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渋谷区立松濤美術館「装いの力―異性装の日本史」展を夜間開館の金曜の夜に


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この展覧会「装いの力ー異性装の日本史」は、絵画、衣裳、写真、映像、漫画など様々な作品を通して各時代の異性装の様相を通覧し、性の越境を可能とする「装いの力」について考察するという公立美術館ではかなり突っ込んだ内容を扱った展覧会です。(会期終了)

さすが、全国で初めて同性婚を認めた渋谷区立の美術館だけあります。

渋谷区には、この展覧会の開催や同性婚だけでなく、ジェンダーに関する事案についてどんどん先駆者になっていってほしいと思います。

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装いの力 異性装の日本史

この世には男性と女性の二つの性が存在します。

しかし、何らかの理由によって生まれ持った性別とは別の性別で生きることになった時に、人は装いの力によってその性別の境界を超えることを、遥か昔から行なってきました。

その長い長い異性装の歴史を紐解く展覧会です。展覧会の冒頭は寛永21年(1664年)に刊行した古事記からスタートします。

松濤美術館「装いの力 異性装の日本史」
渋谷駅の展覧会の巨大看板とその前に立っているなかなか個性的な方。頭上にも注目。

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地下展示室

展覧会は地下の展示室から始まります。

1章日本のいにしえの異性装

2章戦う女性ー女武者

3章”美しい”男性ー歌舞伎

5章江戸の異性装

地下展示室は、以上5章の展示構成です。

主に文献や巻物、平面作品(木版など)が中心ですが、能の衣装や武者人形などの出品もあります。

この時代は、全てではありませんが、自分の意志で異性装しているというよりさせられている方が多かったのかもしれません。

歌舞伎のような演劇は別ですが、異性装の場合、本人の意思なのか否かはかなり重要で、自分の意に反し何らかの理由でさせられているとしたらそれは悲劇です。

松濤美術館「装いの力 異性装の日本史」
鏡越しの2階の撮影コーナー

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2階展示室

2階の展示室は近代から現代までの展示です。

6章近代化社会における異性装、7章現代の異性装、8章現代から未来へと続く異性装

の3章からなります。

2階展示室には、明治期の女装した男性に対する容赦ない世の中の制裁など、長い間差別されてきた不遇の歴史を垣間見ることができます。

また、時代の流れと共に女性のファッションの変化など、性差の幅が徐々になくなっていくのも見て取れます。

さらに、予想通り、手塚治虫の「リボンの騎士」、池田理代子の「ベルサイユのばら」、江口寿史の「ストップ!ひばりくん!」の原画の展示がありました。この3つの漫画は異性装というキーワードを聞いてすぐに思い起こしました。

しかし、こうやって改めてこれら漫画を見ると、「リボンの騎士」と「ベルサイユのばら」は男装した女性ですが、どちらも本人の意思ではなく、娘が息子であって欲しいという周囲の大人の都合と願望によるものです。

それに比べると「ストップ!ひばりくん!」の異性装の理由は漫画では明かされていませんが、本人の意思によるもののような気がします。

やっぱり、異性装の動機が本人の意思なのかそうでないのかは、とても重要です。

現在開催中の「ベルサイユのばら」展もあわせてどうぞ▼

松濤美術館「装いの力 異性装の日本史」
展覧会案内板は森村泰昌作品

展覧会の最後の章を飾るのは、森村泰昌と古橋悌二存命の頃のダムタイプの映像S/Nと1989年に古橋悌二らが中心となって始めたドラァグクイーン主体のパーティーDIAMONDS ARE FOREVERの絢爛豪華な展示です。

松濤美術館2階展示室のアーチをくぐった最後の小部屋に繰り広げられたDIAMONDS ARE FOREVERの展示「CQ!CQ! This is Post Camp」は、松濤美術館の建築を設計した白井晟一も頭痛を起こしそうな「終わってる、狂ってる」空気でまとめられています。

「終わってる、狂ってる」というのは、褒め言葉で、その理由はこの部屋の中央の展示台の裏に置かれたシモーヌ深雪&D・K・ウラジのメッセージに書かれています。

必ず持ち帰って熟読しましょう。

まさに異性装の未来を感じる「終わり方」です。

ちなみにDIAMONDS ARE FOREVERは、現在も月に一度パーティを開催しています。(直近では9/30に京都で開催予定です)

ミュージアムショップやイベント

1階にはグッズ販売コーナーが設けられています。

白井晟一グッズと並ぶとなかなかの対比です。

松濤美術館「装いの力 異性装の日本史」
販売しているIAMONDS ARE FOREVERの「CQ!CQ! This is Post Camp」オリジナルTシャツ
松濤美術館「装いの力 異性装の日本史」
1階のグッズコーナー

また、美術館ではこの展覧会にまつわるさまざまなイベントが行われています。

大人気だったのは、9/17のパフォーマンス記録映像 ダムタイプ《S/N》 特別上映だったようで、事前申し込み制でしたが、すぐに満員になったようです。

展覧会場でも流していますが、全部見るのはなかなか大変です。

私はすでに生でも映像でも何度も鑑賞済みなので良いですが、ここで初めて見る人は釘付けになるかもしれません。

それよりも興味をひいたのは、ワークショップ「女装メイク講座」です。なんかすごく楽しそうじゃありませんか。

女装っていうことは男性が参加するということですね。

公立美術館で「女装メイク講座」ってなんかその響きだけですごく魅力的です。

講座の開催は9/25ですが、定員に達したのですでに参加申し込みは締め切っています。

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写真撮影について

残念ながらこの展示室内は写真撮影が禁止です。

そのかわり2階に写真撮影コーナーが設けられています。

一緒に記念撮影も可能ですよ。

松濤美術館「装いの力 異性装の日本史」
一緒に記念撮影する場合は中央に立ちましょう。

普通に写真を撮ると▲

松濤美術館「装いの力 異性装の日本史」
フラッシュをたいて撮る時は変顔するのを忘れずに!

フラッシュをたいて撮るとあら顔が!▲

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夜間開館再開

パンデミック以降松濤美術館は、金曜の夜間開館をずっと中止していました。

しかし、この展覧会から今まで通り金曜日は夜20時まで開館します。

松濤美術館「装いの力 異性装の日本史」
夜の松濤美術館

中央の連絡橋より夜空を見上げる▲

松濤美術館「装いの力 異性装の日本史」
ライトアップされたファサード

久しぶりの夜の松濤美術館です。▲

今回のこの展覧会は特に、夜の鑑賞が似合うかもしれません。

夜間開館なら仕事の後でも間に合いますね。

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基本情報

装いの力―異性装の日本史

2022年9月3日(土)~2022年10月30日(日)(会期終了)

前期:9月3日(土)~10月2日(日)

A期間:9月3日(土)~9月19日(月)/B期間:9月21日(水)~10月2日(日)
後期:10月4日(火)~10月30日(日)

C期間:10月4日(火)~10月16日(日)/D期間:10月18日(火)~10月30日(日)

一般1,000円、大学生800円、高校生・60歳以上500円、小中学生100円

土・日、祝日・最終週は「日時指定予約制

月休 10:00-18:00(金〜20:00)

渋谷区立松濤美術館

渋谷区松濤2丁目14−14 MAP

アクセス:京王井の頭線神泉駅徒歩5分、渋谷駅徒歩約15分

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