今回は、階段の魔術師と称された建築家の村野藤吾が手がけた数々の階段のうち、とっておきを5つ選んで紹介します。
村野藤吾の東京の建築と全国の建築です。
村野藤吾の代表作のひとつである日生劇場や旧千代田生命保険会社、プリンス系のホテル建築など、その建築には魅力的な階段が溢れています。
もちろん村野藤吾の建築の特徴は階段の美しさだけではありませんが、今回は特別に階段だけにスポットをあてていきます。
建築好き、村野藤吾好き、階段好きに嬉しい特集になると思います。
PR<日生劇場>
竣工 :1963年
村野藤吾の美しい階段が一番多く見られるのは日生劇場でしょう。
劇場という特別な空間ですから、その贅沢な仕様は目を見張るものがあります。
通常劇場の見学はしていませんが、特別に開催された建築見学の日に訪れた時の記録です。
階段
真紅の絨毯と優雅なアールを描く螺旋階段。ドレスアップして観劇にきたら、このくらい美しい空間であって欲しいというのは来場者の願いです。
そんな日常を忘れ、ゴージャスな気分に浸れる空間に螺旋階段の存在は欠かせません。特に村野藤吾の場合は尚更です。
▲日生劇場には複数の階段が設えてあり、どれも村野藤吾らしい意匠です。建築見学だったので、観劇はしていませんが、胸がいっぱいになりました。そのくらいここはすごい空間です。
螺旋階段も素晴らしいけれど、劇場空間も唯一無二の大空間です。
日生劇場の詳細は▼
基本情報
日生劇場
アクセス:東京メトロ千代田線、日比谷線、都営三田線日比谷駅A13出口より徒歩1分、JR有楽町駅より徒歩10分、東京メトロ銀座線銀座駅より徒歩10分 *通常は内部の見学はできません |
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<ザ・プリンス箱根芦ノ湖>
竣工:1978年
ザ・プリンス箱根芦ノ湖は、村野藤吾が手がけるプリンス系のホテルのなかで一番最初のホテルです。(1972年の新高輪プリンスホテル貴賓館の改修を除く)
▲階段だけでなくエントランスから圧巻の空間が広がるのですが、そのエントランスから続く細長いロビー空間の先にあるのがこの階段です。
よーく見ると左右非対称で、若干右側にずれているのがわかります。
また、天井の開口部の角アールも村野藤吾らしい意匠です。
階段
もちろん、螺旋階段もあります。
▲よーく見ると1段目が浮いているおがわかります。これも村野藤吾の階段の特徴の一つです。
手すりの意匠も凝っています。
▲螺旋階段ではありませんが優美な曲線を使った階段。
シンプルですが、中庭をチラ見せするにくい演出が感動的です。
村野藤吾はホテルや劇場といった非現実的な空間の演出が本当に美しいです。
だからこそ、迎賓館赤坂離宮の改修を任されたのでしょうね。
ザ・プリンス箱根芦ノ湖の詳細は▼
迎賓館赤坂離宮の記事▼
基本情報
ザ・プリンス箱根芦ノ湖
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<ザ・プリンス京都宝ヶ池>
竣工:1986年
こちらは、現存する村野藤吾最後のホテルです。没後2年後に竣工しました。
▲エントランスロビーにあるゴージャスな吹き抜け空間にはエスカレーターもあるのですが、やっぱり階段です。
手すりの意匠も村野藤吾らしい。
階段
こちらは、動線としての螺旋階段です。
絨毯のグリーンと手すりのラベンダーカラーの共鳴が可憐です。
ザ・プリンス京都宝ヶ池の詳細は▼
基本情報
ザ・プリンス京都宝ヶ池
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<グランドプリンスホテル新高輪/旧新高輪プリンスホテル>
竣工:1982年
東京で見られる村野藤吾の建築の中でも特徴的な外観が印象強いホテルです。
バルコニーのレースのような意匠を踏襲した外階段の手すり。
階段
ここでは、バルコニーや物凄いゴージャスな飛天の間、バーあさま等が注目されていますが、存在感がある階段もちゃんとあるのです。
▲開口部のアールはザ・プリンス箱根芦ノ湖と共通です。
両サイドにエスカレーターがあるけれど、村野藤吾の建築の場合はやっぱり階段を使いたい。
グランドプリンスホテル新高輪の詳細は▼
基本情報
グランドプリンスホテル新高輪(旧新高輪プリンスホテル)
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<目黒区総合庁舎(旧千代田生命本社ビル)>
竣工:1966年
村野藤吾の代表作と言っても過言ではない目黒区総合庁舎(旧千代田生命本社ビル)です。
▲やっぱり1段目が浮いています。というか、ここは全体に浮いています。
階段
たくさん見どころのある建築ですが、なんと言っても美しい螺旋階段です。
▲目黒区役所になってもちゃんと村野藤吾リスペクトな保存をしているのが嬉しいです。
春に建築ガイドツアーがあるので過去に2回ほど参加しました。
目黒区総合庁舎の詳細は▼
基本情報
目黒区総合庁舎
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[megabnner]
名建築に名階段特集▼
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