前にもこのブログで書いた西麻布交差点にあるギャラリーSnow Contemporaryへ行ってきた。「uuuurrrraaaauuuunnnnyyyy」を開催していた。個展ではなくurauny with ak.磯崎隼士 小宮麻吏奈という展覧会だ。会期は11/4、本日で終了。
作品は体験型のインスタレーション。また昨今の流れで無視できないSNSを意識して正面性がある作品となっている。正面があるということは裏があるということだ。上の写真は正面からのショット。そして下が裏側からのショットだ。完全に表裏の関係だ。しかし、表裏は一体であり紙一重の脆いものでもある。
裏にはファーストフードのゴミが雑然と置かれていて正面からはみえなかった退廃した様子が伝わってくる。そして無造作に転がる頭部を模したものは、ボクシングのスパーリング練習で使われるプロテクトカバーで、黒人をもとに作られているように見えるのだ。勿論黒人で制作しようという意図はなく、結果的に黒人のようなものになってしまったのだ。これは日常的に無意識の差別行為が至る所で行われていることを表現している。
また、横倒しになった什器の上に置かれているのは、水タバコのような作りのVAPE というニコチンのない電子タバコだ。この電子タバコはそれぞれ様々な色の人の肌のようなカバーがされている。またブレンドされているのもニコチンではなく人からとった体液だという。年齢性別などそれぞれちがった人から採取した体液をこのVAPEで味あうことができる。この体験がこの作品の醍醐味であろう。
私は、一番手前に置かれていた白い肌色のものを味わってみることにした。現在世間を賑わす座間市の9遺体の事件のニュースをネットで読んできたばかりだったので、なんとなく気味悪いなと思ったが、せっかくなので体験してみた。
しかし、予想に反して私が選んだものの味は嫌いではなかった。男女どちらかもわからないがなんとなく気が合う人なんじゃないかと思った。
以前に知人が好きな異性のことを「なんともいい匂いがする」と形容していたのを思い出した。遺伝子レベルでの相性は体臭や体液の相性ではないかと思う。ようするに生理的にダメというのはその最たるもののような気がする。
このVAPEはこのように作品として購入することも可能だ。
人間の五感とか、差別とかコンプレックスとか、人と人とのコミュニケーションとか、現代社会が抱える問題をVAPEというものを通して体験することで再認識させるというインスタレーションだ。
西麻布交差点にあるこのギャラリーは新進気鋭のアーティストの旬な作品が見れる。今後も目が離せない。