丘の上APT/兒嶋画廊
藤森照信が設計し、藤森研究室の学生たちと一緒に建てた「丘の上APT/兒嶋画廊」は国分寺駅南口から歩いて10分ほどの名前の通り丘の上にあるギャラリーです。
駅からの道のりは普通の住宅街なのですが、最後がなかなかの急勾配な坂道を登ることになります。坂道の急角度をみて「ええー」ってなりましたが、頑張って登りました。
結構長くて急な坂道です。▼
ギャラリー
到着すると藤森照信設計のトタンの家は、思った以上にトタンでした。
鈍く銀色に光るトタンはパッチワークのような手縫い感のある仕上がりで、少し惚けたような三角屋根のかわいい家です。
トタン=亜鉛メッキ鋼板です。鋼板だけど可愛らしくてノスタルジックに感じるのはトタンと言う響きによる昭和の郷愁と手仕事を感じるパッチワークぽさでしょうか。▼
で、ここはギャラリーなので中に入ることが可能です。
「インターホンを押してください」と書いてあるので押してみました。しばらくすると女性が奥の建物から出てきて鍵を開けてくれました。
中へ
中は外観とは打って変わって白い塗り壁がとても美しく、プリミティブで温かみのある空間でした。
その白い空間にインド更紗など古布が大胆に展示されていて、異国情緒溢れる不思議な雰囲気です。
それからびっくりしたのは中は思っていたよりとても広くて落ち着くスペースでした。
ここは丘の上APT/兒嶋画廊と言ってオーナーのご祖父様が児島善三郎という洋画家でその作品の取り扱いと鑑定をしています。
また、それだけでなく、児島善三郎が集めていたインドの更紗などエスニックテキスタイルのコレクションなども扱っています。
鍵開けの後にオーナーが出てきてくれて、丁寧に説明してくださいました。
この家を建てる時、藤森さんはたくさんの学生さんを引き連れて来て、みんなで創り上げたそうです。(もちろんプロも一緒に)家の設計は好きなようにやってくださいと藤森さんに全部お任せしたそうです。それって最高のクライアントですね。
ギャラリーに展示してあるものや、商品なのかコレクションなのか不明ですが、置かれている様々なオブジェや家具などを拝見するに、そもそもオーナー自身がとてもセンスがよくて、さすがご祖父様が有名な洋画家だけあって素晴らしい審美眼をお持ちなんだなぁと中に入ってすごく納得しました。
テキスタイルに囲まれて何気なく置かれている戸谷茂雄作品▼
上の階も見学させてもらいました。
奥にチラリと見えるのがご祖父様の油絵作品です。
手前には縄文土器があるのが写真でわかると思いますが、縄文土器まで扱っているのです。扱う商品の幅が広過ぎです。▼
古布の小品や小さい立体など、どれもこれもかわいいです。▼
この看板はオーナーが建物と同じトタンを使って手作りしたそうです。▼
トタンと木がいい味出してますよね。▼
こちらも経年変化がいい感じになっています。▼
あまびえ祠まで!しかもかわいい。▼
国分寺というとちょっと遠いのですが、頑張って行ってみてよかったです。
このような建築は理解あるセンスのいいクライアントあってこそ存在し得ると思います。オーナーの”藤森照信好き”が話してしていてすごく伝わってきました。大切に使われているのも感じました。快く見せていただきありがとうございました。そして羨ましい!
丘の上APT/兒島画廊
詳細はHPを参照ください。