恵比寿駅に隣接する複合施設恵比寿ガーデンプレイス内にある写美(シャビ)こと東京都写真美術館(TOP MUSEUM)は、公益財団法人東京都歴史文化財団が運営する4つの都立美術館のうちのひとつです。
ここが他3つの都立美術館と大きく異なるのは、写真と映像を専門に取り扱う国内で唯一の公立美術館であることです。
ですから、写真美術館の大きな特徴は、展示作品および収蔵作品は全て写真・映像であることです。
すなわち写真や映画・映像好きにはたまらない場所なのです。
美術館では、常時複数の展覧会の開催と同時に、併設されている映画館のような規模と設備のホールでは、美術的、学術的価値の高い映画の上映も行っています。
恵比寿駅からは動く歩道こと恵比寿スカイウォークにて直結しており、アクセス至便な都会の美術館です。
PR東京都写真美術館で観られる展覧会
東京都写真美術館では、大きく分けて3種類の展覧会が開催されています。
収蔵展/写真美術館が収蔵する3万5千点超のコレクションを展示する展覧会
企画展/支援会員の支援を経て写真美術館で企画した展覧会
誘致展/他団体の企画展を誘致した展覧会
収蔵品展は、TOPコレクション展と書いてある場合が多く、すぐにわかるのですが、企画展なのか誘致展なのかは判別しづらいものが多いです。
また、企画展の支援会員からの支援というのは、簡単にいうと協賛企業からの協賛金という意味です。
東京都写真美術館は、企業、学校法人、団体などから支援を募っています。
どんな企業からどのくらいの支援がなされているか、公立美術館なので開示されていますから、興味のある方は参照してみてください。
この支援会員の中の特別賛助会員には写真関係の企業や航空会社などが名前を連ねています。←この事は後述します。
以下、これまでに記事にした写真美術館の展覧会が3つの展覧会のどれかというと
収蔵展▼
誘致展▼
企画展▼
誘致展▼
企画展▼
これまで何年も通って感じたのですが、どうやら誘致展には、全国を巡回している巡回展の東京展だったり、企業のアワードの展覧会だったりとさらにいくつかの種類があるようです。
おそらく賃料を取って会場を貸すような場合もあるようです。
PR恵比寿映像祭
上記展覧会以外に写真美術館で毎年開催されている恵比寿映像祭を忘れてはいけません。
恵比寿映像祭は、写真美術館だけでなく周辺エリアに会場を拡大して開催する大規模なイベントです。
恵比寿映像祭については▼
TOPコレクション展
前述しましたが、写真美術館は3万5千点をこえる収蔵作品を所蔵しています。それら膨大なコレクションの中から、毎年異なるテーマを決めて、そのテーマに即した収蔵作品で構成される展覧会がTOPコレクション展です。
常設展示室のない写真美術館ならではの展覧会なのではないでしょうか。
なんせ膨大なコレクションを所蔵しているので、収蔵品展といえども、侮ってはいけません。
担当学芸員が情熱を注いで作り上げるTOPコレクション展は毎年見応えがあり、いつも楽しみにしている展覧会の一つです。
日本の新進作家展
TOPコレクションと共に楽しみにしているのは、毎年開催される日本の新進作家展です。
2023年でちょうど20回目を迎える写真美術館の恒例の展覧会です。
展示内容は当然ながら、その展覧会タイトルのネーミングセンスやグラフィックデザイン、会場構成、展覧会図録など、どの側面から見てもクォリティが高いです。
また、この展覧会で取り上げられたアーティストがその後、大躍進を遂げることは珍しくありません。
印象深い展覧会だった2022年の「見るは触れる」▼
東京都写真美術館の館長
東京都写真美術館の館長は、長年学芸員をしてきたベテランの方が就任していると思いがちですが、残念ながらそうではありません。
現在の館長は航空会社の会長職にある方です。
そうです、ここでピンと来た方は鋭いです。
特別賛助会員に名を連ねる企業のトップが館長に就任しているのです。このような民間企業のトップが館長に就任しているのは、写真美術館だけではありません。
東京都現代美術館も同様です。
このことから、東京都写真美術館と東京都現代美術館は企業の支援なしでは成立し得ないということは想像に難くありません。
PR
ミュージアムカフェとミュージアムショップ
写真美術館には「フロムトップ」というミュージアムカフェが入っています。
フロムトップは、吉祥寺にある隠れ家カフェコマグラカフェが運営するカフェです。
詳細はこちら▼
ミュージアムショップは、恵比寿に本店を持ち現在はCCCの傘下に入ったアートショップ NADiff(ナディッフ)が手がけるNADiff BAITEN(ナディッフ バイテン)が入っています。
展覧会カタログやさまざまなグッズ販売があり、展覧会ごとに内容が変わるので、逐一チェックしておきたいショップです。
恵比寿のNADiffは▼
東京都写真美術館のホールと図書室
写真美術館の特徴のひとつに、他の美術館にはない映画鑑賞ができるホールがあることです。
このホールでは、普通の映画館ではなかなかお目にかかれない貴重な映画を鑑賞することができます。
私も過去には、マシュー・バーニーのクレマスターなどを鑑賞したことがあります。
また、展示室は地下1階から地上3階までなのですが、4階に図書室があります。
この図書室は誰でも利用することができます。
そして、実は一般の人は絶対に入れませんが、館内に作品の収蔵庫も併設されています。
写真や映像の作品が主なので、整然と整えられた収蔵庫です。
ただ、恵比寿だけでは収蔵しきれないので、別の場所にも収蔵庫を持っています。
PR
東京都写真美術館のお得な割引チケットと夜間開館
写真美術館には3つの展示室と1つのホールがあり、常時複数の展覧会と映画が上映されています。
恵比寿映像祭など特別な時以外は、だいたい各展示室で一つの展覧会が開催されているので常時3つの展覧会を見ることができます。
セット券
各々チケットを購入しているとそれなりの金額になりますが、お得なセット券があるので、複数鑑賞する場合は、チケットカウンターで吟味してください。
チケットの購入は、無機質なベンダーマシーンとかではなく、有人のカウンターなので、ちゃんと一番お得な料金を案内してくれますから安心です。
夜間開館
さらに、東京都写真美術館では、木曜、金曜に夜間開館をしていて20時まで(入館は19:30まで)鑑賞可能です。
仕事の帰りに立ち寄って良質な写真展を鑑賞するという贅沢な時間を過ごすことができます。
写真美術館の展示室は、メガ美術館のように広大なスペースではないので、仕事帰りに鑑賞するのにちょうどいい量感なのでオススメです。
東京都写真美術館の建築と沿革
写美の建築は、久米設計です。写真美術館だけでなく恵比寿ガーデンプレイスの設計が久米設計です。
恵比寿ガーデンプレイスの竣工が1994年、1995年に美術館が開館しています。
しかし、写真美術館自体は1995年に始まったわけではなく、その前身とも言える東京都映像文化施設設置企画委員会が1987年に設置されました。
その後、2016年に2年間の長期休館をへてリニューアルオープンし現在に至ります。
2025年には、35周年を迎えることになります。開館時のことをよく覚えているだけに感慨深いです。
東京都写真美術館に通って
アクセスも便利で、質が高く、程よいボリュームの展覧会が常時見られるので足繁く通う美術館のひとつです。
また、個々の展覧会を開館時より見続けていますが(全部鑑賞してはいないにしても)、写真についての知識がかなり備わりました。
見続けているとすごく勉強になります。
2016年に長期休館の後リニューアルオープンした際の展覧会第一弾として杉本博司展を開催してからは、展覧会や収蔵作品も、現代美術寄りにシフトしてきたように感じます。
ですから、写真美術館の展覧会で初めて出会い、その後いろいろな展覧会で観るようになった写真や映像のアーティストも多いです。
今後、写真や映像を表現方法に取り入れるアーティストは増える一方ですから、写真美術館での展覧会はこれからも要チェックです。
東京都写真美術館の名作椅子▼
PR
基本情報
東京都写真美術館
月休(月が祝休日の場合開館、翌平日休館) チケット料金:展覧会、映画によって異なる 各種割引、展覧会セット料金あり 目黒区三田1丁目13−3 恵比寿ガーデンプレイス内 MAP アクセス:JR恵比寿駅東口より恵比寿スカイウォークにて徒歩約7分、東京メトロ日比谷線恵比寿駅より恵比寿スカイウォークにて徒歩約10分 |