東京都写真美術館で始まった「見るは触れる」展は、将来性のある作家を発掘するために東京都写真美術館が2002年より開催している日本の新進作家によるグループ展で、今回が19回目になります。今年の出品作家は水木 塁、澤田 華、多和田 有希、永田 康祐、岩井 優の5名。
PR「見るは触れる」
タイトルの通り、実際に触れることのできる作品もありますが、基本的にはお触り禁止ですので気をつけてください。
5名の作家、水木 塁、澤田 華、多和田 有希、永田 康祐、岩井 優の順に展示されています。
一番最後の岩井優作品だけは写真撮影禁止で、他の作家は写真撮影可能です。
ただし動画の撮影は全て禁止です。
また、最近多いキャプションのない展覧会ではありません。
基本的に各作品にはキャプションがある上に、入り口でリーフレットの配布もあります。
また、映像作品もありますので、各上映時間を作品ごとに書いておきますので鑑賞時間の目安の参考にしてください。
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水木塁
リコーによるインクジェットプリントの大型作品です。
銀座のリコーアートギャラリーで展示されていたライアン・ガンダーと同じ技術が使われているように見受けられました。
写真ではわかりにくいのですが、近づいてよく見ると立体的になっていて画面に細かな凹凸があります。
中央の作品はインスタレーションで、曲げ加工を施した鏡面のアルミニウムと写真作品の構成です。▲
鏡面に映り込んで作品がダブルに見えるのが面白い効果を生んでいます。
澤田華
澤田華の展示室は照度を落として暗くなっています。
想像力とイメージの相互関係にについての実験的な作品の数々。
写真作品と2つの映像による部屋全体が一つのインスタレーションになっています。▲
映像作品は17分21秒の「67のポストビューおよび目下のシーン」と9分11秒の「漂うビデオ(水槽、リュミエール兄弟、映像の角)」どちらも作品前にベンチが1台づつ用意されています。
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多和田有希
一番印象的だったのは、多和田有希の作品です。
京都のMtK Contemporary Artでの展覧会「ゆだねながら語りあうこと/響き合う思考法」や、2020年の恵比寿映像祭などで何度か作品を拝見しているアーティストです。
何やら小さい立体がずらりと一列に並んでいます。▲
この感じはこれまで見てきた多和田作品とはちょっと違うなと思ったら、これらは京都芸術大学の表現研究IIIワークショップの際に制作されたものでした。
右壁面にもレリーフ作品があります。
この壁面のレリーフ状の作品は、これまでにみてきた多和田有希作品でした。
これら小さきものは全て陶製で、写真灰釉薬でできています。▲上からの照明で落ちる影がリズミカルでなんだか面白い。
よく見ると一つ一つが色々な形・色をしています。▲ 複数の人たちのさまざまな思いが込められています。
魚のようなもの猫のようなもの、トイレのようなものもありました。
▲その隣の部屋には、バーナーで焼いた波の写真が軽やかにまるで作品自身が意志を持って舞っているかのような展示です。
手前の部屋から奥の部屋に移動するときに風がフワッと吹いたかのような爽やかな感覚に陥りました。
レースのような繊細で儚げな写真からは、どことなく悲しげな印象を受けるのはなぜなんでしょう。
焼かれた写真が落とす美しい影も含めて一つのインスタレーション作品です。
毎年ここ東京都写真美術館で開催されている恵比寿映像祭の多和田有希作品▲ こ
の作品写真で「ああ!あの!」ってなる方もいらっしゃるでしょう。
この時の作品は、色彩豊かで何層にも重なった写真が美しく、足を止めてじっとみてる鑑賞者が多かった印象です。
そして、今回の動きのある軽やかな展示と比較すると静的な見せ方でした。
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永田康祐
ヘッドフォンを装着して解説を聴きながら作品を鑑賞します。
作家によって選ばれた資料や作家の作品を鑑賞します。
奥の平面作品は、フォトショップの「スポット修復ブラシツール」を用いた作品です。
その手前のiPhoneのゲームは実際にプレイできるので、可能なら2人で訪問してゲームをやってみてください。
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岩井優
岩井作品は3つの作品で構成されています。
一つは大型のドーム型の作品で、ドーム中に入りその頭上の映像を眺めます。
もう一つは、ヘッドフォンをつけて鑑賞する映像作品「<Control Diariesより> グラウンド・クレジング・ガイド」8分10秒です。
この映像作品は是非ヘッドフォンを装着して音声付きで鑑賞してほしいです。
アーティストが自身で放射性物質の除去作業に従事したときの記録映像です。
単に記録者とし外から映像を撮っているのではなく、除去作業者として実際に除染作業をした記録はとてもリアルで生々しい。
なのに、記録映像とは裏腹なやけに軽快で楽しげなナレーションが深く印象に残りました。
記録日記「<Control Diariesより>ダイアリー」も出品されています。
<Control Diariesより>は撮影禁止です。
展覧会基本情報
見るは触れる 日本の新進作家 Vol.19
2022年9月2日(金) ~ 12月11日(日) 10:00-18:00 (木金〜20:00)月休 一般 700円、学生 560円、中高生・65歳以上 350円 10/1都民の日は無料(都民じゃなくても無料) 東京都写真美術館 目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内 MAP アクセス:JR恵比寿駅東口より徒歩約7分 |
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