練馬区立美術館で開催中の建築家平田晃久の展覧会《平田晃久―人間の波打ちぎわ》を見に行ってきました。練馬区立美術館は、隣接する図書館とともに平田晃久の設計による新しい施設に生まれ変わることが決まっています。
これまでの平田晃久の仕事から新しく生まれ変わる練馬区立美術館をはじめ、現在進行中のプロジェクト、そして未来へ向けたメッセージと展開されています。
新しい練馬区立美術館になる前にこの地で建築家平田晃久のこれまでを網羅し振り返つつ今後の展望を鑑賞できる展覧会です。酷暑ですが頑張って練馬まで行ってきました!
PR平田晃久
1971年大阪府に生まれる。1997年京都大学大学院工学研究科修了。伊東豊雄建築設計事務所勤務の後、2005年平田晃久建築設計事務所を設立。2015年より京都大学赴任。現在、京都大学教授。
平田晃久の建築には、「建築とは<からまりしろ>をつくることである」という一貫したコンセプトがあります。
この<からまりしろ>とは、はっきりと形作られる空間領域とは異なり、「ふわふわとした隙間の錯綜」、つまりはあらゆる物質の傍らにある領域の重なりを指しす造語です。
平田晃久のコンセプトが形となった代表的な公共建築には、2022年に日本建築学会賞を受賞した「太田市美術館・図書館」(2017年)があります。
最近の仕事では、表参道と明治通りの交差点に新しく開業した複合施設「ハラカド」を目にしたことがある方も多いでしょう。
展覧会構成
展覧会は3つの展示室と吹き抜けのエントランスホールの4ヶ所で展開されています。
模型や写真、スケッチなどトータルで約170点が出品されています。
もちろん会場構成は平田晃久本人によるものです。
導入のエントランスホールから展覧会は始まっており、美術館全体で一つの展覧会となっています。
展示室1:からまりしろー身体の波打ちぎわ
3階の展示室1から鑑賞する順路になっています。展示室1は
・見通せない連続空間
・ひだ
・ライン
・樹
・発酵
の5章で構成されています。
▲9hなどの模型展示
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展示室2:響きー意識の波打ちぎわ
3階の展示室1の隣にある展示室2は、代表作である太田市美術館・図書館をはじめご当地練馬区立美術館・貫井図書館のコーナーもあり9つのプロジェクトごとに紹介されています。
▲練馬区立美術館・貫井図書館のスタディ模型などの展示。
この展覧会で特筆すべきことは展示を鑑賞しているまさにこの場所が、近い将来平田晃久の建築によって生まれ変わるということです。どこか知らない場所の知らない計画ではなく、まさにこの場所なので、あそこがこうなるのかぁとか、ここをどうするかこんなに試行錯誤したんだ!とか、ものすごくリアルに模型やスケッチを見ることができます。
この展覧会鑑賞後、美術館をあとにするとき風景の見え方が変わります。そして、新生練馬区美術館・貫井図書館となった日には必ず足を運んで自分の目でその変化をみてみよう!という気持ちにさせてくれます。
展示室3:時空の波打ちぎわ
1階の展示室3は、3階の二つの展示室とは異なり、極限まで照度を落とした暗い部屋になっています。
フロア展示と展示ケースを使った展示の大きく分けて2種の展示で構成されています。フロアには主に模型、展示ケースには各々プロジェクトの資料が見られます。
▲こちらも練馬区美術館・貫井図書館です。1/1スケールでこの建築が見られる日が楽しみですね。
新しい練馬区立美術館の工事の着工は2025年、2028年に練馬区立美術館と貫井図書館が一体化して開館する予定です。
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エントランスホール:波打ちぎわの波打ちぎわ
美術館に入って最初に目にする事になるのが、エントランスホールのインスタレーションです。
常時流れている音響も相まっていつもとは違う練馬区立美術館に変貌しています。
写真撮影について
この展覧会は写真撮影が可能です。ただし動画撮影は禁止です。
展覧会の様子と共に出品されている模型と実際に訪れた平田晃久建築をならべてみました!▼
基本情報
平田晃久―人間の波打ちぎわ
2024年7月28日(日)~9月23日(月・休) 10:00~18:00 月休 観覧料:一般1,000円、高校・大学生および65~74歳800円、中学生以下および75歳以上無料 東京都練馬区貫井1丁目36−16 MAP |