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成城の邸宅巡り 吉田五十八設計の猪俣庭園と築80年の洋館旧山田家住宅


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成城へ

久しぶりに成城へ行ってきました。小田急線成城学園前駅が地下になってからおそらく初訪問なので、ずいぶん久しぶりです。よく来ていた高校時代と比べると駅の雰囲気はすっかり変わってしまって一瞬どこへやってきたのかわからなくなるくらいですが、駅前には今となってはコンビニ化している成城石井の一号店が健在だったし、その向かいには変わらず風月堂があって、私の知っている成城の面影を残す場所もちゃんと残っていてノスタルジックな気持ちに浸ったのでした。

成城石井

猪俣庭園

成城学園駅から徒歩で8分ほどの閑静な高級住宅街に成城5丁目猪俣庭園はあります。

1967年竣工、設計はこのブログでも以前に山口蓬春記念館を紹介したことのある吉田五十八。施主の猪俣猛さんとは知り合いだったそうです。猪俣猛さんと言う人は、(財)労務行政研究所の理事長を務めた方で、ご夫妻が亡くなられたあと、御子息が世田谷区に寄付をして、一般財団法人世田谷トラストまちづくりによって一般公開しています。

猪俣邸入り口

武家屋敷風の趣がある数寄屋造りで100坪の木造平屋建ての住宅。そのまま屋根をのせると屋根が大きくなりすぎ美観を損なうため、中庭を二つ設けて大屋根、中屋根、小屋根と三つの屋根によって構成されています。

猪俣庭園案内図

居間、夫人室、和室、書斎と続く南側の開口部は、雨戸、網戸、硝子戸、障子戸をすべて引き込み戸にして、開け放つと戸袋のない、壁だけのすっきりした外観になり、庭の眺望を防げない工夫がなされています。

猪俣邸▼

猪俣邸内部

岸信介邸▼

木のレール

下は御殿場にある1969年竣工、吉田五十八設計の岸信介邸(現東山旧岸邸)に行った時に撮影した写真です。猪俣邸が1967年竣工なので、吉田五十八建築のほぼ同時期の個人邸です。岸邸のレールは金属製のものなので、改修時に新しい物に取り替えられたのでしょう。猪俣邸の木の方が断然美しいですね。

金属製のレール 東山岸邸

猪俣邸の様子は動画でご覧ください。

吉田五十八

猪俣氏は吉田五十八の建築である自邸を大変価値のあるものと大切に考えていて、後世に残すことを強く希望していたそうです。その遺志をついで御子息が寄付をして現在は維持管理されているわけです。図書展示室には吉田五十八関連の書籍が展示されています。

図書展示室

また、別部屋には吉田五十八の建築作品が展示されており、その軌跡を辿ることができます。コロナがなければ、常駐されているボランティアスタッフによるガイドがあったりして、もっと色々深堀できたのでしょうけれど、今は中止されているのでガイドはありません。とはいえ、質問すれば色々答えてくれます。

吉田五十八建築作品展

吉田五十八が手がけた建築の写真や図面などが展示されています。▼

吉田五十八建築展示風景

旧山田家住宅

帰り際にボランティアスタッフの方に旧山田家住宅にも寄るように強く勧められたので、よってみました。猪俣邸から徒歩7分くらいで、こちらは洋館です。

旧山田家住宅入り口

この建物は1937年頃竣工した洋風の寄棟造りで、展示してある資料に設計者について触れていないので、著名な方ではないようです。

旧山田家住宅全景

山田家となっていますが、この家を建てたのは実業家の楢崎定吉で子弟を成城学園に通わせるためにこの地へ引っ越して来ました。終戦後、進駐軍に接収されていた時期もありましたが、1960年に家を購入したのが山田盛隆(雅号・耕雨)という日本画家だったのです。

旧山田家住宅玄関

居間

当時のままの寄せ木の床。素晴らしい職人技です。▼

寄せ木細工のフローリング

成城みつ池緑地

この洋館が隣接する「成城みつ池緑地」は国分寺崖線上に位置し、古代遺跡などが残り、特別保護区等に指定されているので大部分が立入禁止区域となっています。しかし、2017年の公開にあたり新設された庭の展望デッキでは、みつ池緑地を間近に眺めることができます。

展望デッキ

春の陽気に誘われて久しぶりに成城へ降り立ち、閑静な住宅街の邸宅巡りを楽しめました。

世田谷の邸宅旧小坂家住宅と一緒に世田谷邸宅巡りはどうでしょう。旧小坂家住宅の詳細情報はコチラから!

成城五丁目猪股庭園

世田谷区成城5-12-19 MAP

成城みつ池緑地・旧山田家住宅

世田谷区成城4-20-25  MAP

2施設とも 9:30-16:30  月休 入場無料

*建物保護の為、素足での入場不可、靴下要持参

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