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森美術館「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」を観に行く前に読んでおきたい情報まとめました。


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森美術館で明日から始まる展覧会「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング/Listen to the Sound of the Earth Turning: Our Wellbeing since the Pandemic」の内覧会に行ってきました。

どんな展覧会なのか、鑑賞時間の目安はどのくらいなのか、お得に鑑賞できる情報など、早速レポートしたいと思います。

また、今後も通って内容は随時更新予定です。

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出品アーティスト

今回の展覧会は国内外のアーティスト16名(エレン・アルトフェスト、青野文昭、モンティエン・ブンマー、ロベール・クートラス、堀尾昭子、堀尾貞治、飯山由貴、金崎将司、金沢寿美、小泉明郎、ヴォルフガング・ライプ、ゾーイ・レナード、内藤正敏、オノ・ヨーコ、ツァイ・チャウエイ(蔡佳葳)、ギド・ファン・デア・ウェルヴェ)による約140点の作品によって構成されています。

展示作品は、インスタレーション、彫刻、映像、写真、絵画などその表現は多岐に渡ります。16人の中には現存作家だけでなく物故作家も混じっていて、モンティエン・ブンマー、ロベール・クートラス、堀尾貞治がすでに亡くなっています。また、堀尾貞治と堀尾昭子は活動は別々ですがアーティスト夫婦です。

森美術館の展示順にご紹介しますが、撮影禁止の作家・作品は写真がありません。

展覧会の様子は動画が一番わかりやすいです。是非参照ください。▼

オノ・ヨーコ

展覧会タイトルである「地球がまわる音を聴く」はオノ・ヨーコの作品からの引用です。ですから、このグループショウのスタートはオノ・ヨーコで始まります。

彼女の1963年のインストラクション・ペインティング作品「EARTH PIECE」中の一つ ”Listen to the Sound of the Earth Turning” です。

1963年の作品で、インストラクション・ペインティングとしては「地球の曲 地球がまわる音を聴く」この1行ですが、その後ヨーコ自身はTwitterでこのように自身の作品に触れています。


みんな一緒に回っているなんて、素敵じゃない?

疫病や戦争が溢れかえった現代をポジティブに生きようとするとき、こんな考えが有効なのだと思います。

こちらの作品はかの有名な「Grape Fruit」です。▲

ヴォルフ・ガング・ライプ

オノ・ヨーコに続いての展示は、まるで平置きしたロスコの絵画のようですが、この作品は絵画ではなく、花粉です。ドイツ人アーティストのヴォルフ・ガング・ライプは自然素材を使用した作品を制作しています。

特にヴォルフ・ガング・ライプと言えば花粉が有名です。花粉といえばヴォルフ・ガング・ライプですね。この作品はヘーゼルナッツの花粉でできています。もちろん本物です。

自然界にはこんなに美しい色彩があるのですね。

70年代から花粉を使った作品を制作していますが、私が最初に日本で花粉の作品を見たのは豊田市美術館だったような気がします。調べてみたら20年ほど前でした。(遠い目)▲

地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング
9月中旬に行ったら思い切り手の跡が!手前には足跡がついています。

何度か訪問して気づきましたが、他の作品にはみられないものの、ヴォルフ・ガング・ライプの花粉の作品は、だんだん汚れてきているなと感じました。花粉に触った手跡や、作品の周囲に裸足の足跡までついているのには驚きました。

常識的なことですが作品に手を触れてはいけません。

こちらは蜜蝋の作品▲中に入ると蜜蝋の香りで充満しています。中は線が引いてあるところまでしか行けないので1mくらいしか進めません。

また、中に入っての撮影は禁止です。外からなら撮影OK。中に入って蜜蝋に囲まれてみましょう。

この作品はなんと牛乳です。牛乳が表面張力で溢れるギリギリの状態を保っています。美しくて緊張感のある作品です。触りたくなりますが、もちろん触ったりしてはいけません。▲

ヴォルフ・ガング・ライプはKENJI TAKI GALLERYでも展覧会を開催していました。

初台にあるギャラリーなのでいつも東京オペラシティギャラリーとセットで立ち寄ります。ですから、今回は、「ライアンガンダー われらの時代のサイン」展を鑑賞の際に訪問しました。

黒い花崗岩の周りの粒々は、灰と米粒です。お米はタイ米でした。▲

KENJI TAKI GALLERY Wolfgang Laib 2022年6月30日ー7月30日 会期終了

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エレン・アルトフェスト

アメリカの女性画家エレン・アルトフェストの油彩による平面作品の数々。他のインスタレーションに比べると小ぶりな作品ですが、その迫力は決して負けていません。

現実を超細密に具象として描きこんでいったら抽象的になったという、素粒子物理学を絵に書いたような展開で、どれもこれも力強い描写です。▲

この南瓜の作品見入ってしまいました。まるで飛び出してきそう。平面ではなく3D作品に見えるくらいです。▲

ギド・ファン・デア・ウェルヴェ

この作家の作品は主に映像作品です。作品の動画撮影はNGですが、写真撮影は可能です。

「第9番 世界と一緒に回らなかった日」は▲ファン・デア・ウェルヴェ本人が北極点に24時間立ち続け、地球の自転とは反対向きに回り続ける様子をタイムラプスで撮影した映像作品です。

とにかくひたすら同じ行為を繰り返す映像作品▲

このあと飯山由貴、小泉明郎、内藤正敏と写真撮影NG作品が続きます。

ゾーイ・レナード

ゾーイ・レオナルドは、写真、彫刻、インスタレーションを融合させた作品で、厳格な概念論と明確に個人的なビジョンを訴える女性作家です。

2016年マンハッタンで行われたパフォーマンス「大統領が欲しい」が記憶に新しいところ。

展覧会の中間地点にもオノ・ヨーコ作品。この展覧会のバックボーンにオノ・ヨーコの作品世界があることがわかります。▲

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青野文昭

次は、2019年の六本木クロッシングに出ていたアーティスト青野文昭の作品です。

巨大なインスタレーションは、自身が経験した東日本大震災をテーマにしています。

津波で流された神社を記憶に基づいて復元しようとした作品は、青野文昭の不思議な世界に迷い込んだかのようです。

情報が多すぎて色々見逃さないように細部までじっくりみていると物凄い時間がかかります。▲

これは六本木クロッシング2019年の時に出品されたインスタレーションです。▲

ロベール・クートラス

ミナペルホネンの皆川明も大ファンというアーティストです。

タロットカードのようなたくさんのカードの作品を遺したアーティスト。商業ベースに乗ることを嫌い画壇を離れ、苦境の中でも黙々と作品を制作し続けたその熱情が伝わります。▲

金崎将司

アール・ブリュットの金崎将司。NHKの「no art, no life」でも紹介されたアーティストです。

一体何がどうなっているのか、実物を是非鑑賞しみてください。その制作過程や実態がわかるとびっくりします。▲

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堀尾貞治、堀尾昭子

夫婦の作品が同じ空間に展示されています。

堀尾貞治は生涯を通して10万点の作品を制作したそうです。ここに掛けられた作品だけで、美術館で個展が開けるボリューム。その数に圧倒されます。▲

その妻堀尾昭子の作品(手前)は、夫の作品と対照的というのか、親和性が高いというのか、とっても小ぶりで繊細な作品です。夫婦の共演空間がとても興味深く面白い展示構成になっています。

2人とも作品制作を生理で行っているタイプのアーティストのように見受けられます。▲

ツァイ・チャウエイ

ツァイ・チャウエイ(蔡佳葳)は台湾のアーティストです。

手拭きガラスと鏡の「子宮とダイヤモンド」です。極楽に咲く蓮の花のような、曼荼羅のような作品。

壁には曼荼羅そのものでもある「5人の空のダンサー」作品が映り込んでとても美しい。2つの作品を併せて観ると、これは涅槃の世界を表しているということがわかります。▲

金沢寿美

とても巨大な作品です。カーテンのように見えますが素材は新聞紙です。

10Bという濃い鉛筆で新聞紙をひたすら塗りつぶしています。塗り残した部分は彼女が気になった単語、写真など。

結果的にある傾向のメッセージが浮かび上がっています。

膨大な時間をかけて制作された巨大インスタレーションはまるで宇宙▲

現代芸術振興財団が主催する、プロフェッショナルなアーティストを対象としたアートアワード「CAFAA賞2020のグランプリに選ばれた時に六本木のピラミデで発表された「新聞紙のドローイング」(2021)▲

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モンティエン・ブンマー

タイのアーティストの大御所でした。森美術館では2017年のサンシャワー展以来です。

今回はハーブの香りが漂う作品は自然の呼吸:アロカヤサラ」。

重なっている箱は都市を、上からぶら下がるのは人間の肺を模したオブジェ、そして箱の中には薬草が塗布されています。

肺にダメージを与えるCOVID-19とそれを治癒する薬草・・・いろいろ暗示的で今の世界を表現した作品かと思いますが、でも20年以上の前の作品です。

ずっと以前に展覧会で来日した際に仕事でお会いしていますが、日本酒が大好きな陽気な方でした。40代で亡くなってしまったと聞いた時は大変ショックでした。奥さんを早くに亡くした悲しみが寿命を縮めてしまったのでしょうか。▲

2017年に森美術館と国立新美術館の2館で開催された「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」に出品されたブンマー作品▲

そして、この展覧会の締めくくりはやっぱりオノ・ヨーコの作品です。▲

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仙境へようこそ  名和晃平、小谷元彦、ユ・スンホ、やなぎみわ

MAMコレクション015は、やなぎみわ、小谷元彦、ユ・スンホ、名和晃平によるグループショウです。

会期や開館時間などは森美術館と同様です。森美術館のチケットで鑑賞可能なスペースなので忘れず観ていきましょう。

小谷元彦▲

名和晃平▲

中央がユ・スンホの作品

2022.6.29(水)~ 11.6(日)会期中無休

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撮影について

一部の作品を除き写真・動画撮影は可能ですが、フラッシュ、自撮り棒、三脚などは不可です。

撮影不可作品は以下です。

小泉明郎作品(映像込みのインスタレーション)、飯山由貴作品(映像とインスタレーション)、ギド・ファン・デア・ウェルヴェ作品(映像作品)、内藤正敏作品(写真)、ヴォルフガング・ライプ「べつのどこかで ー確かさの部屋」の内部での撮影禁止、外からなら撮影OK

音声ガイド

音声ガイドはスマホにアプリをDLして聴くタイプです。しっかり聞き取りたい場合はイヤホンを持参しましょう。良いイヤフォンがない? Amazonでじっくり探してみましょう。最近はBluetooth接続で高機能なイヤフォンも比較的安価になっています。

このガイドのwebページは一定期間が来るとアクセスできなくなるようになっていました。当たり前か。

出展アーティストの作品

出展アーティストの著作や作品集などはAmazonから購入できます。

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鑑賞時間の目安

映像作品は全て撮影禁止のため、掲載されていませんが、小泉明郎作品、飯山由貴作品、ギド・ファン・デア・ウェルヴェ作品は映像です。全てをきちんと鑑賞するとなると2時間では足りないでしょう。

私は1回目の鑑賞である内覧会の滞在時間は1時間半でした。というのも閉館時間が来てしまったので1時間半で出たというのが正しいです。

堀尾貞治作品だって丁寧に見ていったら相当時間がかかります。▲

暑い日は、森美術館は公立美術館と違って夜遅く(22時)まで開館しているので、夜訪問がおすすめです。また、会期後半は混雑してくるので会期前半の方がゆっくり鑑賞できます。

デートで行くなら7月31日までのウェブ限定!ナイトペアパス(18:00以降2名で入場の場合)がお得ですよ。

チケットについて

森美術館は事前予約制(日時指定券)を導入しています。枠に空きがある場合は、予約なしでも入場できますが、週末やこれから夏休みの時期などは、事前にオンラインチケットを購入してから訪問することをお勧めします。

また、平日だから当日でも入れるでしょって思っている方!入れるかもしれませんが、オンラインチケットの方が入場料がお得なんです。(↓料金は↓)ですから、週末、平日に限らず事前予約してから訪問することを強くお勧めします!

事前予約制(日時指定券)当日、枠に空きがある場合は、事前予約なしで入館可能

カッコ内の料金は専用オンラインサイトで購入の場合の料金

平日/一般 1,800円(1,600円)、高校・大学生1,200円(1,100円)、4歳~中学生600円(500円)、65歳以上1,500円(1,300円)

土日祝/一般 2,000円(1,800円)、高校・大学生1,300円(1,200円)、4歳~中学生700円(600円)、65歳以上1,700円(1,500円)

期間限定お得チケット情報

お得な料金で鑑賞できるウェブ限定!ナイトペアパス(18:00以降2名で入場の場合)や、学生応援サマーパス(高校生、大学生、大学院生、短大生、専門学校生、中学生、小学生、4歳以上対象)などがあるので要チェックです。どちらのパスも2022年6月29日(水)~7月31日(日)の期間限定です。

基本情報

2022.6.29(水)~ 11.6(日) 会期中無休 10:00~22:00(最終入館 21:30)火〜17:00

森美術館

港区六本木6丁目10−1 六本木ヒルズ森タワー 53階 MAP

アクセス:東京メトロ日比谷線六本木駅1C出口徒歩3分、都営地下鉄大江戸線六本木駅3出口徒歩6分、東京メトロ千代田線乃木坂駅5出口徒歩10分、東京メトロ南北線麻布十番駅4出口徒歩12分

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