広尾の住宅街にあるチェコ共和国大使館と同じ建物にあるチェコセンター東京に行ってきました。普段はなかなか中に入れない施設ですが、展覧会開催時は、中に入ることができる貴重な機会なので、たびたび訪問しています。
PR駐日チェコ共和国大使館
チェコセンター東京はチェコ大使館と同じ建物にあります。大使館と言うと四方八方にポリスボックスが設置され、ものものしいイメージがありますが、それは中国大使館やロシア大使館、アメリカ大使館など、一部の大使館であって、実はそれ以外のほとんどの大使館がそこまで厳しい警備をしているわけではありません。
チェコ大使館は、広尾の静かな住宅街にあって監視カメラこそありますが、警備員が常時いるわけでもなく、非常に平和な大使館です。現在の建物は、もともとチェコスロバキア大使館として、1977年に建築された建物です。その後1993年にスロバキアが分離し、チェコ共和国大使館となりました。
PR設計
「駐日チェコ共和国大使館の建物は、建築家のイジー・ロウダ氏およびイヴァン・スカーラ氏が、クヴィーズ氏とコトルボヴァー氏との協力により設計した案に基づき、1975年から1977年にかけて建てられました。
チェコスロヴァキアで栄えたブリュッセル様式の名残が感じられる、ブルータリズム形式の建築となっています。」(チェコ共和国大使館HPより抜粋)
日本でチェコの建築と言えばアントニン・レーモンドがまず頭に浮かびます。アントニン・レーモンドは、1948年から1973年まで日本に滞在し、日本の近代建築を築いたチェコ人建築家です。
今でもそのDNAは株式会社レーモンド設計事務所として脈々と受け継がれています。チェコ共和国大使館の設計にはレーモンド事務所も協力をしています。
ただ、大使館の建物の竣工が1977年で、アントニン・レーモンドはその前年に亡くなっていますので、レーモンド自身というより、レーモンド事務所が設計協力をしたという事でしょう。
建築
大使館の建物は9階建てと5階建ての2棟から構成されています。日赤通りからは、5階建ての建物しか見えないのですが、裏にまわると斜面に9階建ての建物があることがわかります。▼
5階建と言っても日赤通りからみると地上3階、地下2階の建物です。▼
ドアハンドルは全部このCzechの頭文字の「C」です。無茶苦茶可愛い。▼
大使館の入り口とチェコセンター東京の入り口は向かい合っており、そのドアハンドルも両方とも「C」です。しかも外側のCとは別のデザインのCです。▼
PRチェコセンター東京
日赤通りから見て左側がチェコ共和国大使館、右側がチェコセンター東京です。
チェコセンターはチェコ外務省の外郭団体で、広報や文化交流を通じてチェコの文化を世界中に広める役割を担っています。
チェコセンター東京は2006年10月にアジアで第一号のチェコセンターとして、駐日チェコ共和国大使館内にオープンしました。
チェコセンター東京への入り方
チェコセンターは土日祝日はお休みなので、フルタイムで働く人には訪問難易度高めの施設です。
また、一応大使館と同じ建物なので、館内の出入口にはセキュリティがかかっています。インターホンを押して、展覧会を観にきた旨伝えると解錠してくれます。▼
センター内には図書閲覧コーナーを設けており、チェコ語教室などもあります。チェコの伝統的な衣装も飾ってありますね。折り上げ天井の照明もいいですね。▼
イベントのない日はだいたい無人のエントランスのカウンター。上下のアールのデザインが特徴的です。
年末に訪れたら無造作に「ご自由にお持ちください」と置かれていたカレンダー。もらおうとかと思いましたが、祝日が日本バージョンではないので、やめておきました。▼
チェコで人気のモグラのキャラクターが迎えてくれます。▼
トイレのピクトグラムにもなんか異国情緒を感じます。▼
内装にどのくらいレーモンド事務所が関わっているのかわかりませんが、細かいところも凝っていて素敵です。▼
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展覧会
定期的に地下の会場でチェコ関係の展覧会を開催しています。展覧会開催中は、チェコセンターに入れるチャンスなので、なるべく訪問するようにしています。
過去にも展覧会「チェコ人形劇の三つの顔」や美術展などを鑑賞しました。現在開催されているのが、昨年生誕150周年を迎えたチェコ出身の世界的建築家、アドルフ・ロースの展覧会「LOOS AND PILSEN アドルフ・ロース展 プルゼニュ市のインテリア」展です。
ロースが20世紀前半に長期にわたり取り組みつつも、チェコ国外ではあまり知られていなかったプルゼニュ市内のインテリアデザインを見ることができる貴重な展覧会です。
1907年以降の初期の作品と、ヒルシュ家やベック家との重要な関係、そしてウィーンとのつながり。また、1927年にプルゼニュに戻って手掛けた、ブルメル家やゼムラー家、フォーグル家、クラウス家といった多くの資産家の邸宅の設計について。そして、その邸宅の修復の様子や現在の様子。ロース自身や家主の家族についても鑑賞できます。
建築模型や3D映像、VR映像なども併せて展示されています。これらは東洋大学の建築学科の協力によるものです。▼
屋外壁面展示
夕刻だけの特別展示で、チェコセンターの建物にむけてロースが手掛けたインテリアの画像をプロジェクターで投影します。5分ほどの内容がループで流れます。▼
柵の中には入れませんが、外からでも十分鑑賞可能です。暗くなってからの投影なので日中行っても見られません。
大使館の中には入れませんが、同じ建物のチェコセンターは、一歩中に入るとそこはチェコです。コロナで海外に行ける日がいつになるのかわからない今、近所で海外気分に浸りました。
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展覧会基本情報
LOOS AND PILSEN アドルフ・ロース展 プルゼニュ市のインテリア
2021年12月15日(水)〜2022年1月31日(月)10:00~19:00 土日祝休(1/22は特別開館)入場無料
PRチェコセンター基本情報
チェコセンター東京
渋谷区広尾2丁目16-14(チェコ共和国大使館内)MAP