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建築好き必見のふたつの展覧会「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」と「なんでも手帳と思考のスケッチin紀尾井清堂」


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建築家、内藤廣(ないとう・ひろし)の展覧会が渋谷と紀尾井町の二ヶ所で開催中です。

建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」と「なんでも手帳と思考のスケッチin紀尾井清堂」。

私は渋谷の展覧会は縁あって内覧会へ、紀尾井清堂の展覧会は1度では読破できず2度訪問して読破しました。

また紀尾井清堂には、竣工後間もない2021年の建築見学会の参加をはじめに、これまでに5回ほど訪れています。

そんな「建築とアートを巡る®️」が内藤廣さんの二つの展覧会をご紹介します。

1階 なんでも手帳と思考のスケッチin紀尾井清堂 写真:建築とアートを巡る

<建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷>

赤鬼と青鬼の会話

建築の世界には、理論や設計図だけでは伝えきれない熱い思いや葛藤がつきものです。

そんな建築の奥深さや魅力を、ユニークな方法で伝える展覧会が「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」です。

内藤廣さんの作品や思想を、なんと赤鬼と青鬼の会話を軸にした「読む展覧会」として楽しめるのです。これは、建築好きだけでなく、誰もが興味そそる新しい試みです。

赤鬼と青鬼 「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」 写真:建築とアートを巡る

この展覧会は、2023年に島根県益田市の島根県立石見美術館(島根県芸術文化センター「グラントワ」内)で開催された展覧会「建築家・内藤廣 BuiltとUnbuilt 赤鬼と青鬼の果てしなき戦い」の渋谷版です。

展覧会場に足を運ぶと、まず目を引くのは、自己主張の強い赤鬼と控えめな青鬼のキャラクター。

この二人は、建築にまつわるエピソードや内藤さんの思想を、対話形式で、あるときは情熱的に、あるときは喧嘩をしながら語り合います。

例えばこんな会話 「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」写真:建築とアートを巡る

まるで物語の中に入り込んだかのような感覚で、堅苦しい解説や評論から一歩離れ、自分の感性で建築の世界を体感できる仕掛けになっています。

これが楽しい!

展覧会構成

会場は全部で3フロアに渡っており、最上階には、内藤さんが手がけている渋谷駅再開発計画の様子、すなわち渋谷の20年後を縮尺1/200という巨大な模型で見ることができます。

巨大な模型は、これからの都市再開発やまちづくりの可能性を示すとともに、建築家の視点や考え方の違いを映像や資料を通じて理解できる仕掛けになっています。

渋谷と益田  「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」写真:建築とアートを巡る

というのも、この模型は、島根県の益田の過疎化と渋谷の都市再開発という対照的なテーマも描き出しているのです。

2023年に開催された「建築家・内藤廣 BuiltとUnbuilt 赤鬼と青鬼の果てしなき戦い」展の会場となった島根県の益田の模型が渋谷の模型の隣に並んでいます。

益田は「過疎」という言葉が生まれた地方都市の象徴であり、その対比として渋谷の再開発は、過密な大都市の象徴です。これらの対比は、同じ建築家が異なる環境や社会背景の中でどのように建築と向き合うかの対比も見せてくれます。

対比で見る都市と地方

この展覧会の面白さは、ただ建築図面や模型を見るだけではありません。

赤鬼と青鬼が織りなす対話を通じて、建築に対する多様な視点や考え方に触れることができるのです。熱血タイプの赤鬼は、自らの情熱やこだわりを語り、一方で青鬼は、控えめな態度ながらも、慎重に建築の意義や未来を語ります。

二人の鬼のやり取りは、建築に対する情熱と冷静さの対比ともいえ、まさに建築の本質や多角的な見方を象徴しています。

また、会場は毎日休館日なく20時まで開いており、じっくり時間をかけて鑑賞できるのも嬉しいポイントです。仕事帰りに訪れることも可能なので、忙しい日常の中でも、建築の奥深さに触れることができます。

筆者と内藤廣さん  「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」写真:建築とアートを巡る

この展覧会は、単なる建築展ではなく、都市と地方、過疎と再開発、赤鬼と青鬼とさまざまな比較を可視化しています。内藤廣さんの作品や思想を通じて、多様な視点や価値観を理解し、建築の未来について考える良い機会となるでしょう。

建築に興味のある方はもちろん、普段あまり建築に触れる機会のない方でも、赤鬼と青鬼の対話を楽しみながら、新しい建築の世界を知ることができるはずです。

展覧会会場にはショップも併設されており、展覧会と同名の書籍(展覧会図録と言ってもいいのかな)や本店や御殿場など数多くのショップを手がけている「とらや」のお菓子をはじめとして内藤缶バッジなどさまざまなものを購入することができます。

ショップで販売しているとらやの羊羹  「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」写真:建築とアートを巡る
内藤廣似顔絵缶バッジ  「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」写真:建築とアートを巡る
サイン本もあったよ  「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」写真:建築とアートを巡る

基本情報

「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」

会期:2025年7月25日(金)~ 8月27日(水)

開館時間:11:00 ~ 20:00 休館日なし

入館料:一般1,500円、大学生以下1,000円、未就学児無料

会場:渋谷ストリーム ホール MAP


<なんでも手帳と思考のスケッチin紀尾井清堂>

圧倒的な建築空間・紀尾井清堂での展覧会「なんでも手帳と思考のスケッチ」へ。

建築の展覧会のジレンマは本物を展示できないことですが、建築家が手がけた建築で開催される展覧会はそのジレンマからの脱却です。

今回は、内藤廣という建築家の思考を探れると同時にその建築家が手がけた数々の建築の中でも最も稀有な存在である紀尾井清堂という建築空間も併せて鑑賞できる滅多にない展覧会と言えるでしょう。

東日本大震災への鎮魂 <なんでも手帳と思考のスケッチin紀尾井清堂> 写真:建築とアートを巡る

展覧構成

展覧会は、紀尾井清堂の全てのスペースを使って展開されています。

1F: 「東日本大震災への鎮魂」
2F: 「言葉の曼荼羅」
3~5F: 内藤 廣氏の約40年分の手帳を年代順に公開展示

と3つの章立てになっています。

言葉の曼荼羅 <なんでも手帳と思考のスケッチin紀尾井清堂> 写真:建築とアートを巡る

 

手帳の公開展示

メインとなるのは展覧会タイトルにもなっている手帳の公開です。

ここでは、内藤廣さんが30年以上にわたり描きためてきたスケッチやメモが並び、建築家の〈思考の原点〉に触れることができます。

建築現場での実務的な走り書きから、構造や風景の観察スケッチ、詩のような言葉や展覧会の感想まで。

どれもが、建築と社会、自然との関係を問い続けてきた内藤さんの視線そのもの。

内藤さん自身が手がけた紀尾井清堂の空間に、内藤さんの脳内が静かに浮かび上がります。

渋谷で建築家・内藤廣の「過去から現在までの仕事」に触れたあと、この展覧会では建築家内藤さんの「思考の根」をじっくりと辿ることができます。

天窓の開閉は行なっていません。

以下▼は2021年の建築見学会の時のものです。

ファサードの階段へ

訪問したことがなくても、SNSなどで紀尾井清堂の外観の写真を見たことがある方は多いでしょう。

「奇跡の一本松展」の際は、出ることができなかった階段部分へ出られます。

下記動画参照▼

私も2021年の建築見学以来の階段エリアの立ち入りです。

建築見学会は冬だったので、特に気温について何も記憶がないのですが、今回は暑い!でもいい空間!!!

訪問の際の注意事項

スーツケース等の大きなお荷物を会場に持ち込むことはできません。預かりもしていません。駅のロッカーなどに預けてから訪問してください。

また、安全上、ピンヒールのサンダルやパンプスなど、床を傷つける恐れのあるヒールの高い靴では入館できません。

どの駅からもある程度歩くことになるので、歩きやすい靴で行くことを推奨します。

基本情報

「なんでも手帳と思考のスケッチin紀尾井清堂」

会期:2025年7月1日~9月30日

開館日:火・木・土曜日 8月12日、8月14日、8月16日、9月23日は閉館

開館時間:10:00~16:00 ※最終入館時刻15:30

観覧料:入場無料 予約不要

会場:倫理研究所 紀尾井清堂 MAP


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