白金アートコンプレックスと六本木のピラミデにあるロンドンギャラリーは、どちらも現代美術家の杉本博司の手による内装のギャラリーで、杉本建築初期の空間です。
現在、london gallery shirokane/ロンドンギャラリー白金 の方で鹿の角や動物の骨で彫刻を制作する橋本雅也の個展「間(あわい)なるもの」が始まったので早速観てきました。会期終了しました。
PR白金アートコンプレックス
ロンドンギャラリーの入る白金アートコンプレックスは、かつては1Fは児玉画廊、2FにNANZUKA UNDERGROUND、3Fに山本現代が入っており、4Fにロンドンギャラリー、5階が新素材研究所でした。
現在は、2階と3階にギャラリーではなくミナペルホネンが入っています。▼
白金アートコンプレックスの1階は、何かというとロンドンギャラリーと新素材研究所のスペースだということはわかるのですが、各々どのような機能を持ったスペースなのかはよくわかりませんでした。
以前訪問した際に1階を新素材研究所のギャラリーのようなスペースにするかもしれないという話を聞いたのですが、本当にギャラリーなのでしょうか。入ってみたい。
いかにも杉本博司らしい五輪塔がデーン!とあるのですぐわかります。
石の部分は古いもの、ガラスの部分は、おそらく三保谷硝子によるものでしょう。▼
ロンドンギャラリー
前述しましたが、ロンドンギャラリーは、白金と六本木に2つの拠点を持っています。
ロンドンギャラリーが主に取り扱っているのは、現代美術ではなく、日本・中国・韓国など東洋の古美術を専門に扱うギャラリーです。取り扱いは、とてもセンスが良いのが定評です。
田島オーナーの「アートの楽しみ方に現代美術と古美術の区別はない」という言葉の通り、勝手にアートが制作された時代で区切ってしまうのは、よくよく考えるとおかしいですね。
六本木
2011年にオープンした六本木のロンドンギャラリー。
コロナになってからは、六本木での展覧会はあまり開催していないようです。昨年10月に1週間ほど展覧会を開催したようですが、残念ながら見ていません。
コロナ禍の現在、アポイントメント制をとっています。しかし、ウィンドウは誰でも見ることができます。
ちゃんと季節ごとにウィンドウが変わっているので、ピラミデに足を運ぶとウィンドウは見るようにしています。▼
2022年4月現在のウィンドウ▼
床が敷き瓦なので、杉本博司建築であることがわかります。
2022年冬のウィンドウは金沢文庫で開催された「春日心霊の旅ー杉本博司常陸から大和へ」のポスターが貼られていました。
ポスター下の水鉢は鎌倉時代五輪塔地輪(四方仏)の転用です。▼
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白金
白金アートコンプレックスの4階にあるスペースです。内装はこちらも現代美術家杉本博司です。白金は2009年に完成した杉本建築の第一号です。
ピッチの細かい桟から漏れる光が美しい。▼
床には杉本建築ではもはやお馴染みの敷き瓦、テーブルの脚には光学硝子が使われています。
こうやってみると杉本建築は最初からずっと変わらないんですね。▼
橋本雅也展
現在ロンドンギャラリー白金で開催されているのが、橋本雅也「間(あわい)なるもの」展です。
前回、2019年にこの場所で開催された個展を鑑賞して、大変感銘を受けたので、今回も早速足を運びました。ロンドンギャラリー白金の訪問も2019年の橋本展以来です。
橋本作品のモチーフは割と身近な草花で、その材料となるのは鹿の角や動物の骨です。とても角や骨を繊細な草花へ変貌させるのは、簡単なことではありません。
硬い角を彫る道具は歯医者さんが歯を削るときに使うグラインダーです。確かに骨を削る道具ですね。
この作品は、鹿角によるススキです。▼
鹿角を彫って作ったソメイヨシノです。
本物と見紛う桜の花は、光が透けるくらい薄くて繊細です。
どの作品もその精巧な技術には驚かされます。
この桜は、その可憐な姿とともに儚さも感じる美しい作品です。▼
橋本作品は、本物の草花を観察しながら彫っていくので、彫っていくうちに枯れてしまったりするため、咲いている花だけでなく、枯れている花の作品もあります。
事前に草花をデッサンしたり撮影したりはしないそうです。
その枯れゆく姿もまた、命あるものの尊さを静かに感じさせます。▼
咲いている花の姿よりもリアリティを感じる萎びたユリの花弁。
生と死、そして容赦なく流れる時間について考えさせられます。
この作品も鹿角です。▼
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作品集
今回の展覧会は、「間なるもの」の作品集出版記念展です。
凛として美しい彫刻は、残念ながら購入できないので、作品集を購入してきました。
白い画集の装丁に使われている紙がしっとりとした不思議な手触りで、思わず白手袋をして手に取りたくなるような美しい画集です。
いつかは彫刻を購入したいです。▼
今なら、作家の直筆サイン入りの画集が購入できます。サイン入りが何冊あるのか聞き忘れました。▼
ギャラリーでは、コロタイプ印刷による平面作品も展示されています。
前回の展覧会の時にギャラリースタッフの方から、作家は田舎でとてもストイックな生活をしてらっしゃると聞いていたので、勝手に仙人みたいな方かと想像していましたが、シュッとした格好いい方でした。
ヤブツバキ 鹿角 2022▼
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展覧会基本情報
橋本雅也「間なるもの」ロンドンギャラリー白金 会期終了
基本情報
ロンドンギャラリー(六本木)
東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル2F
ロンドンギャラリー(白金)
東京都港区白金3-1-15 白金アートコンプレックス4F
アクセス:南北線・都営三田線「白金高輪」駅、4番出口徒歩約8分、日比谷線「広尾」駅、1番出口徒歩約13分、都営バス[都06] [品川97] 「光林寺前」バス停より徒歩2分