コンテンツへスキップ

白井晟一入門 第2部/Back to 1981 建物公開 渋谷区立松濤美術館で茶室や館長室を見学!


フォローする
シェア:
記事の評価

白井晟一入門 第1部/白井晟一クロニクルを渋谷区立松濤美術館」に続いて、第2部/Back to 1981 建物公開を鑑賞してきました。

40年間秘められた存在だった地下の茶室の公開や、通常見ることのできない館長室の見学(ガイド参加者のみ)など、松濤美術館に何度も通い続けているリピーターもびっくりな展覧会でした。

PR

第2部

渋谷区立松濤美術館開館40周年記念の展覧会「白井晟一入門」の第2部が始まりました。第1部は、竣工写真、図面、スケッチ、模型などいわゆる通常の建築の展覧会でした。しかし!第2部の内容は全く違います。

2020年に世田谷美術館で開催された「作品のない展示室」という展覧会をご存知でしょうか。この展覧会はコロナウィルスによるパンデミックによって、海外からの作品の借用や展覧会の準備に支障が出て、通常の展覧会の開催が困難となり、建築家内井昭蔵によって設計され、1986年に開館した世田谷美術館の建物そのものを鑑賞してもらうという非常に実験的でありながらも画期的な展覧会でした。

で、今回の白井晟一入門第2部は、その動機こそ異なるものの、美術館建築そのものを鑑賞する展覧会という点では、世田谷美術館と同じ趣旨です。

美術館内に展示物はありません。特に地下の第一展示室なんて気持ちいいくらい何もありません。

そこには壁際にミース・ファン・デル・ローエのバルセロナチェア(オットマン)がポツポツと置かれているだけです。▼

展示物がない美術館で何を鑑賞するかというと、美術館の建築そのものを鑑賞する展覧会です。まずは、その展覧会がどんな感じなのか動画を参照ください。

第1部は撮影禁止でしたが、第2部は撮影可能です。動画はNGです。

PR

喫茶があった

私は昨年閉館した原美術館同様、この美術館も10代の頃から通う訪問歴 X十年のヘビーユーザーです。2階に喫茶があって、今は閉じられている小さな窓口から飲み物を注文をし、居心地のいい革製のデ・セデに深く腰掛けてコーヒーを片手に作品鑑賞するのがいつもの松濤美術館の楽しみ方でした。

飲み物以外にもちょっとしたパウンドケーキみたいな焼き菓子系のスイーツがあったと記憶しています。公共の施設の喫茶なので、お値段もかなりお手頃でした。学生時代にはそれもありがたくて、リーズナブルな料金で、リッチな気分に浸れるお気に入りの場所でした。

しかし、喫茶は残念ながら十年以上前になくなってしまい、あのとんでもない優雅な美術館の過ごし方はできなくなってしまいました。

第二部のここがすごい!

ブリッジに出られる!

いつもは鼻の頭がつきそうなくらい、ガラスにへばりついて覗き込んでいた、この中央吹き抜けのブリッジに出られます!これは興奮しますね。階下の噴水の音が直接聞こえてきます。

しかし、このブリッジ天候によっては閉鎖の場合もあるそうなので、絶対にブリッジを渡りたい!って方は晴天の日に行った方がいいかもしれません。

回廊

地下の展示室もいつもとは様子が違います。作品保護のために外光が入らないように閉じられている中央吹き抜け側の窓が見えます。また、その上の回廊を通ることもできます。▼

引き戸があった

2階展示室の奥の部屋にこんな引き戸があったのは知りませんでした。

2階の展示室は、調度品や開館時の家具が置かれ、壁には白井晟一の書が掛けられています。

美術展の時は、クセが強くて気になることもあったヴェネツィアンベルベットの壁ですが、今回の展示では、ものすごくしっくりきていました。

これが白井晟一が求めた空間の本来の姿なんだと妙に納得しました。▼

初めて姿を現した格子状の引き戸▼

二つの螺旋階段

通常関係者しか使えない奥の螺旋階段も開放されていますので、白井晟一が拘った二つの螺旋階段を同時に見学することができます。

照明も白井晟一デザインです。実は地下2階が竣工時のオリジナルの照度です。かなり暗いです。現在、地下2階以外は安全のため明るく改修されています。

ある意味地下2階は貴重な闇なのでここは、必ず照度を体感しましょう。

初公開の茶室

松濤美術館が開館してから40年間、今まで一度も公開されたことがなく、しかも茶室として使われたことすら一度もないという茶室の初公開には興奮しました。

普段はスタッフの控え室として使われているそうですが、設計した白井晟一自身がとてもこの場所がお気に入りで、松濤美術館に来ると、まず茶室で寛いだそうです。

飾ってある書は、白井晟一によるもので、公開に合わせて借りてきたそうです。▼

館長室の見学

茶室同様に館長室も初めて足を踏み入れました。赤いビロードの床と壁、大きなテーブル、エントランスが見渡せる窓、などなどとっても個性的で白井晟一らしい空間でした。元々館長室として作られたわけではなく、会議室として設計されたそうです。

この空間は、残念ながら撮影禁止でしたので写真はありません。また、館長室の見学は館内建築ツアー参加者のみの特別公開です。→新型コロナウィルスの感染拡大により館内建築ツアーは中止となりました。(2021.1.19追記)

館長室の見学が中止になって(2022.01.21追記)

建築ツアーが中止になったので館長室の見学がどうなったかというと、当然中止です。しかし、写真で館長室を見られるようにこのようなパネルが館内に追加で掲示されていました。

この写真だとわかりにくいのですが、正面の窓枠のデザインがすごく個性的なんです。

さらに、右側のガラスケースの壁とか床とかが真っ赤で、室内の照明は当然暗め。

テーブルは40年前の竣工時からのものということでしたが、縁に組み木が施してあってすごく手の込んだデザインのテーブルでした。▼

PR

建築ツアーについて←中止になりました。

美術館の学芸員が案内する館内建築ツアーです。私は建築ツアーの一番最初の回に行ってきました。

当日の朝、美術館に到着して受付で建築ツアーについて問い合わせると、時間になったら館内放送があってそこで整理券を配ると言われました。

早く到着したのでまずは館内を鑑賞して10分前にロビーに戻りました。フライヤーには各回定員20名となっていましたが、どう考えても50人以上の人がに集まっていました。

これはどうするのだろうか?と思っていたら、いきなり整理券は地下で配りますというので、一斉に皆地下に降りました。

そこで説明されたのは、各回の定員を25人にして学芸員二人が各々2回ツアーをするということでした。要するに100人定員になったわけです。フライヤーにはツアーの時間は40分と書いてありましたが、正味20分ほどで非常に簡単なものでした。

初回にもかかわらず想定以上の人が集まってしまったようです。側から見てもかなりぐだぐだだったので、今後参加方法、整理券の配布方法などは変更されるかもしれません。

ただ、本日のツアーに関しては20分ほどでしたし、内容は会場で配布されているリーフレットに書かれている説明とほぼ同じでした。

館内で配布されているリーフレット▼

ただし建築ツアー参加の特典として館長室の見学ができるのは大きいですね。

建築ツアー参加希望の方は、参加方法等がどうなっているのか逐次チェックした方がいいと思います。また、土日は建築ツアーの参加とは関係なく、入館には事前予約が必要です。

ツアー開催予定日:1/7,8,9,14,15,16,21,23,28,29,30 1/21以降の建築ツアーは中止となりました

金曜11:00〜  土日16:00〜

現在(2023年10月追記)は、通常の館内建築ツアーが毎週金曜の18時から行われています。

この通常の建築ツアーにも当然参加経験がありますが、15人ほどで丁寧にまわるので、満足度高いです。無料だし事前予約の必要はないので興味がある方はぜひ!

PR

蛇口

最後に、当初の図面にはないのに、なぜここにこのような蛇口が追加されたのか、その意図は謎らしいのですが、入り口の右側の壁にある蛇口です。

白井晟一設計で建てられた前橋市の書店にあったものと同じ蛇口だそうです。

金土日は水が出ているということなので、水が出ている様子を見たい人は金土日にいきましょう。

私もこの水道から水が出ているのは初めて見ました。▼

何十回も足を運んでいるお馴染みの美術館ですが、初めて尽の建物公開、とても楽しめました。近いしもう1回行こうかな。

PR

白井晟一入門 第1部はこちらをどうぞ▼

白井晟一入門 第1部/白井晟一クロニクルを渋谷区立松濤美術館で

飯倉交差点のNOAビルについてはコチラを▼

設計 白井晟一 飯倉交差点のランドマーク「NOAビル(ノアビル)」

また松濤美術館監修の公式図録や白井晟一関連の書籍はAmazonからも購入できます。

展覧会基本情報

渋谷区立松濤美術館 開館40周年記念「白井晟一 入門」

第1部/白井晟一クロニクル :2021年10月23日(土)~12月12日(日) 終了
第2部/Back to 1981 建物公開 :2022年1月4日(火)~1月30日(日)

10:00-18:00(金曜の夜間開館中止) 月休 *土日祝日・最終週は日時指定制 

一般1,000円、大学生800円、高校生・60歳以上500円、小中学生100円 渋谷区民割引あり

金曜:渋谷区民無料

リピーター割引:観覧日翌日以降の会期中、有料入館券の半券と引換えに通常料金2割引き

東京都渋谷区松濤2丁目14−14 MAP

シェア:
同じカテゴリーの記事 PR
PR
PR

コメントを残す