表参道の駅からほど近い場所に突如として現れた黄色い建築、その名も「イエローハウス」。この界隈で一際目を引く真っ黄色な物体。一体これは何?と通りがかって疑問に思った方も多いでしょう。これはイザベル・マランの新しいショップであり旗艦店です。
そして、この個性あふれる建築は、現代美術アーティストの曽根裕とイザベル・マランによる協業なのです。
どこからどう見ても完全にアート作品そのものなこの旗艦店。
PRイザベル・マラン
イザベル・マランは、1994年創立のフランスのブランドです。ブランド名は創立者自身の名前です。
東京に初出店したのは2012年。それまでセレクトショップでの取り扱いを含めて20年間トゥモローランドが日本事業を展開していました。
しかし、今回イザベル マラン ジャパンを設立したのを機に、この南青山の新旗艦店「イエローハウス」をオープン。正式なショップのオープンは2023年7月6日からです。
日本法人の設立により今後は、ダイレクトな運営・プロモーションを行なっていくというわけです。
というわけで以前あった表参道ヒルズの裏手のショップは閉店し、南青山のこのイエローハウスがイザベル・マランの顔となるのです。
曽根裕
曽根裕と言えば個人的には「19番目の彼女の足」が一番印象的でした。一番印象的というよりも、多分私が曽根裕というアーティストを認識したのがこの作品だったのだと思います。
この作品は、1993年に水戸芸術館現代美術センターでの個展のタイトルと同名です。
インタラクティブな作品、体験型、参加型の作品は今では珍しくありませんが、90年代初頭において、19人の乗り手を募集し、連結された自転車を一般参加者が乗りこなす訓練をして、それを作品とするというのは、当時はとても斬新で革新的な作品でした。
この革新的な展覧会が出会いだったので、なんて面白いことをするアーティストなんだろう!それが私の第一印象です。
こうして曽根裕は、非常にセンセーショナルな展覧会で世間をあっと言わせたのですが、と同時にあっという間に日本を飛び出してしまったという印象でもあります。
実際、ここ20年くらいは主に海外を拠点に活動されていて、今はアントワープと日本を拠点としています。
外観
それでは、イザベル・マランと曽根裕によるイエローハウスを見ていきましょう。
あまりにもあまりにも個性的なその外観は一目見たら忘れることはないでしょう。
まずは、その色です。名前にもなっている通り全部が綺麗に真っ黄色です。そして、その形もまた一筋縄ではいきません。
荒削りな表面は岩や氷のようであり、リアルなことを言うとスタイロホームをザクザクと削ったような、そんなマチエールを見せています。
▲窓や入り口からは、だいぶ迫り出している黄色い部分
このファサードは曽根裕が発表したシリーズ“パワー オブ テン(POWER OF TEN)”と“オブシディアン(OBSIDIAN)”からインスピレーションを得ているそうです。
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店内インテリア
プレオープン中でしたが、店内も見学させてもらいました。
▲床はテラゾー。赤とピンクの立体も作品ですね。
これは本当にスタイロホームでしょうか?
▲有機的な窓の部分の開口部は内部も曲線を描いています。
▲什器もかなり個性的です。
▲この取手の可愛らしさ!一目惚れしました。
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ショップは2フロアです。
▲2階の様子です。このホワホワのソファは、イザベルマランのショップには必ず置いてあるアイコンなんだそうです。可愛いですね。
試着室内のスツールも同じ素材でできていました。植木鉢にも脚がついていたりしてさりげなく超個性的です。
▲まずは、窓枠の曲線に注目したい!
そして、更に窓と窓の間にある立てかけてある風に見えますが、実はきちんと施工されている鏡。
店内の鏡は全て立てかけてある風に見える壁に一体化された造作家具でした。
▲1階の什器同様に2階にも同素材の台が。台の上に商品と一緒に乗っている4色の立体は作品です。
▲手前は作品、奥の扉の取手にも注目!
アーティストとデザイナーのコラボレーションですから、面白くならないわけがないですね。
実際にかなぁり個性的で面白いショップになっています。
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イザベル・マランと曽根裕
縁あってイザベル・マランの旗艦店オープンのイベントに参加させていただきました。
曽根裕は芸大の建築科の大学院出身なので、今回の仕事は、建築を学んだ経験から、本人が持っている景観とか建築についてのイメージを取り払うことから始まったということでした。
そこから脱却したらあとは自由に創作することができたそうです。
話を聞いて、自分でそのような経験をしたわけではないのですが、深く学んだからこそ、そこから自由になるために時間を要するのは理解できるなと感じました。
息のあった2人のトークを見せる2人。
この作品は100%の出来栄えだそうです。
確かに、インパクトだけでなく、建築という概念からもアートからも凌駕した唯一無二の作品です。
ショップ前にて記念撮影の様子。
なんと!店舗の裏側に回るとアーティスト曽根裕のサインがありました!
このサインがあることで、さらにこのショップのアート作品度が高まります。どこにあるか探してみてください。
イエローハウスの夜
夜のイエローハウスも格別です。
▲有機的な開口部の形が際立ち、ショップの光が漏れていい感じです。
▲昼も夜もいい!
ビビッドなイエロー繋がりで見ておきたい浮遊する黄色い階段▼
基本情報
ISABEL MARANT /イザベル マラン
11:00-20:00 東京都港区南青山5-9-8 MAP |