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「春日神霊の旅 ー 杉本博司 常陸から大和へ 」神奈川県立金沢文庫で杉本博司と須田悦弘を鑑賞


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神奈川県立金沢文庫で開催されている「春日神霊の旅 ー 杉本博司 常陸から大和へ 」を観に行ってきました。今回の私の主な目的は杉本博司と須田悦弘です。<会期終了>

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杉本博司

この展覧会は、現代美術家杉本博司の「江之浦測候所」を運営する公益財団法人小田原文化財団が、神奈川県立金沢文庫、春日大社とともに春日信仰を紹介する特別展です。

金沢文庫は鎌倉時代における奈良の窓口だったので、春日大社・興福寺由来の仏教書を多数所蔵しています。また、小田原文化財団も杉本博司が蒐集してきた春日信仰を中心とする神道美術を所蔵しています。

古美術商を営んでいた杉本博司は、30代の頃に室町時代の「春日鹿曼荼羅」をコレクションして以来「古美術を集めるうちに、春日信仰のものが不思議と多く手元に残るようになった」と言うことです。

また、杉本博司はこの展覧会を「自分が1番観たかった展覧会」と語っていましたが、貴重な所蔵品を杉本博司らしい構成で鑑賞できる展覧会です。

ですから、純粋な杉本博司作品は、軸装された写真作品2点と海景五輪塔だけです。

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須田悦弘

貴重な春日大社関連の展示以外に今回の目玉作品は、木彫の須田悦弘の作品です。しかし、純粋な須田作品は「昼顔」1点だけです。

下の写真は、東京美術倶楽部で昨年開催された東美特別展のロンドンギャラリーブースに出品されていた須田悦弘作品の「昼顔」と油注(春日型)です。これがそのまま展示されています。▼

下の写真も同じ昼顔作品です。

この写真は2020年1月ザ・ギンザスペースで開催された「しきのいろ志村ふくみ・洋子×須田悦弘」の展覧会の時のもの。この時は資生堂の古い化粧瓶と一緒に展示されていました。挿してあるもので見え方が全然違いますね。▼

昼顔以外には、時空を超えたコラボレーション作品を見ることができます。

何がどう時空を超えているかと言うと、室町時代と鎌倉時代の2つの春日神鹿像に須田悦弘が杉本博司の発案によって補作しているのです。

古美術品に手を加えるのって緊張しただろうなぁ。

下の写真はポスターを撮影したものですが、この鹿の頭と鞍と枝は須田悦弘の木彫で、その上に文殊菩薩懸仏を合体させたものです。

写真だともともとこういうものだったんだろうなと疑う余地もありませんが、実物をよーく見ると首のつなぎ目とか鞍と本体の差がわかります。でもすごい!▼

もう一つは、木製ではなくて銅製の春日神鹿像です。鹿の背に乗った蓮台が須田作品で、その上に杉本博司の海景五輪塔が乗ってかっていると言う三つ巴作品です。

まさか、須田さんも室町や鎌倉時代の仏師とコラボレーションすることになるとは思わなかったでしょう。これら時空を超えたコラボ作品を鑑賞するだけでも行ったかいがありました。とっても面白い企画です。

前期と後期

この展覧会は前期と後期で少し展示内容が変わります。ただ、杉本博司の軸装の作品、須田作品の昼顔と須田悦弘補作による二つの春日神鹿像は前期後期ともに鑑賞することが可能です。

序章に展示してある小田原文化財団所蔵で以前の所蔵者が前田青邨、白洲正子だったという平安時代の十一面観音立像は、かなり高くて大きな台座の中央にポツーンと展示されていました。

後期だけ展示予定の威徳寺観音堂所蔵の十一面観音立像と菩薩立像がここに加わるのだと思われます。高い台座の周りは海景五輪塔が取り囲んでいてきっと3体並んだら圧巻だと思います。うーん。後期も見たいぞ。

梅の花が綺麗に咲いていた金沢文庫▼

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展覧会の注意点

展覧会会場内は残念ながら撮影禁止です。

また、この展覧会は事前予約制です。年齢層が高いことも想定していて、事前予約は電話でも可能なようです。

事前予約のwebページが非常にわかりにくくて、ちょっとイラッとしました。でも予約推奨ではなく、完全予約制なので、必ず予約してから出向いてください。

私が行った日はほとんど人はいませんでしたが、今後入場者数は徐々に増えてくると思います。

それから、展示物保存のため、展示室内は非常に暗いです。キャプションの解説文多めです。文字はとんでもなく小さいわけではありませんが、暗い中で文章を読むので眼精疲労を感じました。

初めての金沢文庫でしたが、企画が杉本博司なので、展示ケースの中は全部綺麗な畳になっていましたし、かなり照明も工夫されていて、通常の金沢文庫の展示室とはだいぶ趣が違うのだろうなと感じました。

そのあたりはかなりこだわったと言うことも本人が何かで語っていました。

結構遠いので後期に再訪するかどうかはかなり悩ましいところです。

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称名寺

帰りに金沢文庫トンネルをくぐって称名寺と阿字ヶ池を散策して帰ってきました。トンネルの先に太鼓橋が見えます。▼

天気の良い日は気持ちいい。▼

鯉や水鳥などがいる阿字ヶ池にある太鼓橋は、お寺に続いています。▼

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展覧会基本情報

春日神霊の旅─杉本博司 常陸から大和へ 会期終了

2022年1月29日〜3月21日 前期〜2/23 後期2/25〜

9:00〜16:30、月休(3/21開館)、2/24  入場料800円    事前予約制

神奈川県立金沢文庫 

神奈川県横浜市金沢区金沢町142 MAP

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