中村圭佑率いるDAIKEI MILLSが運営する青山のskwatが、またしても面白い企画展を開催しています。
今回はスイスの超有名家具ブランドvitra/ヴィトラと共にフランス人デザイナー・建築家のジャン・プルーヴェの家具を体験できるVitra & SKWAT 公共空間「P」です。
9月に世界で100台だけの限定「フォトゥイユ カングルー」にも座ってみることができます。
既に完売してしまいましたが、この椅子に実際に座れるのは日本ではここだけです。▲
PR「P」
1階のLEMAIRE/ルメールのショップから会場となるtwelvebooksの倉庫を兼ねた地下へ向かう階段には、今回の展覧会のキーワードである「P」の文字が光っています。
解説によると、この「P」には、Public (公共)だけでなく、Place (場)、Practice (実践)、そしてProuvé (ジャン・プルーヴェ)といった複合的な意味が込められています。
今回は、地下の倉庫空間に惜しげもなく、Vitraが扱っているプルーヴェの家具や照明がちゃんと機能しながら展示されています。
展示というより、機能している、使われているといった方が正しいかもしれません。
機能していると言うのは、どういうことかというと、おそらくdaikei millsのスタッフと思われる方々が、実際にプルーヴェの椅子に座り、仕事をしているのです。
またそれだけでなく、この場所を訪れた私たちも全ての椅子に座ってその座り心地を試してみることができるのです。
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「USE」
前回この空間で展開していた展覧会「IS NOT ENOUGH」の時に掲げられていた「THE MUSEUM IS NOT ENOUGH」のネオンのちょうど中央の「USE」の3文字だけを点灯させています。
このUSEだけが光っているのにもちゃんと意味があるのです。
それは、本来座るため、使うためにデザインされた家具の数々が、美術館の展覧会では、座ることはおろか触れることもできないものになってしまっているけれど、Vitra & SKWAT 公共空間「P」では「USE」すなわち家具本来の機能である「使う」「座る」ことができるという意味が込められています。
なるほど!うまい!と唸ってしまいました。
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プルーヴェの椅子
スイスの家具ブランドvitra/ヴィトラは、2002年より製造・販売しているジャン・プルーヴェ製品を9月から新たな色展開に変更しています。
ヴィトラのプルーヴェ製品の新たな色展開は「アトリエ ジャン・プルーヴェ」のカラーパレットから選んだ4色を含む8色展開です。
それではどんな家具を試してみることができるのか見てみましょう。
2006年にプルーヴェ製品に採用、現在はヴィトラ製品全体の定番カラーであるベースがジャパニーズレッドのスタンダード▲
「スタンダード」は、プルーヴェの傑作にして、最も有名な名作椅子の一つです。
スタンダードSPには旧仕様とそうでないものとあります。▲
シテは、ナンシーの大学都市の学生寮のためにデザインされたプルーヴェの初期の名作です。
スチール製のフレームに革のベルトを渡してアームレストとしたデザインが面白い椅子です。
プルーヴェ自身も自宅のリビングで使用していました。
ジャン・プルーヴェの椅子に腰掛けてvitraとジャンプルーヴェの娘のインタビュー映像をみることができます。▲
スツールの脚の構造が美しいタブレソルヴェイ、奥にはスタンダード▲
タブレN°307は、デザインされた当時、座席は型押しのアルミニウムで成形されていましたが、ヴィトラはしっかりとした重厚な木製座席にオークの無垢材を用いて復刻しました。
照明Lampe de Bureau / ランプ ド ビューロが乗った壁付け棚に、脚がコンパスのようデスク、椅子はキャスター付きのFauteuil Direction Pivotant / フォトゥイユ ディレクション ピボタン。完璧なジャン・プルーヴェセットです。▲
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プルーヴェの照明
プルーヴェのファサードパネルのように足場を見立てた背景に照明が映えます。
プルーヴェの照明の傑作Maison Tropicaの壁付け照明としてデザインされた「ポテンス」のスモールサイズが「プチポンテス」。▲
ポンテスは、2メートルを超える大きな照明でありながら、電球とスチールを用いたスイング式のアームだけで構成された、簡潔なデザインが魅力です。
「Abat-Jour Conique(アバジュールコニーク)」は、1947年にプルーヴェが初めてデザインした「ポテンス」、「プチポテンス」用のランプシェードで、簡単に付け外しができます。▲
もともとは、フランス、ナンシーの大学都市にある学生寮のホールのために、機能性を重視して考案、設置された照明▲
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twelvebooks
skwatの2階にはアート本を取り扱うtwelvebooksが入っています。
地下の会場はここの書籍の倉庫でもあります。
今回プルーヴェの作品集も販売されています。
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東京都現代美術館のジャン・プルーヴェ展に出品されている家具の数々は、当時のものばかりなので、触ることも座ることもできませんが、こちらは復刻版ですから、座ったり、購入して所有することができるプルーヴェです。
本来は使うために作られた家具の数々が、時代を経て、本来の機能を失いミュージアムピースと化している現状をプルーヴェが生きていたらどう思うのでしょうか。
作品化されていることに喜ぶのか、それとも使ってほしいと嘆くのでしょうか。
基本情報
Vitra & SKWAT 公共空間「P」
2022年9月17日(土) – 10月29日(土) 12:00 – 19:00 日月休 10/20(木)臨時休業 入場無料 港区南青山5-3-2 B1F MAP アクセス:東京メトロ表参道駅A5出口徒歩2分 |
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