神奈川芸術劇場で志村信裕個展「游動」の内覧会に行ってきました。
今年になってから2階中スタジオのホワイエで志村信裕作品「goldfish」が常時投影されています。この壁で泳ぐ金魚とは庭園美術館でのグループ展「生命の庭」の時と千葉市美術館「影を投げる」と今回で3回目のご対面です。▼
KAAT EXHIBITION
この展覧会は神奈川芸術劇場が年に一度開催している現代美術と舞台芸術の融合による新しい表現を、劇場空間で展開するという企画展です。
通常アーティストが作品を発表する美術館やギャラリーは、ホワイトキューブなのですが、ここは劇場なので真っ暗なブラックキューブです。
劇場スペースであるブラックキューブの暗さを生かした様々な展覧会が毎年開催されています。
前回は冨安由真の「漂白する幻影」でした。(コロナの影響で開催は2021年1月でしたが、2020年の企画)過去には小金沢健人やさわひらき、塩田千春などがこの場所で展覧会を開催しました。
游動
この展覧会のテーマは「水と光そして月」です。会場への重い扉を開けた瞬間からノックアウトでした。眼前に現れるのは、カーテンのように設えられた白い布に柔らかな光が踊る木漏れ日です。木漏れ日って無条件に美しいですよね。時間を忘れていつまでも観ていられる光景です。そして癒される。人工的な木漏れ日でもセロトニンって出るのかな。
宮沢賢治の詩からインスピレーションを得て制作したという「玻璃の夢」は古民家の窓枠に踊るクラゲの大群がなんとも美しい。この作品は先にこの古い窓枠があって、窓枠にどんな映像を映したらいいだろうかと考えて制作した作品なので、その事を踏まえて鑑賞するとより深まるかも。
展覧会の様子は動画を参照ください。▼
雨が降ってくるところを捉えた作品「Among the water」も吸い込まれるような感覚に陥ります。
志村作品は基本的にサイレントです。無音で真っ暗な中、視覚だけに集中して作品を堪能できる空間になっています。どこか懐かしく、儚くて美しい、そしてちょっと切ない。だけどじんわり癒される。そんな作品ばかりです。美しくてどこか物憂げな作品に心を射抜かれることが多いので、この展覧会はどストライクです。
今回は内覧会だったため、予想以上にざわざわしていたのがちょっと残念でした。できる事なら無音で真っ黒な空間に1人で行って作品に没入したいところです。
作品レイアウト
出品作品は全部で8点です。7の「光の曝書」以外はすべて新作です。
撮影について
動画も写真も撮影可能です。そして、なんと!座ってもいいという作品が二つもあります。
そう聞いたら座ってみますよね。▼
KAAT EXHIBITIONの企画展はいつもとても良いので、都内からだとちょっと遠いのですが、毎年観に行っています。今回も期待を裏切らない心に残るよい展覧会でした。
展覧会期
KAAT EXHIBITION 2021「志村信裕展|游動」
2021/9/9(木)~2021/10/8(金) 11時〜18時 月休(祝日の場合翌日休)