美しい螺旋階段が印象的な「京都市京セラ美術館」や「八戸市美術館」をはじめとする文化施設や美術展の会場構成など美術館関係の仕事を数多く手掛けている建築家・西澤徹夫(TEZZO NISHIZAWA)の初の個展が乃木坂のTOTOギャラリー間で始まりましたので早速訪問してきました。
西澤徹夫の代表作いえばやっぱり青木淳との協働、京都市京セラ美術館の設計でしょう。
帝冠様式の威厳ある旧京都市美術館がふたりのリノベーションで古きよき意匠を残しつつ全く新しい姿に再生されました。そのような活動を含めたこれまでの仕事を模型や資料で紐解く展覧会は、見応えたっぷりです。
時間をたっぷりとって訪問しましょう。
PR西澤徹夫
個人的に西澤徹夫を知ったのは、谷口吉郎設計の東京国立近代美術館を2012年に大改修した際です。また、西澤徹夫がその師匠である青木淳とともに手がけた京都市京セラ美術館は誰もが認める素晴らしい大改修でした。
このように西澤徹夫のこれまでの仕事は美術館やアートと密接に関係しています。
そんな西澤徹夫の初個展ですから、期待はマックスです。
西澤徹夫は「建築の全体性とは、どこまでのことを指すのか?」と問い、建築の核心に不可視のものがあると考えています。
個展のタイトル「偶然は用意のあるところに」は、建築に真摯に向き合う姿勢を表す言葉であり、核心に触れるためには準備を整えることが重要であるということを強調しています。
西澤が手がける緻密な設計と現場での「チューニング」によって生まれる建築は、訪れる人に喜びや新しい発見をもたらす空間ばかりです。
また、今回の展覧会を西澤自身が「自らも未だ気づいていない何かを発見するプロジェクト」と捉え、鑑賞者が建築の内面について考え、新たな発見をする手助けとなることでしょう。
西澤徹夫展 GALLERY 1
展覧会はいつものように2フロアです。
最初に目にすることになるのは、親しみある東京国立近代美術館での展覧会構成の1/4での再現です。
▲何やらこちらを指差しているのは、どっからどう見てもヴィト・アコンチですね。
映像の作品を見せる展覧会構成が縮小サイズで再現されています。
全ての模型には縮尺にあわせたサイズの人形が付属していてそのスケールが分かるよう工夫されています。
そんな工夫も嬉しいのですが、人形が可愛くて思わず全部探してみたくなります。
▲入口から正面に見えるのは京都市京セラ美術館です。模型とドローイングで表現されています。
西澤徹夫と青木淳がリノベーションを手がけたエリアが模型で作られています。
ここは初訪問の時、感動しました。
何度でも訪れたい美術館のひとつです。
▲こちら、開館した時から話題の八戸市美術館です。私はまだ未訪問。
この展覧会でますます訪れたくなりました。
▲こちらはもう20−30回くらいは訪問している竹橋の東京国立近代美術館のチラシラックです。
企画展展示室への出入り口にあるので、皆さん見たことあるでしょう。
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西澤徹夫展 テラスの曽根裕作品
ギャラリー間の展覧会の楽しみのひとつ、このテラスの見せ方です。
展覧会ごとに全然違う空間になっているのですが、今回はどうでしょうか。
なんと!今回は青山のイエローハウスことイザベル・マランが話題のアーティスト曽根裕氏の作品が!!!
個人的に先日、青山のイエローハウスで曽根裕氏ご本人にお会いした感動が、興奮が、覚めやらない状態です。
作品を見るための椅子は、曽根裕の提案で鉄板で再製作された「リトルチェア」です。
この椅子に腰掛けてしばし曽根作品を堪能することができるのです。
▲ここで曽根作品を鑑賞することになるとは!
西澤徹夫にとって曽根裕は、芸大の建築科の先輩です。同時期に芸大に在籍していた訳ではないようですが、曽根裕が芸大建築科では伝説的な存在だったようです。
どのような伝説なのかは、作品のキャプションに書いてるので、青空の下でリトルチェアに座って読んでみてください。
曽根裕のイエローハウスの記事▼
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西澤徹夫展 GALLERY 2
上階のギャラリー2もプロジェクトの紹介が続きます。
▲いつもは、読むのが大変なパネルが並び、コロナ禍では滞在時間に制限があったので、半分も読めずに時間切れなんてこともありましたが、今回の展覧会はとってもわかりやすく、また、個人的に非常に親しみのある場所(美術館)や展覧会が多くて、特に楽しめました。
▲こちらは2012年に西澤徹夫がリニューアルを担当した国立近代美術館です。
オレンジ色のカーペットやシェルフなど見覚えがあります。
▲そして、毎回皇居を眺めながら、ぼんやりする「眺めのよい部屋」に並ぶ、ハリー・ベルトイアのサイドチェアもギャラリー間に出張していました!
ここで気づきました。GALLERY 1のチラシラックも竹橋から出張してきているのか!と。
東京国立近代美術館の名作椅子特集▼
▲こちらは、東京国立近代美術館のパウル・クレー終わらないアトリエ展(2011年)の展覧会構成です。
天井の低い美術館のデメリットを感じさせない回遊型の展示構成です。
▲この覗き穴は、京セラ美術館の森村泰昌展の時のものです。
覗き穴、展覧会にもありましたね!
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西澤徹夫展 展覧会図録
ギャラリー間にはギャラリー下の2階にブックショップBookshop TOTOを併設しています。
そこで今回の展覧会図録を購入することができます。
▲美術館、住宅、会場構成を含む30プロジェクトがぎゅっと詰まった西澤徹夫の作品集であり、展覧会図録です。
この書籍の装丁というかカバー、なんか既視感ありますよね。こんなところにも西澤徹夫のユーモアが溢れいています。
建築とアート好きの私にはとっても楽しい展覧会でした。
両方好きな方には特におすすめです。
私は近所なのでもう1回行こうっと。
同時に六本木でみられる展覧会
2121はギャラリー間の徒歩圏内▼
国立新美術館もギャラリー間の徒歩圏内!▼
10月2日までのテート美術館展もおすすめ!▼
基本情報
西澤徹夫 「偶然は用意のあるところに」
月曜・祝日 ただし、9月23日(土・祝)は開館 入場無料 予約不要 TOTOギャラリー・間 港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F MAP アクセス:東京メトロ千代田線乃木坂駅3番出口徒歩1分 |