大日本印刷/DNP
市ヶ谷にある大手印刷会社大日本印刷株式会社(以後DNP)の市ヶ谷工場がとんでもなく素晴らしいものに生まれ変わったという噂を聞きつけて早速行ってきました。
2021年2/11オープンのこの施設はその名も「市谷の杜 本と活字館」という活版印刷と本づくりをテーマとしたリアルファクトリーです。
これは本好き、文字好き(あえてタイポグラフィーとかフォントとか横文字は使いません)は必見の場所です。
館内について
館内は地下、一階、二階の3フロアですが、展示室があるのは一階と二階です。
この案内マップもここで印刷されたものです。
一階
一階には案内所と印刷所と喫茶があります。この館内サインだって活字です。この堅苦しい感じの活字が逆に可愛く感じるのはマニアでしょうか。
また1Fではなくあえて漢字の一階です。ここでは喫茶もカフェではなくて喫茶なのです。
ロゴやピクトグラム、サインなどのデザインはこのブログでも紹介した事のある日本デザインセンターの色部デザイン研究所です。
DNPの歴史
DNPは1886年からこの市ヶ谷で印刷工場をやっていました。この地で印刷を初めてから100年以上がたっているのです。言うなればDNPの歴史は近代日本の印刷の歴史と言っても過言ではありません。
活版印刷
見所はなんと言っても実際に稼働している印刷所です。その印刷所の横に作字から製本まで活版印刷についての工程がわかる展示があります。
鋳造機
万年自動鋳造機ってネーミングがすごいですね。これは当時稼働していた本物の機械です。印刷をする機械ではなくて、活版そのものを鋳造する機械ですね。
ここはリアルファクトリーですから実際に活版印刷をしている印刷工場なワケです。
その様子はこちらで▼
喫茶
一階には喫茶もあって美味しい珈琲をいただくことができます。料金もお手頃なので、これは飲まずにはいられません。
活字ベンチ
コーヒーは地下のDNPの歴史などを紹介する記録室の椅子か、二階の活字ベンチで。(これは活字長椅子とは言わないのね)もちろん、活字ベンチで頂きました。
確認してませんが、絶対このスリーブもこの印刷所で活版印刷したものに違いありません。
こんなところにも豆知識が書かれています。本好きにはたまらないですね。
二階
二階は制作室と企画展を開催する展示室、そして購買、そして奥には活字ベンチがあります。
購買
こちらは製本に関わるグッズなどが販売されています。
時計台の修復と復元
展示室は開館記念展として「時計台の修復と復元」展が開催されています。
この建物は1926年竣工の歴史ある建築で、なんと2016年までオフィスとして使用されていました。設計は重要文化財三河島汚水処理場を生み出した土井松市と宮内初太郎で、構造設計はコンクリート建築研究第一人者によるものだそうです。今回の市ヶ谷工場再整備計画の一環として建築当初の姿に復元する事になったのです。
曳家
なんと今回の再整備のために曳家にて40m動かして免震基礎工事などを施し、最終的に元あった場所から北西へ約10m移動したのです。絶対、解体して新しいビル建てるよりお金かかってますね。これを実行する決断を下したDNPさん!さすがです。
DNPといえば1986年に開設された銀座のgggもDNP文化振興財団のギャラリーです。ここはグラフィックギャラリーの専門ギャラリーとして、様々な展覧会を開催しており、このブログでも紹介した石岡暎子展は前期後期と2期にわけて大々的に展覧会を開催しました。
オリジナルグッズ
入場無料なのに、訪問したら美しい活版印刷の封筒をいただけるのです。その中には小冊子とともにさらに小さい封筒が入っていました。
記念品3点セット
この建物の基礎に入っていた木材を再利用した虫眼鏡、定規、タッチペンの3点セットなのです!この記念品は先着順でなくなり次第終了という事ですから、欲しい方はお早めに!私は3月初めに行ってゲットできました。
こちらは二階の制作室で一人1点もらえるしおりとカードです。これらもここで制作されたものです。
入場はweb予約による事前予約制です。予約は翌日以降2週間先まで可能ですが、入場人数をかなり制限しているようで、結構埋まっています。私が行った時は自分たち以外に1組しかいませんでした。ですから、非常にゆっくり見ることができましたし、スタッフの方々は皆さんとても親切で感じの良い方々ばかりでした。
入場無料、撮影可。無料のロッカーもあるので身軽に見学できます。
市谷の杜 本と活字館
東京都新宿区市谷加賀町1-1-1
月火休 完全予約制、入場無料