されているのです。

グエン・チン・ティ

ベトナムの映像作家グエン・チン・ティの《バンドゥランガからの手紙》は35分間の映像作品。

複雑な歴史を持ち今もフランス植民地時代の名残を残すベトナムの歴史とその記憶を巡るという作品でした。

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小田原のどか

彫刻家としても活躍する小田原のどかはテキストによる作品。

写真美術館が所蔵する写真史家、梅本貞雄の資料の中にある写真を使っての展示です。

▲背景の壁に展示されているのは梅本貞雄の資料中にあった写真。

幕末から明治時代に活動した日本の最初期の写真家、上野彦馬を撮った作者不詳の作品です。

手前に積み上がっているのが小田原のどかのテキスト作品《像の記憶と手ざわり:上野彦馬の写真、彫刻、墓、記念碑》です。

「記憶:リメンブランス」、小田原のどか《像の記憶と手ざわり:上野彦馬の写真、彫刻、墓、記念碑》、東京都写真美術館、写真:建築とアートを巡る

▲ちなみのこの作品は1人1枚、持ち帰ることができます。

テキスト作品を読むのは大変! でも家に持ち帰ってじっくり読み込むことができます。

少し前の恵比寿映像祭でフェリックス・ゴンザレス・トレスの《Untitled》が出品され、それもオリジナル通りに持ち帰り可能でしたね。

村山悟郎

コンピュータやAIなどテクノロジーや新しいメディアでの表現に積極的な村山悟郎

「記憶:リメンブランス」、村山悟郎《データのバロック−機械学習のための千のドローイング》、東京都写真美術館 写真:建築とアートを巡る

▲自分の手で1,000枚のドローイングを描いた《データのバロック−機械学習のための千のドローイング》。

ただ描いただけでなく、それらをデジタルで記録しAIに学習させ、新しい表現を生み出そうとする作品というが素材というか。

「記憶:リメンブランス」、村山悟郎《千年後のドローイングのために – 人間・人工知能・人工生命》、東京都写真美術館 写真:建築とアートを巡る

▲これは人工生命の研究で知られる東大大学院の池上高志教授とコラボしたAlternative Machine。

村山悟郎のドローイングを学習したAIがドローイングを生成しています

マルヤ・ビリラ、Satoki Sai+Tomoko Kurahara

この展覧会の最後はマルヤ・ビリラ、Satoki Sai+Tomoko Kuraharのインスタレーションです。

▲壁の写真がフィンランドの写真作家マルヤ・ビリラのカメラ・オブスクラの作品。モデルはフィンランドの高齢者たち。

手前のはSatoko Sai+Tomoko Kurahara(崔聡子+蔵原智子)の陶作品。

マルヤ・ビリラの作品の登場人物を陶器に転写したもので、写真と陶器が1対1で対応しています。

それぞれの記憶を持つ高齢のモデルを写真に捉え、それを転写したら陶器にも記憶が転写されるのか。そんなことを考えさせられるインスタレーション。

篠山紀信で始まってこのインスタレーションで終わるという構成が展覧会の性格そのものを物語っているようです。

写真撮影と鑑賞時間について

写真撮影は最初の篠原紀信のセクションだけが撮影禁止。他は原則可能ですが、動画の撮影は禁止です。

作品数はそれほど多くありませんがグエン・チン・ティの映像作品が上映時間35分なので、ゆっくり見て1時間ちょっとだと思います。

小田原のどかの作品を持ち帰るなら輪ゴムを忘れずに。

基本情報

記憶:リメンブランス  ―現代写真・映像の表現から


2024年3月1日(金) – 6月9日(日)

月曜休館(月が祝の場合開館し翌平日休館)

料金:一般 700円、学生 560円、中高生・65歳以上 350円

東京都写真美術館

目黒区三田1丁目13−3 恵比寿ガーデンプレイス内 MAP

アクセス:JR恵比寿駅東口より徒歩約7分、東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩約10分

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