1976年にフランスパリでスタートしたアパレルブランドのAGNÈS B.(アニエスべー)の青山店にあるAGNÈS B. GALERIE BOUTIQUE(アニエスベーギャラリーブティック)で開催されている展覧会に行ってきました。
この展覧会は、「elective affinities」展 Part 1ですから、当然Part 2に続きます。パート2は2023年夏に開催予定です。パート2を楽しむためにもパート1は見逃せませんね。
PRelective affinitiesとは
「elective affinities」とは直訳すると選択的親和性です。アニエスべーギャラリーブティックのステートメントでは「選択的親和力」と表記されています。
アニエスべーは今年日本に出店してからちょうど40年となることを記念して、40名のアーティストが、各々引き寄せられたアーティストを繋いでいくという実験的で画期的な展覧会です。
展覧会を繋ぐアーティストはアニエスべーが選んだ5名から始まります。
その5名は、90年代段ボールを使った作品で日本グラフィック展通称日グラで脚光浴びてから躍進を続け今や東京芸大の学長でもある日比野克彦、
写真家でアニエスべーギャラリーブティックでの個展も記憶に新しい花代、
昨年末アニエスべーギャラリーブティックで個展を開催したばかりの小林健太、
元森美術館館長の南條史生&西山裕子、
そして、小金井市はけの森美術館の茶室での美しい映像が目に焼き付いて離れない志村信裕です。
今回のパート1で参加しているアーティストはこの5名を含め以下17名です。
上田佳奈、大矢真梨子、落合陽一、串野真也、小林健太、清水将吾、志村信裕、花代、HAL 、日比野克彦、藤江龍之介、山元彩香、吉添裕人、靈樹、澪、若佐慎一
渡辺俊介
技法は、写真、ドローイング、CGなど多種多様で技法やジャンルの垣根を超えた展覧会です。
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展覧会
参加アーティスト17名全員の作品は紹介できませんが、気になった作品をいくつかご紹介します。
アニエスベーから選出されたバトンのトップバッターは前述の通り日比野克彦、花代、小林健太、南條&西山、志村信裕の5名(組)です。
志村信裕
その中からフランス在住経験もあり、とっても詩的で美しい映像制作をされている志村信裕からのバトンを一部ご紹介。
▲志村信裕のリトグラフ「Japanese Cattle」
このリトグラフを制作することになったきっかけがキャプションに書かれているのですが、映画のようなストーリーで驚きました。しかもそのきっかけとなったストーリーの舞台はフランス。まさにフランス映画そのものの展開なんです。
どんなストーリーなのかは是非ギャラリーでキャプションを読んでみてください。
このリトグラフは2015年に制作された映像作品「見島牛」がもとになっています。
で、その映像作品「見島牛」(20分)もリトグラフのお隣の小部屋で上映されています。
森美術館の「六本木クロッシング2016 僕の身体(からだ)、あなたの声」にも出品されていた作品です。
ヘッドフォンを装着してじっくり鑑賞できるので、最初から最後まで集中して観ることができました。
見島牛は日本海の離島、山口県見島にいる天然記念物で、純然たる日本の在来牛です。
作品は、見島牛について語る島の人の話と共に見島牛と島の様子が淡々と流れる映像です。
モノクロ映像のはずなのに、島の自然や太陽の光がとっても美しくて、その温度や匂いが感じられる作品でした。
絶滅の危機に瀕する見島牛について、むやみに危機感を煽り立てるのではなく、愛らしい見島牛と美しい島の風景を観ながら耳にする島の人の朴訥とした語り口が、後世へ守り伝えなければならないことが何であるのかを教えてくれるようです。
▲志村信裕からのバトンは写真家の大矢真梨子へと繋がります。これまた光と空気が美しい、まるで映像作品を見ているかのような動きのある写真作品です。
各々キャプションには、繋いだ人の文章が添えられていて、作品を観ながら1冊のリレーエッセイを読むような展覧会です。
南條史生&西山裕子
南條史生&西山裕子の2人からのバトンは落合陽一から始まります。
▲落合陽一の作品
落合陽一から岩佐慎一、串野真也、山元彩香と繋がります。▲の写真は、手前が串野真也、奥の写真作品(左)が山元彩香です。
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出品されている作品そのものだけでなく、その背景やアーティスト同士の繋がり=親和力についても同時に鑑賞できる面白い展覧会です。
パート1に続いてパート2ではどんな作品が観られるのか今から楽しみです。
基本情報
「elective affinities」展 PartI
2023年1月28日(土) – 3月5日(日) 12:00 – 20:00 会期中無休 入場無料 港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山2F MAP |