以前からずっと訪問したいと思いつつ何年も過ぎてしまいましたが、先日ようやくこの目で本物を目にすることができました。
それは、藤森照信が設計したいかにも藤森照信らしい建築群で滋賀県の和菓子やバームクーヘンを扱う「たねや / クラブハリエ」の本社屋とフラッグシップショップの「ラコリーナ近江八幡」です。
藤森照信と言えばご本人の出身地である長野県茅野市にある茅野市神長官守矢史料館とオリジナリティ溢れる個性豊かな茶室の数々が、まとまった藤森建築群でしたが、2015年にラコリーナ近江八幡がオープンして、茅野市に続く藤森建築群が見られる場所ができました。
これは見に行かなくてはと思い続けて9年。ようやく念願のラコリーナ近江八幡訪問です。
PRラコリーナ近江八幡とは
滋賀県のお菓子屋さん「たねや /CLUB HARIE」の本社屋とフラッグシップショップです。
元々は和菓子からスタートしていますが、現在はバームクーヘンの「クラブハリエ」など洋菓子にも力を入れています。
しかし、こんなに楽しい本社ってなかなかないですね。毎日の出勤が楽しそう。毎日通勤していると流石の藤森建築でも見慣れてしまうのかな。
いや、むしろ見慣れるくらい藤森建築が身近な環境羨ましい!
草屋根のメインショップ
駐車場からラ・コリーナ近江八幡に向かって最初に目にするのが、ここの中心的存在のメインショップです。
▲一度目にしたら忘れられない超絶個性爆発の藤森建築です。
訪問日は残念ながら雨でしたが、草屋根の緑がイキイキとしていて美しかった。
▲軒下に一枚板のベンチがあって気持ちの良い空間です。この写真、どこか外国のようでしょう?異国感あふれる場所なんです。
異国というよりも物語の世界ないし、童話とかアニメの世界がそのまま現実化したような場所です。その上、扱う主力商品が和菓子洋菓子ですから、人気が出ない理由が見つかりません。
ま、冷静に考えるとその逆で、お菓子の会社だからこそ、物語や童話、アニメのような夢の世界を現実化したような場所を作ったんですよね。
子供の頃読んだグリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」に出てくるお菓子の家に憧れを抱いた経験は大人になっても忘れられませんから。
▲草屋根のメインショップの内部の様子です。白一色で清潔感のある空間です。
あの外観の建築の内部でお菓子が売っていたらそりゃ誰だって買いたくなります。
▲入るとすぐに吹き抜けの大空間があります。見上げると星空のような天井が。
この意匠は、藤森建築の茶室などでも目にしたことのある炭によるものです。当然ひとつひとつ手作業でつけていったワケです。
こういう作業の積み重ねがなんとも言えない温かみのある空間になるんですね。
▲黒くて華奢な手すりのある真っ白な階段。上っていくと炭が散りばめられた星空のような天井に近づきます。
▲なんと上階はたねやのカフェなんです!モザイクの大きな照明や水苔と植物の置かれたテーブルなど夢のような世界が広がります。
▲で、早速スイーツを。
これは生どら焼きです。オーダーしたのは季節限定の「生どら フロマージュ」。生地に粒餡と生クリーム、季節の甘夏とフロマージュ餡をはさんだラ コリーナ限定のどらやきなんです。
ホットコーヒーと一緒にいただきました。甘夏の酸味と生クリームと餡で和風のようで洋風のどら焼き、これはクセになりそうです。コーヒーにもよく合う!
さらに、このカフェの看板メニューふわふわのどらケーキセットも美味しかった!
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土棟と草屋根のゲート
メインショップから延びる草屋根のゲートです。周囲の自然と一体化したコリドーを通るだけで楽しくなります。
思わずスッキプしたくなるようなコリドーです。
▲さらに、この日は雨だったのでこの屋根付きのゲートの存在がありがたかったです。
▲写真スポットとしても大人気の土塔。小さな扉は開閉できて、子ども達にも大人気です。この日は雨のため子どもさんは皆無。残念。
奥に見えるのは田んぼの手入れをするスタッフ。
▲ゲートの内部はストライプに塗り分けられています。自然派のダニエル・ビュレンといった感じでしょうか。
▲一番奥までいくとそこにも小さな扉が。中にも入れます。まさに童話かファンタジーの世界。
藤森建築にはこのような秘密基地的な空間が必ずあって、子どもだったら楽しくって仕方ないでしょうね。
いや、大人でも楽しい。もちろん、身を屈めて中に入りましたよ!
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バームファクトリー
たねやの洋菓子部門、クラブハリエのショップはこのバームクーヘン型の建築です。
▲草屋根の上にバームクーヘンが乗っているようなデザイン。
▲こちら2階のバームクーヘンの内部です。円形中央は天井が抜けていてテラスにベンチ席があります。
晴天なら気持ちいいでしょうね。
▲2階はカフェになっていて、屋外のテラス席だけでなく、屋内の席もあります。
カフェの椅子はジャン・プルーヴェのスタンダード。
▲1階はショップ、2階がカフェという構成はメインショップと同じです。
クラブハリエの方は照度を落とした落ち着きのある空間になっていました。
たねや クラブハリエの本社と田んぼ
そして、ここは旗艦店だけでなく本社機能もあるんです。いかにも藤森建築な銅屋根の建物が本社です。
お客様の反応や実際に購入する方々の様子をこんなに近くで感じることができるなんて社員の方々にとってすごく励みになりますね。
▲ここは本社なので、一般人の出入りはできません。
しかし、ラコリーナのガイドツアーに参加すると銅屋根の展望室に入ることができるんです。ガイドツアーは30分、60分とあって有料で予約制です。詳しくはこちら
今回は時間の関係で参加できませんでしたが、次回再訪の際は展望室に入ってみたいかも!
そして、草屋根と同化するように中央には田んぼが広がっています。
青々とした稲の美しいこと!
本社の目の前に田んぼという組み合わせもあるようでなかなかないシチュエーションです。
雨の訪問だったので銅屋根が雨水に打たれて光を放ち、稲や草花が青々としていて晴天の日には見られない表情が見られたかな。
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カステラショップ&カフェ
草屋根のメインショップと本社の間にあるカステラショップとカフェです。
▲削った木をそのまま柱にしたカフェのインテリア。
ここも草屋根ですが1階建ての平屋です。
ギフトショップ
田んぼを中心に草屋根のメインショップやバームファクトリー、本社、カステラカフェなどが囲んでいます。
▲さらにその外側にあるのがギフトショップです。24年7月にリニューアルオープンしたばかりでした。
ここでも洋菓子を中心に色々なお土産を購入することができます。フードコートもあって軽食を食べることができます。
念願叶ってようやく訪問できたラコリーナ近江八幡。想像以上に大規模でびっくりしました。
通常、思いを募らせすぎると想像していたより小さかったというマーライオン的な感想になりがちですが、ここは全くの逆でした。
というのももっと小規模だと思っていたのには理由があって、藤森建築はかなりの予算が必要な場合が多く、こんなに大規模なものが現実に存在するなんて想像できなかったからです。
また、藤森照信といえば数種類に及ぶ茶室のイメージが強いというのも一因かもしれません。
いやぁ実際にこの目で見て本当によかった。
ここは間違いなく滋賀県に行ったら訪れるべき建築です。
今回の滋賀旅▼
基本情報
ラ コリーナ近江八幡
営業時間:9:00 – 18:00、フードコートは10:00 – 17:00 定休日:1月1日 住所:滋賀県近江八幡市北之庄町615−1 MAP アクセス:JR近江八幡駅からバスで約10分、無料駐車場あり |