冨安由真展
「漂泊する幻影」を 神奈川芸術劇場に行ってきました。この展覧会は開催することを昨年知ってからとても楽しみにしていました。ですから、会期始まってすぐに観に行ってきました。

KAAT神奈川芸術劇場
ここは神奈川芸術劇場の中のギャラリースペースなので、これまでも何度か鑑賞していますが、基本真っ暗な空間でのインスタレーション、または映像作品展示が多い印象です。

展覧会場へ
展覧会は一方通行で後戻りはできません。何やらごくごく普通の木製の扉を開けるとそこは至って普通の廊下があります。その廊下の突き当たりは鏡になっているので、いきなり自分と対峙することになります▼

更に扉を開けて
廊下の先の左側にあるまたまた先ほどと同様の木製扉を開けるとそこは別世界の始まりです。
非常に暗い中に作品が点在しているので気をつけて入っていきます▼

メインの展示会場
点在しているインスタレーション作品にゆっくりとスポットライトが当たります。
しかし、全体に照明が点灯することはないので、その全貌を一度に目にすることはできません。

次々と浮かび上がるインスタレーション▼

そこには剥製や古びた家具などが設置されています。▼

時折、スポットライトの点灯と共に噴霧される霧のような煙のような気体が音のない不気味な空間に変化を与えます。▼

流れる映像
巨大スクリーンから流れる映像も流れては消え、流れては消えを繰り返します。
1回転するまでの所要時間は体感で20分くらいあったように思います。▼

現実か幻影か
剥製ごしの映像▼

暗闇の中に
ようやく目が暗闇に慣れてくると、どこにどんなインスタレーションが点在しているのかが把握できます。▼

翻弄される鑑賞者
置いてあるインスタレーションも流れる映像も生活感は残っているものの、そこに人の気配は感じられません。
現実なのか、幻影なのか、戸惑いつつも目が離せない空間で照明に導かれるように右往左往させられる鑑賞者たち▼

出口へ
入ってきた扉の隣の扉を開けて出るとそこにはこんな光景が▼

廊下の先に
入り口と同様の廊下の先の扉を開けると最後の展示があります▼

絵画作品
暗くて長い展示室に絵画作品が並んでいますが、ここもスポットライトで1点づつ点灯されます。
最後に全作品が点灯して、また暗くなり、1点づつ点灯されてを繰り返します。

最後に
この展覧会は鑑賞する展覧会ではなく、体験する展覧会なんだなというのが率直な感想です。
作品である空間に身を置き体験することで、ただ鑑賞することでは味わえない感覚が心身ともに強く刻まれるという経験ができるとても良い展覧会でした。
コロナ禍にあってもたくさんの人にぜひ体験してもらいたいと思います。

冨安由真展 「漂泊する幻影」 神奈川芸術劇場
2021年1月14日[木]〜31日[日]11時〜18時会期中無休