90年代末に登場し日本のストリートアートのパイオニアとして、KYNE(キネ)や鈴木ヒラクなど多くの若手アーティストからのリスペクトを受け続けるKAMI(カミ)、そのパートナーのSASU(サス)そしてユニットとしてのHITOTZUKI(ヒトツキ)。
この夏、HITOTZUKIの最新壁画が渋谷駅や宮下パーク/MIYASHITA PARKからも近い山手線ガード下に登場しました。
シブヤ・アロープロジェクト
渋谷区にはヴィム・ヴェンダース監督で役所広司主演の映画「Perfect Days」のヒットもあり世界中に知られるようになった、建築家やデザイナーの手で公共トイレのイメージを覆そうという「THE TOKYO TOILET」プロジェクトがありました。
今回HITOTZUKIが起用されたのは「シブヤ・アロープロジェクト」。災害発生時に一時的に避難できる安全な場所として定められた「一時退避場所」の位置を来街者に知らせるため、そして渋谷区の景観を豊かにするために、公共スペースにアートを制作するプロジェクトです。
アートやクリエイティブのパワーで世界を少しでも良い方向に向かわせるという趣旨のプロジェクトです。
このプロジェクトは以前から開始されていて、例えば宮下公園の山手線ガード下にしりあがり寿の絵が描かれていたりします。
そして2024年からプロジェクトがリニューアルされ、その第一弾が恵比寿のバリー・マッギー、第二弾が渋谷年金事務所の森山大道。そられに続く第三弾が今回紹介するHITOTZUKIです。
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KAMI
13歳でスケートボードに出会い、そのカルチャーに影響を受け、同じストリートのカルチャーとしてグラフィティに興味を持ったことを創作の出発点に、ペンキやマーカーの使用、具象から抽象へ、そして日本的な要素の導入と常にストリートアートの先端でリードしてきたKAMI。
後継の多くのアーティストからリスペクトされるカリスマアーティストが描く新しい作品は、渋谷の宮下パーク近くの中渋谷ガード下にあります。トンネルになっている通路の壁面いっぱいを使って描かれた作品は迫力満点です。
▲2024年の7月中旬から制作が始まり約1ヶ月ほどで完成。
この写真は壁画を描き終わった直後のものです。
この後さらにコーティングを施し駐輪設備をリニューアルして全体が完成します。(現在は完成しています)
▲これはKAMIの代名詞的アイコンの通称ツボ。通称であって実際にツボというわけではありません。
▲壁画を制作中のKAMIとSASU。中央で脚立に立っているのがKAMI、一番奥で脚立に乗っているのがSASUです。
この通路を抜けた先は公園通り。そのまま真っすぐ行けば井ノ頭通りです。
公園通り側と宮下パーク/MIYASHITA PARKを繋ぐ便利な通路ですから、HITOTZUKIが制作している途中の壁画、完成してからの壁画を既に目にした方も多いと思います。
▲宮下パーク側の壁面に書かれた二人のサインです。
SASU
SASUがKAMIとユニットHITOTZUKI(ヒトツキ)を組んだのは1999年。それ以来2人で多くの作品を制作してきました。
実生活でも夫婦のふたり。HITOTZUKIは、アートユニットであると同時に実は日本一かっこいいご夫婦なんです。
HITOTZUKIが創作する作品は当然ながら、ふたりの人間的魅力もHITOTZUKIが人を惹きつけて止まない重要な要素のひとつです。
▲今回の渋谷アロープロジェクトの壁画にもSASUらしいモチーフが登場しています。
この2人の女の子はSASUのキャラクター。ちゃんと名前もあって左下がピカリコちゃん、右上がベンキョウちゃんです。
よく見ると着物?!を着ているのも可愛い!
▲天井などに描かれているSASUのモチーフ、リーフィーバード(Leafy Bird)です。颯爽とした印象に残るモチーフですね。
▲シンメトリカルな花びらはSASUの代名詞とも言えるモチーフです。
美しいブルーグラデーションの世界の中にイエローが映えます。
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避難場所は?
シブヤ・アロープロジェクトの ”アロー(矢印)” とは、渋谷の来街者に災害時の避難場所を指し示す ”アロー” をアートとして提供するものです。
このHITOTZUKIの壁画にもアローが描かれ避難場所を方向を示しています。
▲SASUのキャラクターの羊の背中に矢印が描かれていますね。
この辺りの避難場所は「明治神宮・代々木公園一帯」なので、地震などなにか災害に遭遇したら矢印の方向に向かえば避難場所に行くことができます。
▲実際の壁画です。
ガード下通路の壁面全部を使っているのでかなり大規模です。
通常の垂直の壁画と違ってここはトンネルなので上部180度HITOTZUKIの世界に包まれるアートです。
なるべくなら避けていたこの道もこれからはあえて通りたい道として再生しました。これがアートの力ですね。
基本情報
HITOTZUKI (KAMI & SASU)
渋谷区神南1-23-14 中渋谷ガード下 MAP アクセス:渋谷駅から徒歩3分 |
近所の森山大道
HITOTZUKIの壁画の近くにはバリー・マッギーに続くシブヤ・アロープロジェクトの第二弾、写真家の森山大道の作品がありますす。
▲場所はファイヤー通りの渋谷年金事務所の壁面。
隣の消防署側の壁面の大きなクジラの写真がその作品です。
▲この森山大道作品のタイトル《Untitled》。
また避難方向は「明治神宮・代々木公園一帯」で距離にして1km(ホントはもっと近い)ということが日本語で英語で説明されています。
2つのシブヤ・アロープロジェクト
シブヤ・アロープロジェクトは2023年以前と2024年以降とで別の会社が運営を行っています。
そのため公式サイトが2つ存在する形になっており、Googleなどで検索すると古い方の公式サイトが多く表示されるというちょっと困った状況になっています。
シブヤ・アロープロジェクトについてもっと知りたい場合は次のサイトをご覧ください。
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